寒い季節に人気が高まるおでんは、居酒屋や和食店などで取り入れやすいメニューです。大根や卵、こんにゃくなどの定番具材を中心に、牛すじや地域の特産品を加えることで、店舗ならではのおでんを提供できます。
一方で、おでんをメニュー化する際は、食材原価だけでなく、下処理や煮込みにかかる時間、提供時の作業負担、売れ残りによる廃棄なども考慮しなければなりません。仕込みに手間をかけすぎたり、販売価格を適切に設定できなかったりすると、売上が伸びても十分な利益を確保できない可能性があります。
この記事では、飲食店でおでんメニューを作る際の基本的な考え方から、原価率の計算方法、具材選び、仕込み時間、提供オペレーション、販売価格の設定方法まで詳しく紹介します。
目次
飲食店でおでんメニューを作る際の基本

おでんをメニューに加える際は、最初に店舗の業態や客層、提供する時間帯を整理しましょう。居酒屋でお酒のお供として提供する場合と、定食店で食事の一品として提供する場合では、適した具材や価格帯、盛り付け方が異なります。
例えば、居酒屋なら牛すじや厚揚げ、餅入り巾着など、食べ応えのある具材をそろえる方法があります。和食店なら、だしの風味を生かした大根や卵、季節の野菜などを中心に構成するのもよいでしょう。
店舗のコンセプトに合わせて具材を決める
おでんの具材を増やせば選択肢は広がりますが、その分、仕入れや下処理、在庫管理の負担も増えます。導入時は、注文頻度が高いと見込まれる定番具材を中心に、店舗の特徴を出せる具材を数種類加える構成がおすすめです。
例えば、次のような組み合わせが考えられます。
・定番型:大根、卵、こんにゃく、ちくわ、厚揚げ
・居酒屋向け:大根、卵、牛すじ、がんもどき、餅入り巾着
・地域色を出す型:定番具材に地域の練り物や地元食材を追加
・高付加価値型:こだわりのだし、地元産の食材、特別な練り物などを使用
最初から多くの種類をそろえるのではなく、販売実績を確認しながら品ぞろえを調整すると、食材の余剰や廃棄を抑えやすくなります。
提供方法を先に決める
おでんは、提供方法によって必要な設備や作業手順が変わります。注文ごとに鍋から取り分ける方法のほか、盛り合わせとして提供する方法、小鉢で少量ずつ販売する方法などがあります。
| 提供方法 | 特徴 | 向いている店舗 |
|---|---|---|
| 1品ずつ注文 | 好みの具材を選べる | 居酒屋、専門店 |
| 盛り合わせ | 注文や盛り付けを効率化しやすい | 居酒屋、和食店 |
| 小鉢で提供 | 少量から注文しやすい | 定食店、飲食店の副菜 |
| 定食やコースに組み込む | 食事全体の構成に組み込みやすい | 和食店、食堂 |
店舗の客単価や厨房の広さ、スタッフ数などを踏まえ、無理なく運用できる方法を選びましょう。
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おでんの原価率はどれくらい?計算方法と考え方
おでんの原価率は、使用する具材や仕入れ価格、販売価格によって変わります。飲食店では一般的に原価率30%前後が一つの目安として使われますが、すべての店舗やメニューに当てはまるわけではありません。店舗全体の収益構造や人件費、光熱費などを踏まえて目標を設定することが重要です。
原価率の計算方法
原価率は、販売価格に対して食材原価が占める割合を示す指標です。次の計算式で求められます。
原価率(%)=食材原価÷販売価格×100
例えば、食材原価が60円の具材を200円で販売する場合、原価率は30%です。
200円-60円=140円となり、食材原価を差し引いた金額は140円です。ただし、この金額から人件費や光熱費、家賃、消耗品費などを負担するため、140円がそのまま店舗の利益になるわけではありません。
具材ごとの原価を把握する
おでんは具材ごとに仕入れ価格が異なるため、商品別に原価を計算することが大切です。大根やこんにゃくのように価格を管理しやすい具材もあれば、牛すじやタコのように下処理や仕入れ価格の影響を受けやすい具材もあります。
原価を計算するときは、仕入れ価格だけでなく、皮や筋などの廃棄部分、調理後の重量、1人前に使用する量も確認しましょう。仕入れた食材をすべて商品に使えるとは限らないため、実際に提供できる量を基準に計算する必要があります。
