おでんは、居酒屋や和食店を中心に、寒い季節の定番メニューとして親しまれています。大根や卵、こんにゃく、練り物など、身近な食材を組み合わせて提供できるため、既存メニューへの追加や季節限定メニューの開発にも取り入れやすい料理です。
一方で、飲食店でおでんを提供する場合は、具材の仕入れ価格や販売価格の設定、仕込みにかかる人件費、保温設備の選定などを考える必要があります。売れ残りが多くなれば食材ロスが発生するため、販売数を予測しながら仕込み量を調整することも重要です。
この記事では、飲食店でおでんメニューを作る際の基本的な考え方から、原価率の計算方法、具材の選び方、仕込みの効率化、保温設備、利益を確保する価格設定まで詳しく解説します。
目次
飲食店でおでんメニューを導入するメリット

おでんは、複数の具材をまとめて仕込み、注文に応じて提供できる料理です。提供方法を工夫すれば、調理作業の負担を抑えながら、季節感のあるメニューを展開できます。
季節限定メニューとして集客につなげやすい
おでんは、気温が下がる秋から冬にかけて需要が高まりやすい料理です。温かい料理を求めるお客様に向けて訴求できるため、居酒屋や和食店、立ち飲み店などで季節限定メニューとして導入する方法があります。
例えば、定番のおでん盛り合わせを用意したり、地域の食材を使ったご当地おでんを販売したりする方法が考えられます。季節の日本酒や焼酎などと組み合わせれば、料理とドリンクの追加注文を促すきっかけにもなります。
ただし、季節限定メニューは提供期間や販売数を事前に検討することが大切です。気温や客層、曜日によって注文数が変わるため、販売実績を確認しながら仕込み量を調整しましょう。
具材の組み合わせで客単価を調整できる
おでんは、単品販売と盛り合わせの両方に対応しやすい料理です。
大根やこんにゃくなどの定番具材を手頃な価格で提供する一方、牛すじやタコ、こだわりの練り物などを加えることで、価格帯に幅を持たせられます。
また、少量の盛り合わせを最初の注文向けに設定し、追加で好きな具材を選べるようにすれば、お客様の好みに応じた注文につながります。
仕込みと提供の流れを標準化しやすい
おでんは、具材ごとに下処理や加熱時間を決めておくことで、仕込み作業を標準化しやすい料理です。
例えば、大根は下ゆでしてから煮込み、練り物は提供時間に合わせて鍋に加えるなど、工程を分けておく方法があります。仕込み手順や一人前の提供量をマニュアル化すれば、担当者による味や盛り付けのばらつきを抑えやすくなります。
ただし、仕込みや保温に時間がかかるため、実際の作業負担や光熱費まで含めて導入を検討する必要があります。
飲食店のおでんの原価率はどれくらい?

おでんの原価率は、使用する具材や仕入れ価格、販売価格によって変わります。一般的な飲食店の原価率を参考にしながら、店舗の業態や利益計画に合った目標を設定することが大切です。
原価率の計算方法
原価率は、販売価格に対して食材原価がどの程度を占めるかを示す指標です。計算式は次のとおりです。
原価率(%)=食材原価÷販売価格×100
例えば、食材原価が60円の具材を200円で販売する場合、原価率は30%です。
200円-60円=140円となり、食材原価を差し引いた金額は140円です。ただし、この金額から人件費や光熱費、家賃、消耗品費などを負担するため、140円がそのまま最終的な利益になるわけではありません。
おでんの原価率を考える際のポイント
おでんは具材ごとに仕入れ価格が異なるため、すべての具材で同じ原価率を目指す必要はありません。
例えば、比較的原価を管理しやすい大根やこんにゃくを定番商品にし、牛すじやタコなどは販売価格を調整して提供する方法があります。定番商品と高付加価値商品を組み合わせることで、メニュー全体の収益性を管理しやすくなります。
また、原価計算では、仕入れた食材の価格だけでなく、下処理で取り除く部分や煮崩れ、売れ残りなども考慮する必要があります。仕入れ価格が安くても、廃棄が多ければ実際の原価負担は大きくなります。
おでんの具材別に見る原価管理のポイント
おでんのメニュー構成を考える際は、具材の人気だけでなく、原価や下処理の手間、保存性、提供にかかる時間も確認しましょう。
| 具材 | 原価管理のポイント | メニューでの役割 |
|---|---|---|
| 大根 | サイズや可食部、下ゆで後の歩留まりを確認する | 定番商品、盛り合わせの中心 |
| 卵 | 仕入れ価格やゆで卵の調理時間を管理する | 幅広い客層に向けた定番商品 |
| こんにゃく | 形状や一人前の提供量を統一する | 手頃な価格帯の商品 |
| ちくわ・さつま揚げ | 商品ごとの仕入れ価格と内容量を比較する | 種類を増やしやすい練り物 |
| 厚揚げ・がんもどき | 商品サイズや煮崩れ、保存方法を確認する | 食べ応えを加える商品 |
| 牛すじ | 下処理や加熱にかかる時間、歩留まりを把握する | 高付加価値商品 |
| タコ | 仕入れ価格の変動や一人前の重量を管理する | 特徴を出す商品 |
※原価は仕入れ先、規格、時期によって変動します。表は管理上のポイントを示したものであり、特定の仕入れ価格を示すものではありません。
定番具材は規格と提供量を統一する
大根や卵、こんにゃくなどの定番具材は、注文頻度が高くなりやすいため、仕入れ規格や提供量を決めておくことが重要です。
大根は一本当たりの価格だけでなく、皮むきや面取りなどの下処理後に何人前取れるかを確認しましょう。大きさが不ぞろいの場合は、カット後の重量や一人前のサイズを決めることで、原価計算の精度を高められます。
卵やこんにゃくについても、提供する個数や切り方を統一すれば、盛り付けのばらつきや過剰提供を防ぎやすくなります。
高原価になりやすい具材は販売数を管理する
牛すじやタコなどは、仕入れ価格や下処理の方法によって一人前の原価が変わりやすい具材です。
こうした具材は、仕入れ時に重量や規格を確認し、提供量をあらかじめ決めておくことが重要です。注文数が読みづらい場合は、数量限定メニューとして販売する方法もあります。
ただし、数量を絞りすぎると売り切れによる機会損失が生じる可能性もあります。販売実績を記録し、曜日や時間帯ごとの注文傾向を見ながら仕入れ量を調整しましょう。
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おでんメニューの価格設定と原価率の計算例

