「明日までに支払いがある…」そんな時、慌てて借りる前に知っておきたいことをご紹介!
飲食店を経営していると、
「売上はあるのに手元に現金がない」
「急な設備故障で予定外の出費が発生した」
「仕入れ代金や家賃の支払いが迫っている」
といった資金繰りの悩みに直面することがあります。
特に飲食業は、食材の仕入れや人件費、家賃、水道光熱費など、毎月決まった支払いが多い業種です。
その一方で、売上は天候や季節、周辺環境などの影響を受けやすく、思うように現金が残らないケースも少なくありません。
また、これから飲食店を開業する方も、
「開業資金は準備できたものの、オープン後の運転資金が足りなくなりそう」
「予定より内装工事費が高くなってしまった」
など、想定外の資金不足に悩まされることがあります。
しかし、資金が足りないからといって、焦って高金利のローンや返済計画のない借り入れをしてしまうと、後々さらに経営を苦しくしてしまう可能性があります。
大切なのは、
「本当に借りる必要があるのか」
「どこから借りるのが最適なのか」
を冷静に判断することです。
この記事では、飲食店が資金不足になった際に利用できる資金調達方法や、借り入れ前に確認すべきポイント、資金繰りを悪化させないための考え方について詳しく解説します。
まずは、資金調達を検討する前に確認しておきたいポイントから見ていきましょう。
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目次
■まず確認したい!本当に資金調達が必要なのかを整理する

「お金が足りない」と感じた瞬間、多くの人は「どこから借りられるだろう」と考えます。
しかし、実際には借り入れをしなくても乗り切れるケースや、逆に早めに融資を受けた方がよいケースなど、状況によって取るべき行動は異なります。
まずは現在の資金状況を整理し、本当に借り入れが必要なのかを見極めましょう。
●資金不足には「一時的」と「慢性的」の2種類がある
一口に資金不足と言っても、その原因は大きく分けて2つあります。
一時的な資金ショート
これは、「現金が一時的に不足している状態」です。
例えば、
▶クレジットカードやキャッシュレス決済の入金が翌月になる
▶団体予約の入金がまだ先になる
▶設備修理などの急な出費が発生した
▶季節的な売上減少で一時的に現金が減っている
このようなケースでは、将来的な入金予定があるため、一時的な資金調達で乗り切れる可能性があります。
例えば、売上自体は順調でも、現金化までのタイムラグによって資金繰りが苦しくなることは、飲食店では決して珍しくありません。
慢性的な資金不足
一方で注意したいのが、慢性的な資金不足です。
例えば、
▶毎月赤字が続いている
▶売上より固定費が高い
▶利益がほとんど残らない
▶借りてもすぐに資金がなくなる
このような状態では、借り入れをしても根本的な問題は解決しません。
借りたお金はいずれ返済しなければならないため、利益を生み出せる経営体質に改善しなければ、さらに経営を圧迫することになります。
資金調達はあくまでも「時間を買うための手段」です。
経営改善とセットで考えることが重要です。
●まず確認したい4つのポイント
資金調達を検討する前に、現在の状況を整理してみましょう。
ポイント1. 支払い期限はいつなのか
まず確認したいのは、何日までに支払いが必要なのかです。
例えば、
▶家賃
▶食材の仕入れ代金
▶従業員の給与
▶税金
▶リース料
など、それぞれ支払日が異なります。
支払い日を一覧にすると、「実は数日猶予がある」「優先順位を付けられる」と気付くこともあります。
慌てて借りる前に、支払いスケジュールを整理しましょう。
ポイント2. 入金予定はいつあるのか
売上がないのではなく、「まだ入金されていないだけ」というケースも多くあります。
例えば、
▶キャッシュレス決済
▶クレジットカード決済
▶法人宴会の請求
▶デリバリーサービスからの振込
これらの入金予定日を確認すると、あと数日待てば資金不足を解消できる場合もあります。
「入るお金」と「出るお金」のタイミングを把握することは、資金繰り管理の基本です。
ポイント3. 在庫を抱え過ぎていないか
飲食店では、食材を必要以上に仕入れてしまうと、その分だけ現金が減ってしまいます。
特に、
×大量購入による余剰在庫
×季節メニュー用の仕入れ