目標原価率から販売価格を考える
食材原価を把握したら、目標とする原価率をもとに販売価格を検討します。
販売価格の計算式は次のとおりです。
販売価格=食材原価÷目標原価率
例えば、1品の食材原価が60円で、目標原価率を30%とする場合、計算上の販売価格は200円です。
ただし、計算上の価格をそのまま採用するのではなく、競合店の価格、客層、店舗のコンセプト、提供量なども考慮して調整しましょう。価格を決めた後は、実際の販売数や廃棄量を確認し、必要に応じて見直すことが大切です。
おでんの具材選びで押さえたいポイント

おでんの具材を選ぶ際は、人気や味だけでなく、原価、仕込みの手間、保存方法、提供時の扱いやすさを確認しましょう。仕入れ価格が安くても、下処理に時間がかかったり、売れ残りが多く発生したりすると、期待した利益につながらない場合があります。
定番具材は原価と提供量を管理する
大根、卵、こんにゃく、ちくわなどは、おでんの基本となる具材です。定番商品として継続的に提供する場合は、仕入れ規格や1人前の量を決めておきましょう。
大根は、皮むきや面取り、下ゆでなどの工程で重量が変わります。一本当たりの仕入れ価格だけでなく、下処理後に何人前取れるかを把握すると、実際の原価を計算しやすくなります。
卵やこんにゃくも、提供する個数やサイズを統一することで、盛り付けのばらつきや過剰提供を防ぎやすくなります。
高原価の具材は価格と提供量を調整する
牛すじやタコ、こだわりの練り物などは、商品としての魅力を高めやすい一方、仕入れ価格や下処理によって原価が上がることがあります。
こうした具材は、仕入れ時の重量と調理後の重量を記録し、1人前の使用量を決めておくことが重要です。原価が高い場合は、提供価格を見直すほか、盛り合わせの構成を工夫する方法もあります。
例えば、定番具材と高付加価値の具材を組み合わせた盛り合わせを作れば、客が選びやすい商品を用意しながら、注文全体の原価率を管理できます。ただし、利益の出やすい具材だけに偏らず、満足度や注文されやすさも踏まえて構成しましょう。
仕入れ先や規格を比較する
同じ種類の具材でも、仕入れ先や商品規格によって単価、内容量、下処理の必要性が異なります。業務用食材を仕入れる際は、単価だけでなく、調理のしやすさや品質の安定性も比較しましょう。
下処理済みの大根や規格が統一された練り物などを活用すれば、仕込み時間を短縮できる場合があります。一方で、加工済み商品は仕入れ価格が高くなることもあるため、削減できる人件費や廃棄量と合わせて判断することが大切です。
おでんの仕込み時間を短縮する方法
おでんは、具材の下処理や煮込み、味の調整などに時間がかかるメニューです。仕込み作業が営業時間に食い込むと、ほかの料理の準備や接客にも影響するため、工程を整理して効率化しましょう。
具材ごとに下処理の手順を決める
おでんは具材によって必要な下処理が異なります。大根は皮むきや面取り、下ゆでを行い、こんにゃくは商品やレシピに応じて切り込みや下ゆでなどを行います。牛すじなどは、余分な脂や汚れを取り除く工程が必要になる場合があります。
作業手順をマニュアル化し、担当者によって仕上がりや作業時間に差が出ないようにしましょう。下処理をまとめて行う場合は、仕込み量を販売予測に合わせ、過剰に作りすぎないことも重要です。
仕込みを分担して作業を平準化する
仕込み作業は、営業前にすべて集中させるのではなく、作業内容に応じて分担すると効率化しやすくなります。
例えば、食材の検品や計量、野菜の洗浄など、衛生管理上適切な工程を事前に整理しておき、当日の調理作業を減らす方法があります。ただし、事前準備を行う場合も、食材ごとの温度管理や保存時間、交差汚染の防止など、衛生管理の手順を守る必要があります。
だしと具材の仕込みを計画する
おでんの味を安定させるには、だしの配合や煮込み時間、火加減を一定にすることが大切です。使用するだしや調味料の分量を記録し、担当者が変わっても同じ品質で提供できるようにしましょう。
また、具材によって適した加熱時間は異なります。すべてを同時に鍋へ入れるのではなく、煮崩れや食感の変化を考慮して投入するタイミングを決めます。仕込みにかかった時間を記録しておくと、必要な人員や作業開始時刻も計画しやすくなります。
おでんの提供オペレーションを整える
