居酒屋開業、これ本当に大丈夫ですか?― これをやると失敗しやすい、居酒屋開業の落とし穴 ―

出店・開業

居酒屋を開業しようと考えたとき、「昔からの夢だった」「料理には自信がある」「やる気だけは誰にも負けない」そう思ってスタートする方は少なくありません。

ですが、現実には――

同じように思って始めた居酒屋が、数年も持たずに消えていくというケースが後を絶ちません。
これは能力や努力が足りなかったからではありません。

多くの場合、最初にやってしまっている“考え方のミス”が原因です。

今回は、少しネガティブな視点から「居酒屋開業で、これをやると失敗しやすい」代表的な5つのポイントをお伝えします。

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目次

■「とりあえず始める」は、ほぼ失敗します

居酒屋開業でよく聞く失敗の入り口が、「いい物件が出たから」「今ならいけそうだから」といった勢い先行のスタートです。

もちろん、チャンスを逃さない判断は大切です。
しかし居酒屋という業態は、一度始めると簡単にやり直せない構造を持っています。

そのことを理解せずに「とりあえず始める」と、後から大きな代償を払うことになります。

●物件が先に決まると、店の運命もほぼ決まります

居酒屋の物件は、

・席数
・客単価の上限
・厨房の広さ
・回転率

これらを強制的に決めてしまいます。
にもかかわらず、

「誰に来てほしい店なのか」
「何で利益を出すのか」

が決まっていないまま物件を選ぶと、後から修正ができません。

開業後に

「思ったより儲からない」
「忙しいのにお金が残らない」

となる店の多くは、この段階でズレています。

●走りながら考える、が通用しない理由

「始めてから調整すればいい」この考え方は、居酒屋では危険です。

なぜなら、

・席数は増やせない
・厨房は広げられない
・人員配置は簡単に変えられない

つまり、構造的な問題は後から直せないのです。
結果として、無理なオペレーションで現場が疲弊し、問題が分かっていても手を打てない状態に陥ります。

●準備不足の店ほど、開業後に詰みます

勢いで始めた店ほど、開業後に考えることが一気に押し寄せます。

・想定より原価が高い
・ピークタイムが回らない
・利益が出るメニューが分からない

この状態で営業を続けると、「考える余裕」がなくなり、判断が遅れます。
その遅れが、致命傷になります。

●「とりあえず」は、最初だけ楽な選択です

「とりあえず始める」は、決断を先送りできる楽な選択です。
しかしそのツケは、開業後に必ず返ってきます。

しかも、一番苦しいタイミングでです。
居酒屋開業に必要なのは、完璧さではありません。

ただし、最低限の設計をしてから始めることは欠かせません。
それができない店ほど、「頑張っているのに報われない」状態に陥ってしまいます。

■ メニューを増やすほど、経営は苦しくなります

居酒屋開業時、多くの方がやってしまうのが「最初からメニューを充実させよう」という判断です。
お客さんの満足度を高めたい、選ぶ楽しさを提供したい。

その気持ち自体は間違っていません。
しかし、小規模な居酒屋ほど、メニュー数の多さは経営リスクになります。

●メニューが増える=仕込みと在庫が増えます

メニューを1品増やすたびに、

・食材の種類
・仕込み時間
・保管スペース

が増えていきます。
その結果、

「今日は忙しくなかったのに、仕込みだけは多い」
「使い切れずに廃棄が出る」

といった状況が日常になります。
売上には直接つながらないのに、コストと手間だけが積み上がるのが、メニュー過多の怖さです。

●売れない一品が、全体の利益を削ります

「たまに出るから残している」この判断が、経営を静かに苦しめます。
売れないメニューは、

・原価ロス
・仕込みロス
・オペレーションの複雑化

を生みます。
さらに問題なのは、売れているメニューの提供スピードや品質まで下げてしまうことです。

結果、店全体の評価が落ちるケースも少なくありません。

●現場が忙しいのに、なぜかお金が残らない理由

メニューが多い店ほど、厨房は常に忙しくなります。
しかしその忙しさが、利益につながっているとは限りません。

・手間のかかる料理ばかり出る
・利益の薄いメニューが動く
・ピークタイムにオペレーションが詰まる

こうした状態になると、「忙しい=儲かっている」という錯覚が生まれます。
実際には、体力だけが削られていきます。

●「何でもある店」は、何も残らない店になりやすい

メニューが多い店は、お客さんの記憶に残りにくい傾向があります。