おでんの販売価格は、食材原価だけで決めるのではなく、店舗の目標原価率や作業負担、競合店の価格帯、客単価などを踏まえて設定します。
例えば、目標原価率を30%とした場合、食材原価から販売価格を計算する方法は次のとおりです。
販売価格の計算式は、食材原価÷目標原価率です。目標原価率30%は、計算時に0.3として使用します。
| 1人前の食材原価 | 目標原価率 | 計算上の販売価格 |
|---|---|---|
| 45円 | 30% | 150円 |
| 60円 | 30% | 200円 |
| 75円 | 30% | 250円 |
| 90円 | 30% | 300円 |
| 120円 | 30% | 400円 |
※計算例であり、実際の販売価格を示すものではありません。税の扱いや店舗の価格方針に合わせて調整してください。
計算上の価格が150円となっても、必ず150円で販売する必要はありません。客層や周辺店舗の価格帯、盛り付け、提供方法などを踏まえて最終価格を決めます。
また、複数の具材を盛り合わせる場合は、具材ごとの原価を合計して一人前の原価を計算します。単品価格を合計した金額と比較し、盛り合わせとしての魅力と収益性の両方を検討しましょう。
飲食店でおでんの仕込みを効率化する方法

おでんは、具材の下処理や煮込みに時間がかかる場合があります。仕込みを効率化するには、具材ごとの工程を整理し、営業中の作業をできるだけ減らすことがポイントです。
具材ごとに下処理と加熱時間を分ける
大根や牛すじなど、加熱に時間がかかる具材は、営業前に下処理や下ゆでを行うと、提供時の負担を軽減できます。
一方、はんぺんなどの食感が変わりやすい具材や、煮崩れしやすい商品は、仕上がりを確認しながら鍋に加えると品質を保ちやすくなります。
仕込み表には、具材ごとの下処理方法、加熱時間、仕込み量、保管方法などを記録しましょう。担当者が変わっても同じ品質を目指しやすくなります。
一度に大量に仕込まず、販売予測に合わせる
おでんは、売れ残りが多いと食材ロスが発生します。初めてメニュー化する場合は、少量から販売を始め、実際の注文数を確認して仕込み量を調整する方法が有効です。
例えば、平日と週末、昼営業と夜営業で販売数を分けて記録すると、必要な仕込み量を予測しやすくなります。気温が下がる日や宴会予約がある日など、需要の変化も考慮しましょう。
また、仕込み量だけでなく、鍋に入れる具材の種類や追加するタイミングも決めておくと、過剰な煮込みや品質のばらつきを抑えやすくなります。
仕込み作業をマニュアル化する
仕込みを効率化するには、作業の標準化も重要です。
例えば、次の項目をマニュアルにまとめておくと、作業時間や品質の管理に役立ちます。
・具材ごとの仕入れ規格と一人前の重量
・下処理の方法と加熱時間
・だしの配合と調味料の使用量
・仕込み量と追加補充の基準
・保管温度や保管時間の記録方法
・売れ残りの確認と廃棄ルール
味付けや提供量を数値化すれば、担当者の経験だけに頼らず、安定した品質を維持しやすくなります。
おでんの提供に必要な保温設備の選び方
飲食店でおでんを提供する場合は、営業スタイルに合った保温設備を選ぶことも重要です。設備によって容量や温度調整の方法、設置スペース、清掃性が異なるため、導入前に確認しましょう。
| 設備の種類 | 特徴 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 電気式おでん鍋 | 電源を使って加熱・保温する | 容量、温度調整、消費電力 |
| ガス式おでん鍋 | ガスを使って加熱・保温する | ガス種、設置条件、換気設備 |
| 卓上型の保温鍋 | 小規模な提供やカウンター営業に向く場合がある | 収容量、設置面積、清掃性 |
| 大容量の業務用鍋 | 多品目やまとまった販売数に対応しやすい | 営業規模、補充のしやすさ、洗浄性 |
営業規模と販売数に合う容量を選ぶ
設備を選ぶ際は、鍋の大きさだけでなく、一度に何人前を提供するかを考えます。
小規模な店舗で大容量の設備を導入すると、必要以上に仕込むことになり、売れ残りや光熱費の増加につながる可能性があります。一方、販売数に対して容量が小さい場合は、営業中の補充や再加熱の作業が増えます。
予想販売数、具材の種類、ピーク時間帯を整理し、必要な容量を見極めましょう。
