おせちは、年末年始の売上を確保できるだけでなく、飲食店の料理や技術を家庭でも楽しんでもらえる商品です。和食店や料亭、ホテル、仕出し店などでは、店舗の特色を生かしたおせちを販売することで、年末の売上づくりや新規顧客の獲得につなげられます。
一方、おせちは通常の店内メニューと異なり、予約受付から食材の仕入れ、調理、盛り付け、包装、受け渡しまでを計画的に進める必要があります。予約数を見誤ると食材の余剰や製造負担が発生し、反対に販売数を抑えすぎると売上機会を逃してしまいます。
2027年向けのおせちは、すでに大手コンビニや百貨店などで予約受付が始まっています。2026年11月時点では、年末に向けた予約促進と販売数の管理が重要な段階です。
この記事では、2027年おせちの販売計画を立てる際に押さえたい予約開始時期、価格帯、早割の設計、商品構成、製造・受け渡しの管理方法を紹介します。
目次
2027年おせちの予約開始はいつから?

おせちの予約受付は、一般的に夏の終わりから秋にかけて始まります。百貨店やコンビニでは8月下旬から9月頃に予約情報を公開する例があり、飲食店でも9月から10月に予約を開始すると、年末までの販売期間を確保しやすくなります。
2027年向けの商品では、実際に次のような販売スケジュールが発表されています。
| 販売事業者 | 2027年向けの予約開始・受付 | 販売施策 |
|---|---|---|
| セブン‐イレブン | 8月31日から早割対象期間 | 対象商品を10%引き |
| ローソン | 9月15日から | 定番商品の価格据え置きや単品おせちを展開 |
| ファミリーマート | 9月24日から | 早割対象商品を拡大 |
| 京王百貨店 | 9月1日からネット予約、10月1日から店頭受付 | 個食・肉系・贈答向けなどを展開 |
※上記は各社が発表した2027年向け商品の受付情報です。受付期間や対象商品は販売事業者によって異なります。
大手の動向を見ると、早い段階から予約を受け付け、価格や商品構成を工夫して購入を促していることが分かります。個人経営の飲食店でも、予約開始日を明確に設定し、早期に告知することが重要です。
飲食店のおせち予約スケジュール
飲食店が翌年のおせちを販売する場合は、次のようなスケジュールを目安に準備するとよいでしょう。
| 時期 | 主な取り組み |
|---|---|
| 5月〜6月 | 商品企画、原価計算、仕入れ先の選定 |
| 7月〜8月 | 試作、写真撮影、販売価格の決定 |
| 8月〜9月 | チラシ・予約ページの準備、告知開始 |
| 9月〜10月 | 予約受付開始、早割キャンペーン |
| 11月 | SNSや店頭での追加告知、予約状況の確認 |
| 12月上旬 | 予約締め切り、食材・資材の発注数確定 |
| 12月下旬 | 製造、盛り付け、包装、受け渡し |
2027年向けのおせちを2026年11月から販売する場合は、試作や価格設定を終えていることが理想です。まだ受付を始めていない店舗は、提供可能な商品数を確認したうえで、販売期間と予約締め切りを早めに決めましょう。
おせちの価格帯はどう設定する?
おせちの価格は、段数や人数、品目数、食材の品質、調理方法によって変わります。価格だけで競争するのではなく、誰に向けた商品なのかを明確にすることが大切です。
おせちの価格帯の目安
飲食店が商品を企画する際は、次のような価格帯を検討できます。
| 価格帯(税込) | 商品イメージ | 想定する購入層 |
|---|---|---|
| 5,000円〜10,000円 | 一段重・少人数向け | 一人暮らし、少人数世帯 |
| 10,000円〜20,000円 | 二段重・標準的な和風おせち | 2〜3人世帯 |
| 20,000円〜30,000円 | 三段重・和洋折衷 | 3〜4人世帯 |
| 30,000円〜50,000円 | 国産食材・高級食材を使った商品 | こだわりや特別感を重視する層 |
| 50,000円以上 | 高級食材・料理人監修の特別商品 | 贈答用・高価格帯を求める層 |
※上記は飲食店が商品企画を行う際の価格設計例です。市場全体の平均価格を示すものではありません。
初めておせちを販売する店舗は、商品数を増やしすぎず、1万円台と2万円台の商品を中心に構成すると、価格の違いを説明しやすくなります。高級食材を使った限定商品を加えれば、客単価を高める選択肢も作れます。
価格を決める際は原価だけでなく作業費も考える
おせちの価格を決める際は、食材原価だけでなく、調理や盛り付け、包装、配送などにかかる費用も計算する必要があります。
例えば、食材原価が販売価格の30%でも、容器代や包装資材、配送費、人件費を加えると、想定した利益が残らない場合があります。
価格を設定する際は、次の費用を洗い出しましょう。
・食材費
・重箱や仕切り、カップなどの容器代
・包装紙、風呂敷、保冷材などの資材費
・調理や盛り付けにかかる人件費
・予約受付や決済にかかる手数料
・配送費や受け渡しにかかる費用
・廃棄や予備分を見込んだ費用
特に、品目数が多いおせちは仕込みや盛り付けに時間がかかります。通常営業と並行して製造する場合は、厨房の稼働時間や人員も含めて採算を確認することが重要です。
早割はいつからいつまで?割引率の決め方
早割は、予約を早い時期に集めるための販売施策です。購入者にとっては通常価格より安く購入できるメリットがあり、販売店にとっては早期に受注数を把握できるメリットがあります。
2027年向けの商品では、セブン‐イレブンが対象商品を10%引きにする早割を展開しています。ファミリーマートも対象商品を拡大し、早期予約を促しています。
飲食店でも、予約開始直後から一定期間を早割対象にする方法が考えられます。
早割の割引率は5〜10%を目安に検討する
早割の割引率は、5〜10%程度を一つの検討目安にできます。ただし、利益を確保できるかどうかを必ず確認しましょう。
例えば、通常価格20,000円のおせちに5%の早割を適用すると、販売価格は19,000円です。10%引きの場合は18,000円になります。
| 通常価格 | 5%割引 | 10%割引 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 9,500円 | 9,000円 |
| 15,000円 | 14,250円 | 13,500円 |
| 20,000円 | 19,000円 | 18,000円 |
| 30,000円 | 28,500円 | 27,000円 |
割引率を高くすると注文数が増える可能性はありますが、利益率は低下します。食材費や人件費が高い商品では、値引きではなく、特典を付ける方法も検討しましょう。
早割の受付期間を段階的に設定する
早割は、受付期間を区切ると予約を促しやすくなります。
例えば、次のような設計が考えられます。
・第1弾:9月〜10月上旬、10%割引
・第2弾:10月中旬〜11月上旬、5%割引
・通常受付:11月中旬以降、通常価格
早い時期に予約した人ほどお得になる仕組みを作ることで、予約の前倒しを促せます。ただし、割引終了日や対象商品、適用条件は分かりやすく表示しましょう。
値引き以外の早期予約特典も有効
利益を削りたくない場合は、割引以外の特典を用意する方法もあります。
・店舗で使える食事券を付ける
・祝い箸や追加の一品を付ける
・配送料を無料にする
・店頭受け取り時に特典を渡す
・次回利用できるクーポンを付ける
食事券やクーポンは、おせちの販売だけでなく、年明けの来店につながる可能性があります。特典にかかる費用と利用条件を事前に決めておくことが大切です。
おせち 重箱 4.5寸重黒一筆(内黒)1段