「何を頼めばいいか分からない」
「次に来る理由が思い浮かばない」

結果、再来店につながりません。
居酒屋開業時に必要なのは、数ではなく、軸のあるメニュー構成です。

●メニューは「増やす」より「育てる」ものです

最初から完璧なメニュー表は必要ありません。
むしろ、

・よく出る
・回しやすい
・利益が残る

この数品を中心に、少しずつ育てていく方が安全です。

メニューを増やすことは、簡単です。
しかし、減らす決断は難しい。

だからこそ、最初から増やしすぎないことが、経営を守る一番の近道になります。

■「安くて旨い」をやる店から潰れていきます


居酒屋を開業する際、「安くて美味しい店にしたい」と考える方は非常に多いです。
お客さん目線では正解に見えますが、経営目線で見ると危険な考え方でもあります。

特に開業直後の居酒屋が“安さ”を武器にすると、自分で首を絞める構造を作ってしまうことが少なくありません。

●「安い店」と認識された瞬間に、逃げ道がなくなります

一度「この店は安い」という印象がつくと、お客さんは価格を基準に来店するようになります。
その結果、

・値上げすると離れられる
・原価が上がっても転嫁できない
・競合が安くなると勝てない

という状態に陥ります。
安さは差別化ではなく、縛りになることが多いのです。

●原価率だけ見た値付けは、ほぼ失敗します

「原価率30%なら大丈夫」こうした考え方だけで価格を決めるのは危険です。
居酒屋経営では、

・人件費
・ロス
・忙しさによる疲労

なども、確実にコストとして積み上がります。
安くて手間のかかる料理が動くほど、売上は立っているのに利益が残らない、という矛盾が生まれます。

●忙しいほど苦しくなる、消耗戦に入ります

「今日は満席で忙しかった」それでも月末にお金が残らない。
この状態は、安さで集客している店によく見られます。

・回転を上げないと利益が出ない
・休めない
・人を増やせない

結果、店主の体力と判断力が削られ、改善の余地がなくなっていきます。

●“安いのに旨い”は、長期戦に向きません

「安いのに旨い」は、確かに強い言葉です。
しかし、それは短期的な評価に過ぎません。

長く続く店は、

・理由のある価格
・納得できる価値
・無理のないオペレーション

を持っています。
価格に理由がない店ほど、後から調整ができず、苦しくなります。

●値段は、料理ではなく「構造」で決めるものです

居酒屋の価格は、味や原価だけで決めるものではありません。

・作業量
・ピークタイムの回しやすさ
・スタッフの負荷

これらを含めて初めて、「続けられる価格」になります。
「安くて旨い」を目指す前に、その価格で、何年続けられるかを考えることが重要です。

それを考えない店ほど、早く、静かに消えていきます。

■ 店主が現場に立ち続けるほど、判断を誤ります

居酒屋経営では、

「店主が現場に立つのは当たり前」
「自分が一番動けば店は回る」

そう考えられがちです。

確かに、開業初期に現場を知ることは大切です。
しかし、立ち続けることが常態化すると、経営判断を誤りやすくなります。

●現場に立つ時間が増えるほど、考える時間が減ります

仕込み、調理、接客、片付け。
店主が現場に立てば立つほど、一日のほとんどが「作業」で埋まります。

その結果、

・数字を見る
・改善点を整理する
・次の一手を考える

こうした時間が、後回しになります。
判断は、余白がないとできません。

疲れた状態では、正しい選択ができなくなります。

●疲労は、判断力を静かに奪います

長時間労働が続くと、人は無意識に「先延ばし」を選ぶようになります。

・メニューを見直した方がいいと分かっている
・価格を上げる必要がある
・人の配置を変えるべき

分かっていても、「今は忙しいから」と後回しにしてしまいます。
この小さな先延ばしが、後から大きな経営リスクになります。

●「自分がいないと回らない店」は危険です

店主がいないと回らない状態は、一見、責任感が強いように見えます。
しかし実際には、

・仕組みができていない
・属人化している
・休めない

というサインでもあります。
この状態が続くと、体調不良や不測の事態が、そのまま営業リスクになります。

●現場作業と経営判断は、別の仕事です

料理を作ること、接客をすること。
これらは「現場の仕事」です。

一方で、

・利益構造を考える
・負荷を減らす
・持続できる形に整える

これらは「経営の仕事」です。
両方を同時に完璧にやろうとすると、どちらも中途半端になります。

●店主が“一歩引く”ことで、店は安定します

