「うちは人が遅いんですよ」「もっとテキパキ動けって言ってるんですが…」
飲食店の現場で、“料理が遅い”という問題は、ほとんどの場合「スタッフの能力」や「動きの遅さ」に原因が置かれます。
しかし実際には、早く動いている店ほど、なぜか提供が遅いという現象は珍しくありません。
▶厨房では走り回っている。
▶手も止まっていない。
▶それなのに、料理が出ない。
▶クレームが出る。
▶回転が落ちる。
このタイプの店は、スピードが足りないのではありません。
「設計」が間違っているだけです。
今回は、「料理が遅い店」の正体を、技術論ではなく“構造”から解説していきます。

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目次
■ 「頑張っているのに遅い店」が生まれる構造

料理が遅い店ほど、厨房は不思議なほど忙しいものです。
大きな声が飛び交い、誰かが常に動き回り、全員が同時に何かをしています。
一見すると「人が足りない」「動きが遅い」と感じますが、実際にはすでに限界まで動いている状態であることがほとんどです。
それでも料理が出ない。ここに、この問題の本質があります。
● 「もっと早く動け」は、ほぼ必ず逆効果
提供が遅れると、現場では「急いで」「もっと早く」という指示が増えます。
しかしこの言葉が増えるほど、厨房は遅くなっていきます。
理由は単純で、すでに作業が詰まっている構造の中で動作速度だけを上げると、
・ぶつかり
・待ち
・やり直し
・確認不足
が増え、結果として処理能力が下がるからです。
この段階で必要なのはスピードアップではなく、詰まりの解消です。
● 忙しいほどバタつく厨房の共通点
「頑張っているのに遅い店」には共通点があります。
・同時に火が入りすぎている
・一人に作業が集中している
・完成待ちの皿が溜まっている
つまり、全体の流れの中に必ず止まる場所が存在しています。
この“止まり”がある限り、全員がどれだけ動いても、厨房全体はその速度以上に早くなりません。
● 遅さの正体は“個人の能力”ではなく“店の設計”
料理が遅いと、「あの人が遅い」「もっと鍛えないと」という話になりがちです。
しかし、同じ人が別の店では普通に回っている、というケースは珍しくありません。
これは、その人の能力が原因ではなく、その店の構造が遅さを生んでいるということです。
▶どこに仕事が集まっているのか。
▶どこで順番待ちが起きているのか。
▶誰が止まると全体が止まるのか。
ここを見ずにスピードだけを求め続ける限り、「頑張っているのに遅い店」は生まれ続けます。
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■ 早く動くほど遅くなる厨房

料理が遅い店の厨房を観察すると、ほとんどの場合「スピード感」はあります。
走る人、同時に何品も触る人、大きな声で指示が飛ぶ現場。にもかかわらず、料理はなかなか出てきません。
ここで起きているのは、スピード不足ではなく、処理構造の崩壊です。
● 同時に作りすぎるほど、厨房は止まり始めます
提供が遅い店ほど、「とりあえず全部やる」傾向があります。
・入った注文を一斉に火にかける
・とりあえず全部切り始める
・とりあえず皿に並べる
一見効率的に見えますが、結果として起きるのは、火口待ち、盛り場待ち、仕上げ待ちです。
同時進行が限界を超えると、厨房は動いているのに“流れていない”状態になります。
● 「忙しさ」と「処理能力」は別物です
全員の手が塞がっている状態は、忙しいですが、生産的とは限りません。
むしろ、誰も次に進めない状態が生まれている可能性があります。
・焼きは終わっているのに盛れない
・盛りたいのにソースが来ない
・ソースはあるが確認待ち
このように工程同士が待ち合うと、作業量が増えるほど、提供スピードは落ちていきます。
● 早く動かすほど“詰まり”が増える構造
ここで「もっと急いで」と指示を出すと、厨房はどうなるでしょうか。