白木・おせち用重箱 6.5寸 (2段)

2027年おせちの商品構成はどうする?
おせちを販売する際は、価格だけでなく、購入人数や食べる人の好みに合わせた商品構成が必要です。
和風・洋風・和洋折衷を用意する
おせちの基本となるのは、黒豆や数の子、田作り、伊達巻、栗きんとんなどを詰めた和風おせちです。
一方、近年はローストビーフやテリーヌ、海老料理などを盛り込んだ洋風・和洋折衷の商品も販売されています。店舗の得意分野に合わせて、次のような構成を検討できます。
| 商品タイプ | 主な内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 和風おせち | 黒豆、数の子、煮しめ、伊達巻など | 伝統的な正月料理を楽しめる |
| 洋風おせち | ローストビーフ、テリーヌ、魚介料理など | ワインや洋酒にも合わせやすい |
| 和洋折衷おせち | 和食と洋食を組み合わせた料理 | 幅広い年代に提案しやすい |
| 肉料理中心のおせち | ローストビーフ、角煮、焼き豚など | 肉料理を好む人に向いている |
| 個食おせち | 一人分ずつ盛り付けた商品 | 少人数や個別に食べたい人に対応 |
一段重や個食おせちも検討する
大人数向けの三段重だけでなく、一人前や二人前の商品を用意する方法もあります。
少人数世帯では、大きなおせちを購入すると食べきれないことがあります。一段重や個食タイプなら、必要な量だけ購入しやすくなります。
また、家族それぞれの好みに合わせて選べるよう、和風と洋風を組み合わせたセットや、オードブルを別売りする方法も考えられます。
店舗の強みを生かした限定商品を作る
おせちは、店舗の料理人や調理技術を知ってもらう機会にもなります。
例えば、寿司店なら海鮮を中心にしたおせち、焼き肉店なら和牛を使った肉料理中心のおせち、フレンチレストランならテリーヌやローストビーフを盛り込んだ洋風おせちなどが考えられます。
地域の食材を使った商品も、他店との差別化につながります。地元産の魚介や野菜、ブランド肉などを取り入れ、産地や食材の特徴を具体的に紹介すると、商品の魅力が伝わりやすくなります。
おせちの予約数を伸ばす告知方法