現場に立つことをやめる必要はありません。
ただし、立ち続けない設計が必要です。

・自分がいなくても回る時間を作る
・数字を見る時間を確保する
・判断をする余白を持つ

これができるようになると、店はようやく「続く形」になります。
頑張ることよりも、考えられる状態を保つこと。

それが、店主にとって一番重要な仕事です。

■「そのうち常連が増える」は、ほぼ来ません

居酒屋を開業すると、「最初は大変でも、そのうち常連さんが増えて安定する」そう期待してしまいがちです。

しかし現実には、何も設計していない店に、常連は自然には増えません。

●常連は“発生”するものではなく、“定着”するものです

常連というと、「気に入ったから通ってくれる人」というイメージを持たれがちです。
ですが実際は、

・通いやすい理由がある
・選ぶ理由が明確
・行動が習慣化しやすい

こうした条件が揃って、初めて常連になります。
味が良いだけでは、再来店の理由としては弱いのです。

●「美味しかった」で終わる店の共通点

一度来てくれたお客さんが、「美味しかったね」と言って帰る。
一見、良い評価に思えますが、次に来る理由がなければ、そこで終わりです。

・記憶に残る一品がない
・使いどころが曖昧
・店の“型”が見えない

こうした店ほど、再来店率が伸びません。

●通う理由は、意識しないと作れません

常連が多い店は、無意識のうちに通える理由を用意しています。
例えば、

・短時間でも使いやすい
・一人でも入りやすい
・頼むものが決まっている

これらは偶然ではなく、設計の結果です。
「そのうち増えるだろう」という考えは、何もしないという選択と同じです。

●新規ばかり追う店ほど、苦しくなります

常連が増えないと、常に新規集客に頼ることになります。

・広告費がかかる
・売上が安定しない
・忙しさに波が出る

結果、経営が落ち着かず、精神的にも消耗します。
常連は、売上だけでなく、店の安定を支える存在です。

●常連は「待つ」のではなく「作る」ものです

常連づくりに必要なのは、特別な接客ではありません。

・また来やすい価格と構成
・迷わないメニュー
・通うイメージが浮かぶ店

これらを意識するだけで、再来店率は変わります。
居酒屋経営で大切なのは、「いつか」ではなく、「どうやって」です。

常連は自然には増えません。
増えるように、作られた店にだけ残っていきます。

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■まとめ:失敗の多くは「才能」ではなく「設計ミス」です

ここまで、居酒屋開業で失敗しやすい考え方を見てきました。
どれも共通しているのは、「頑張っていないから失敗した」のではないという点です。

むしろ多くの店主は、真面目で努力家です。
それでも店が続かないのは、才能や根性の問題ではありません。

●失敗は、開業前にほぼ決まっていることが多い

居酒屋経営で起きるトラブルの多くは、開業後に突然発生するものではありません。

・勢いで始めた
・メニューを増やしすぎた
・安さに寄せた
・現場に埋もれた
・常連を待った

これらはすべて、最初の設計段階で選んでしまった結果です。
開業後にどれだけ頑張っても、設計がズレていると修正は難しくなります。

●努力が報われない店には、共通点があります

失敗する店ほど、

「忙しいのに儲からない」
「頑張っているのに楽にならない」

という状態に陥ります。

これは努力が足りないのではなく、努力が正しく積み上がらない構造になっているからです。
構造が間違っていると、頑張るほど消耗していきます。

●設計とは、未来の自分を助ける準備です

設計というと、難しい計算や立派な計画を想像するかもしれません。
しかし本当に必要なのは、

・無理なく回るか
・続けられるか
・判断できる余白があるか

この視点です。
設計は、「未来の自分が苦しまないための準備」とも言えます。

●正解は一つではありません

居酒屋経営に、絶対の正解はありません。
店の形は、人の数だけあります。

ただし、失敗しやすい型は確実に存在します。
その型を避けるだけで、生存率は大きく変わります。

●夢を守るために、冷静になる時間を持ってください

ネガティブな話が多くなりましたが、これは夢を否定するための話ではありません。
むしろ、夢を現実に残すための話です。

居酒屋を開業する前に、一度立ち止まり、設計を見直してください。
才能よりも、気合よりも、店を守るのは「設計」です。

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