おでんは、営業中に注文を受けてから具材を取り分けることが多いため、提供手順を整えておくと作業効率が高まります。特に注文が集中する時間帯は、盛り付けや会計に時間がかかると、ほかの料理の提供にも影響します。
盛り付けと注文方法を統一する
1品ずつ注文を受ける場合は、具材ごとの提供量と盛り付け位置を決めておきましょう。盛り合わせを用意する場合は、具材の組み合わせと価格をあらかじめ設定すると、注文確認や調理の手間を減らしやすくなります。
メニュー表には、具材名と価格をわかりやすく表示します。盛り合わせについても、具材の種類や個数を記載しておけば、注文時の確認を簡略化できます。アレルギー情報や使用食材について問い合わせがあった際に対応できるよう、原材料情報も整理しておきましょう。
在庫と販売数を記録する
営業中は、具材ごとの販売数と残数を記録しましょう。売れ筋の具材と注文が少ない具材を把握できれば、次回の仕込み量や発注量を調整しやすくなります。
例えば、大根や卵はよく売れる一方、特定の練り物が残りやすい場合は、仕込み量や品ぞろえを見直す方法があります。曜日や時間帯、天候によって注文数が変わることもあるため、一定期間の実績をもとに販売予測を立てましょう。
衛生管理と温度管理を徹底する
おでんは加熱して提供する料理ですが、仕込みから提供までの管理が重要です。食材の受け入れ、下処理、加熱、保管、再加熱などの各工程で、店舗の衛生管理手順に沿って温度と時間を管理しましょう。
営業中に鍋の中身を継ぎ足す場合も、古い具材と新しい具材が混在したまま管理されないよう、投入時刻や入れ替えのルールを決めておくことが大切です。長時間の保温や売れ残りの扱いについても、食品衛生上の基準と店舗の管理手順に従いましょう。
おでんの販売価格を決めるポイント
おでんの販売価格は、食材原価だけでなく、仕込みや提供にかかる人件費、光熱費、設備費などを考慮して設定します。価格を低く設定しすぎると、販売数が増えても十分な利益が残らない可能性があります。
1品販売と盛り合わせを使い分ける
1品ずつ販売する方法は、客が好きな具材を選びやすい点がメリットです。一方、盛り合わせは、客単価を高めたり、注文や盛り付けを効率化したりする方法として活用できます。
例えば、定番具材を中心とした盛り合わせと、牛すじやこだわりの練り物を加えた盛り合わせを用意すれば、価格帯に幅を持たせられます。価格差に見合う具材や量の違いが伝わるように、メニューの説明を工夫しましょう。
原価率だけでなく粗利益も確認する
販売価格を検討する際は、原価率に加えて、1品当たりの粗利益も確認することが大切です。
粗利益の計算例は次のとおりです。
・販売価格:200円
・食材原価:60円
・食材原価を差し引いた金額:140円
この例では原価率は30%ですが、残る140円から人件費や光熱費などを負担する必要があります。また、実際の営業では廃棄や調理ミスが発生する可能性もあるため、計算上の粗利益と実績を比較して管理しましょう。
販売実績に合わせて価格や構成を見直す
販売開始後は、具材ごとの注文数、原価、廃棄量を定期的に確認します。原材料費が上昇した場合や、仕込みに想定以上の時間がかかっている場合は、価格や提供量、仕入れ先などを見直しましょう。
価格を変更するだけでなく、盛り合わせの構成を変えたり、注文の少ない具材を整理したりする方法もあります。客の満足度を維持しながら、店舗全体の収益性を改善することが重要です。
まとめ

飲食店でおでんメニューを作る際は、具材の選定、原価計算、仕込み時間、提供オペレーション、販売価格を総合的に考える必要があります。
大根や卵、こんにゃくなどの定番具材を中心に、店舗のコンセプトに合った商品を組み合わせると、品ぞろえと原価管理のバランスを取りやすくなります。また、仕入れ規格や提供量を統一し、販売数や廃棄量を記録することで、仕込みや発注の精度を高められます。
おでんを導入した後も、実際の注文傾向や原材料費の変化を確認しながら、具材の構成や価格を見直しましょう。店舗の客層や営業スタイルに合ったメニュー設計と、無理なく続けられる運用体制を整えることが、安定した販売につながります。

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