温度調整と清掃のしやすさを確認する
おでん鍋は、長時間の使用を想定した温度管理のしやすさが重要です。温度調整機能のほか、鍋や仕切りの取り外しやすさ、洗浄しやすい構造かどうかも確認しましょう。
設備の選定では、本体価格だけでなく、消費電力やガス使用量、設置工事の有無、日々の清掃にかかる時間も含めて比較することが大切です。
おでんの衛生管理で注意したいポイント
おでんは、仕込みから提供まで時間がかかる場合があるため、衛生管理のルールを決めておく必要があります。加熱済みの料理であっても、温度管理や器具の衛生状態が不十分であれば、食中毒のリスクを防げません。
保管温度と提供までの時間を管理する
調理した食品は、提供までの保管方法を明確にし、温度と時間を記録することが重要です。厚生労働省の持ち帰り・デリバリー向け衛生管理情報では、調理済み食品について、速やかに10℃以下まで冷やすか、65℃以上で保管する方法が示されています。
実際の店舗運営では、食品の種類や調理工程、提供方法に応じて適切な管理方法を設定し、施設の衛生管理計画に沿って運用してください。常温で長時間放置したり、温度が不明な状態で再提供したりしないようにしましょう。
仕込み後の冷却と再加熱を適切に行う
営業前に仕込んだおでんを冷蔵保管する場合は、衛生的な容器を使用し、速やかに冷却して冷蔵庫へ移すなど、適切な手順を定めます。大量の料理を大きな鍋のまま冷却すると、中心部の温度が下がるまで時間がかかることがあるため、小分けにするなどの方法も検討しましょう。
再加熱する際は、食品全体が十分に加熱されるように管理します。冷却や再加熱の方法、記録項目については、店舗の衛生管理計画と管轄保健所の案内を確認してください。
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飲食店のおでんメニューで利益を確保するポイント

おでんの収益性を高めるには、原価率だけでなく、注文数や仕込み時間、廃棄量などを合わせて確認することが重要です。
盛り合わせで追加注文を促す
単品メニューに加えて、3品盛りや5品盛りなどのセットを用意すると、初めて注文するお客様にも選びやすくなります。
盛り合わせは、定番具材を中心に構成し、季節の具材や高付加価値の具材を追加できる仕組みにすると、注文の幅を広げられます。セット価格を決める際は、構成する具材の原価を合計し、目標原価率を満たしているか確認しましょう。
定番商品と特徴のある商品を組み合わせる
大根、卵、こんにゃくなどの定番商品に加え、牛すじや地域の練り物、季節の野菜などを取り入れると、メニューに変化を付けられます。
すべての具材を増やすと仕入れや仕込みが複雑になるため、最初は少数の定番商品から始め、販売実績を見ながら種類を増やす方法がおすすめです。
原価率だけでなく廃棄と作業時間も確認する
原価率が低い商品でも、売れ残りが多かったり、下処理に長い時間がかかったりすると、店舗全体の収益性が下がる場合があります。
商品ごとに販売数、食材原価、廃棄量、仕込み時間を記録すると、利益に貢献している具材や見直しが必要な商品を把握しやすくなります。
定期的に販売データを確認し、価格や仕込み量、メニュー構成を調整することが大切です。
まとめ
飲食店でおでんメニューを作る際は、具材選びやだしの味だけでなく、原価率、仕込みの効率、保温設備、衛生管理まで含めて計画することが重要です。
大根や卵、こんにゃくなどの定番具材を軸に、牛すじやタコ、地域の練り物などを組み合わせると、価格帯に幅を持たせやすくなります。販売価格は食材原価と目標原価率から計算し、客層や店舗の運営コストも踏まえて設定しましょう。
また、販売実績に合わせて仕込み量を調整し、保温設備の容量や清掃性を確認することで、作業負担や食材ロスの軽減につながります。温度と時間の管理を徹底し、店舗の衛生管理計画に沿って安全に提供することも欠かせません。
おでんを季節の定番メニューとして定着させるには、味や価格だけでなく、仕込みから提供までの運用を整えることがポイントです。小規模な販売から実績を積み重ね、店舗に合ったメニュー構成へ改善していきましょう。

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