人は速く動こうとして、
・まとめて作る
・先に火を入れる
・同時に抱える
ようになります。
すると同時進行が増え、待ちが発生し、さらに流れが悪化します。
これが「早く動くほど遅くなる厨房」の正体です。
● 本当に見るべきは“誰が止めているか”ではありません
重要なのは、「誰が遅いか」ではなく、「どこで必ず止まるか」です。
・最終盛りが一人に集中していないか
・加熱工程が重なりすぎていないか
・一工程に全メニューが集まっていないか
この“構造上の止まり”を解消しない限り、どれだけ早く動いても、厨房は早くなりません。
■ 仕込みと提供が断絶している店は必ず遅くなる

料理が遅い店の厨房をよく見ると、ピーク中に「本来やらなくていい作業」をしているケースが非常に多く見られます。
そしてその原因のほとんどは、仕込みが“提供”につながっていないことにあります。
● 仕込みが「保存」で止まっている厨房
多くの店は、確かに仕込みをしています。
しかしその中身を見ると、
・食材を切って保存している
・ソースを作って冷蔵している
・下処理をして寝かせている
など、「保管のための仕込み」で止まっていることが少なくありません。
これでは、ピークが始まった瞬間に、
・取り出す
・計る
・組み立てる
・味を作り直す
という工程が一斉に発生します。
つまり、仕込みをしているのに、提供準備が終わっていない状態です。
● 提供時に“調理から考え直す”構造が遅さを生む
仕込みと提供が断絶している店では、注文が入るたびに、
「何グラムだっけ」
「どの皿だっけ」
「どの順番だったか」
と、厨房内で思考が始まります。
この“考える時間”は、ほぼすべて提供スピードを落とします。
しかも考える人は、たいていボトルネック担当者です。
結果として、料理の遅さは一気に増幅します。
● ピーク中にやってはいけない作業が残っている
提供が早い店では、ピーク中に次の作業がほとんど発生しません。
・切る
・計る
・探す
・味を作る
・工程を組み直す
これらはすべて、仕込み側で終わっているからです。
逆に言えば、ピーク中にこれらが頻発している店は、どれだけ人が動いても、構造的に遅くなります。
● 提供スピードは「調理」ではなく「仕込み」で決まります
料理が早い店ほど、ピーク中の厨房は静かです。
なぜなら、考えることも、探すことも、組み立てることも、ほぼ残っていないからです。
提供スピードは、手の速さではありません。
仕込み段階で、どこまで“完成させているか”で決まります。
仕込みと提供がつながった瞬間、厨房のスピードは、無理なく自然に上がります。
■ 動線より優先すべき設計軸
料理が遅い原因として、よく「動線が悪いから」という言葉が使われます。
確かに無駄な移動は減らすべきですが、実際の現場では動線を詰めても料理が早くならない店が非常に多いです。
それは、遅さの原因が「距離」ではなく「構造」にあるからです。
● 「歩かない厨房」より「止まらない厨房」
動線改善は、「歩く距離」を短くします。
しかし提供スピードを本当に落としているのは、歩いている時間ではなく、止まっている時間です。
・盛り待ち
・火待ち
・確認待ち
・受け渡し待ち
これらの“滞留”がある限り、いくら動線を短くしても、厨房は止まり続けます。
● 本当に見るべきは「滞留・集中・合流」
設計で見るべき軸は、距離ではありません。
・どこで料理が溜まるか(滞留)
・どこに作業が集まっているか(集中)
・どこに工程が合流しているか(合流)
この3点です。
例えば、全メニューが最後に一人の手に集まる構造なら、その人の処理能力が厨房全体の上限になります。
ここを見ずに動線だけ整えると、「動きやすいけど遅い厨房」が完成します。
● ボトルネックは1か所あれば十分遅くなります
厨房の流れは、最も遅い工程に引きずられます。
・最終盛り付け
・最終加熱
・味の決定
・提供判断
これらが一人・一箇所に集中していると、そこが止まった瞬間、全体が止まります。