おせちは販売期間が限られているため、予約開始時だけでなく、受付期間中も継続的に告知することが大切です。
店頭で予約を受け付ける
常連客が多い飲食店では、店頭での案内が効果的です。
レジ周辺や入口にチラシを設置し、料理の写真、価格、人数の目安、予約締め切り、受け取り日時を掲載しましょう。来店客に直接案内できるため、店舗の料理を知っている人に購入を提案できます。
SNSで料理写真を発信する
InstagramやLINEなどのSNSでは、商品の写真や試作の様子を発信します。
おせちは品目数が多く、写真によって商品の豪華さや内容を伝えやすい商品です。重箱全体の写真だけでなく、料理のアップや食材の紹介も投稿すると、具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。
投稿には、価格、人数、予約方法、締め切りを記載し、予約ページや店舗への問い合わせにつながる導線を用意しましょう。
予約締め切りや数量限定を明確に伝える
おせちは製造数や食材の仕入れに限りがあるため、予約締め切りを設けることが重要です。
「12月10日まで」「限定50セット」など、実際の受付条件を明記すると、購入を検討している人が判断しやすくなります。
ただし、数量限定と表示する場合は、実際に販売できる数量を設定し、誤解を招く表現にならないようにしましょう。
予約数・仕入れ・製造体制を管理するポイント
おせちは予約を受け付けて終わりではありません。予約数に合わせた食材の確保や製造スケジュールの調整が必要です。
予約状況を定期的に確認する
予約台帳や表計算ソフトなどを使い、注文数を管理しましょう。
最低限、次の項目を記録しておくと便利です。
・注文者名と連絡先
・商品名と数量
・支払い状況
・受け取り方法
・受け取り日時
・アレルギーや個別の確認事項
・キャンセルや変更の履歴
予約数を商品別・受け取り日別に集計すれば、仕入れや製造に必要な数量を把握しやすくなります。
食材と容器を早めに確保する
おせちには、海老や数の子、いくら、黒豆、栗など、年末に需要が集中する食材が多く使われます。仕入れ先によっては、注文期限や最低発注数量が設定されている場合もあります。
食材だけでなく、重箱や仕切り、カップ、包装資材、保冷材なども早めに確保しましょう。容器のサイズや仕切りの数は、盛り付けを試作する段階で確認しておくと安心です。
製造工程を分けて作業負担を抑える
おせちの製造では、煮物や焼き物、揚げ物、冷菜など、料理ごとに調理方法や保存条件が異なります。
仕込み、加熱調理、冷却、盛り付け、包装などの工程を整理し、作業担当者と時間を決めておきましょう。通常営業と製造が重なる店舗では、厨房の稼働時間や人員配置も事前に調整する必要があります。
また、食品の温度管理や衛生管理、アレルゲン表示、消費期限・保存方法の表示なども確認しましょう。特に持ち帰りや宅配を行う場合は、提供方法に合った衛生管理が欠かせません。
2027年おせち販売のチェックリスト
販売を始める前に、次の項目を確認しておきましょう。
・販売する商品と品目数を決めた
・一段重、二段重、三段重などの種類を決めた
・購入人数に合わせた価格帯を設定した
・食材費、人件費、容器代、配送費を計算した
・早割の割引率と受付期間を決めた
・予約開始日と締め切りを設定した
・店頭やSNSで使用する写真を用意した
・予約台帳や決済方法を準備した
・食材と重箱の仕入れ先を確保した
・製造、盛り付け、受け渡しの担当者を決めた
・保存方法やアレルゲン表示を確認した
まとめ
2027年向けのおせちを販売する際は、予約開始時期、商品構成、価格帯、早割の設計を早めに決めることが重要です。
予約受付は夏の終わりから秋に始める方法が一般的ですが、2026年11月時点では、年末に向けて予約を伸ばしながら、製造数や仕入れ数を確定していく段階です。
価格帯は一段重や少人数向けから高級三段重まで幅を持たせ、店舗の得意料理や地域食材を生かした商品を用意すると差別化につながります。早割は5〜10%程度を検討目安とし、値引きによる利益への影響を確認したうえで設定しましょう。
さらに、予約数の管理、食材や容器の確保、製造工程の整理、衛生管理まで計画しておくことで、年末の繁忙期にも対応しやすくなります。店舗の特徴を生かしたおせちを企画し、早期の告知と予約管理を進めていきましょう。

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