名古屋の中心地・栄。百貨店が立ち並び、平日昼間も多くの人で賑わう南大津通に、ひっそりと路地がある。足を一歩踏み入れると、都会の喧噪が嘘のように静かさが広がる。そんな場所にあるのが「菜月Tabenasse」。今回はここの4代目店長・神谷葵さんに取材をした。

葵さんは、料理の専門学校で和食を学び、名古屋の大きな病院のレストランで、医療従事者や、見舞客などさまざまな人に向けて朝から晩まで腕を振るっていた。その後、一度料理の道を休んで、得意だった水泳を子どもに教える期間を挟み、居酒屋のアルバイトから飲食の道を再度歩み始める。そんな生活を送りつつ、友人に「いつか、おばんざいを振る舞える店をやりたい」と夢をこぼしていたら、この店のオーナーに出会い、店を任せられるようになったという。

葵さんが店長をつとめるようになってしばらくして、グルメインフルエンサーが投稿した「オムライス」の動画がバズった。たまごを鉄板で半熟状態に焼き上げ、お米の上にとろりと乗せられるその様子は女心を大いにくすぐり、ランチ営業は大繁盛した。元々ガラス張りの外観に、ワイングラスが並ぶお洒落な様子は女性からの人気が高かったものの、オムライスはそれに拍車をかけ、嬉しい悲鳴をあげた。「バズったオムライスはケチャップをかけているオーソドックスなものだけど、今は飽きられないよう季節によって工夫をしている。今期は『春らしさ』を意識して、アスパラとグリーンピースを入れたガーリックライスに、トマト、マッシュルーム、新玉ねぎで作ったデミグラスソースをかけています。人気も高いし、傑作だと思っています」と嬉しそうに語る。

そんな影響もあり、客層は昼はオムライス目当ての20代の若い女性客、夜はワイン目当ての落ち着いた年齢の男女で二分しているようだ。葵さんは「女性客は流行りに敏感で、SNSもよく観ているし、評判を広めてくれやすい。だから、どちらかというと女性客に好んでもらえるよう工夫をしている」という。料理の味付けを少し薄味にしたり、さまざまな料理を少しずつ楽しめるようにと細部への気配りが肝なんだとか。
ただ新たな課題も見えてきた。SNSで若い客の集客はしやすくなったものの、彼らの酒離れを日々実感する。「うちは『ワインを飲めるお店』というコンセプトなので、若い年代の人たちの酒離れを寂しく思う。ただ、それを嘆くだけではなにも始まらないから、フルーツを入れたハイボールなどで、視覚的にも楽しくて、美味しいお酒を提供できるように工夫している」と葵さん。

お店で提供されているおばんざいは、その日届いた新鮮な食材をふんだんに使い、ワインもイタリア産しか取り扱わない拘りっぷり。ぜひ一度菜月Tabenasseに行ってみてください!
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Photographer:後藤 華子
name:神谷 葵
shop:「菜月Tabenasse」
愛知県名古屋市中区栄3丁目28−130 Francビル 1F