重要なのは、「誰が遅いか」ではなく、「止まったら全体が止まる場所がどこか」を特定することです。
● 設計とは、設備配置ではなく“流れの割り算”です
本来の設計とは、機器を並べることではありません。
・どこで分岐させるか
・どこまでを仕込みで終わらせるか
・どこを並行化できるか
つまり、流れを分解し、集中を避けることです。
ここを押さえずに動線だけを整えると、厨房は「きれいに詰まる構造」になってしまいます。
■ 「早い店」が最初から作っている3つの前提
料理の提供が早い店を見ると、「スタッフが優秀」「手際がいい」と感じがちです。
しかし実際には、多くの“早い店”は、人に頼る前に構造を作っています。
彼らは、開業時点で次の3つの前提を店の中に組み込んでいます。
● 提供時に“考えさせない”前提
早い店の厨房では、注文が入った瞬間に手が動きます。
なぜなら、考える要素がほとんど残っていないからです。
・分量が決まっている
・盛り方が決まっている
・置き場所が決まっている
・手順が決まっている
その結果、ピーク中に起きるのは「作業」だけで、「判断」はほぼありません。
提供が遅い店ほど、厨房で会話が増えます。
早い店ほど、無言で流れます。
● 同時に注文が入る前提で組んでいる
早い店は、「1皿きれいに作る構造」ではありません。
「同時に何皿も動く構造」で設計されています。
・複数火口が同時に回る
・盛り工程が分散している
・途中工程で分岐できる
なので、注文が重なっても、作業が一箇所に集中しません。
提供が遅い店は、「一皿の完成ルート」を基準に作られ、早い店は、「同時進行の処理能力」を基準に作られています。
● 調理ではなく“流れ”を設計している
早い店が最初に決めているのは、レシピより先に、
・誰が受け取るか
・どこに置かれるか
・どこで次に渡るか
という流れです。
料理は、その流れに“乗る形”で設計されています。
結果として、厨房では
「誰がやるの?」
「どこ置くの?」
「次どっち?」
という言葉が消えます。
● 速さは才能ではなく、前提の数です
料理が早いか遅いかは、才能の差ではありません。
どれだけ多くの前提を、開業前・仕込み段階で終わらせているかの差です。
前提が多いほど、ピーク中に判断が減り、判断が減るほど、厨房は自然に早くなります。
■ まとめ:料理が遅いのは、人ではなく構造です
「料理が遅い」という問題は、つい“人”に向けられがちです。
動きが遅い、段取りが悪い、経験が足りない。
しかし本記事で見てきた通り、多くの場合、遅さの正体は能力ではなく構造にあります。
● 早くさせようとするほど、店は遅くなります
現場が詰まっているときにスピードを求めると、
・同時に作りすぎる
・抱えすぎる
・確認が後回しになる
といった現象が起きやすくなります。
その結果、厨房には待ち・滞留・やり直しが増え、「動いているのに出ない状態」が固定化されていきます。
● 見るべきは「誰が遅いか」ではありません
改善の出発点は、スタッフではなく厨房です。
・どこで必ず止まっているか
・誰に工程が集中しているか
・ピーク中に不要な作業が残っていないか
この3点を洗い出すだけで、多くの店は“遅さの正体”が見えてきます。
● 提供スピードは、努力ではなく設計の結果です
料理の提供は、気合や根性で早くなりません。
早くなったように見えても、どこかで必ず無理が出ます。
本当に持続的に早い店は、
・仕込みで終わらせることを決め
・同時進行を前提に組み
・止まらない流れを作っています。
つまり、速さは才能ではなく設計です。
● 変えるべきは「人」より先に「流れ」です
もし今、「うちは料理が遅い」と感じているなら、誰かを鍛える前に、誰かを入れる前に、一度厨房の流れを紙に書き出してみてください。
そこにはきっと、頑張らなくても早くなる余地が残っています。
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