×売れ行きを見誤った高額食材
などは、資金繰りを圧迫する原因になります。
冷蔵庫や冷凍庫に長期間保管されている食材が多い場合は、仕入れ計画を見直すだけでも現金の流れを改善できる可能性があります。
「安いからまとめて買う」という考え方が、結果として資金不足を招いてしまうこともあるため注意が必要です。
ポイント4. 固定費を見直せる余地はないか
売上を増やすことばかりに目が向きがちですが、毎月必ず発生する固定費を見直すことも重要です。
例えば、
☐電気やガスの契約内容
☐不要なサブスクリプション
☐リース契約
☐広告費
☐通信費
これらを見直すことで、毎月数万円単位の支出を削減できる場合があります。
資金調達は「お金を増やす方法」ですが、固定費の削減は「お金が減るスピードを抑える方法」です。
両方を同時に考えることで、より安定した経営につながります。
●借りる前に一度立ち止まることが大切
資金不足になると、「今すぐ現金を用意しなければ」という焦りから、十分に比較せず借り入れを決めてしまうことがあります。
しかし、本当に重要なのは、「なぜ資金が足りなくなったのか」を把握することです。
一時的な資金不足であれば、適切な融資や資金調達によって乗り切れる可能性があります。
一方で、慢性的な赤字が原因であれば、まずは売上や原価、固定費など経営全体を見直すことが優先されます。
借り入れは経営を立て直すための有効な手段ですが、目的ではありません。
現状を冷静に分析し、自店にとって最適な方法を選ぶことが、資金繰り改善への第一歩となります。
■飲食店の駆け込み寺になる資金調達方法6選【前編】

資金繰りが苦しくなったとき、「どこに相談すればよいのか分からない」という飲食店経営者は少なくありません。
しかし、資金調達にはさまざまな方法があり、それぞれ特徴や向いているケースが異なります。
大切なのは、「とにかく早く借りられるところ」を探すのではなく、自店の状況に合った方法を選ぶことです。
ここでは、多くの飲食店が利用している代表的な資金調達方法の中から、まず3つをご紹介します。
●その1. 日本政策金融公庫
飲食店が資金調達を考えたとき、まず候補に挙がるのが日本政策金融公庫です。
日本政策金融公庫は、国が100パーセント出資している政策金融機関であり、中小企業や個人事業主、これから開業する人を支援することを目的としています。
そのため、民間の金融機関と比べると、創業間もない事業者でも相談しやすいという特徴があります。
開業前から利用できる制度がある
これから飲食店を開業する方であれば、開業資金や設備資金、運転資金として利用できる融資制度があります。
例えば、
▶店舗の内装工事
▶厨房機器の購入
▶テーブルや椅子などの備品
▶オープン後数カ月分の運転資金
など、幅広い用途で利用できます。
「自己資金だけでは少し足りない」という場合でも、しっかりとした事業計画書を作成することで、融資を受けられる可能性があります。
経営中の運転資金にも対応
すでに営業している店舗でも、
▶売上減少
▶設備の故障
▶仕入れ資金の不足
▶人件費の増加
など、一時的な資金不足であれば運転資金として相談できます。
もちろん審査はありますが、日頃から帳簿を整え、売上や利益を適切に管理している店舗ほど相談しやすくなります。
利用する際のポイント
日本政策金融公庫は比較的安心して利用できる制度ですが、申し込みから融資実行までには一定の期間が必要です。
「明日までに支払いがある」というような緊急時には間に合わない可能性もあります。
そのため、資金が底をつく直前ではなく、「少し余裕がある段階」で相談を始めることが重要です。
●その2. 信用保証協会付き融資
次に検討したいのが、信用保証協会付き融資です。
これは地方銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人のような役割を担う制度です。
金融機関にとって貸し倒れのリスクが軽減されるため、中小企業でも融資を受けやすくなる仕組みです。
地域密着型の金融機関は相談しやすい
飲食店の場合、普段から取引している信用金庫や地方銀行があれば、まずは担当者へ相談してみることをおすすめします。
長年取引がある店舗であれば、
▶売上状況
▶預金残高
▶経営状況
などを把握しているため、相談がスムーズに進むことがあります。
特に地域密着型の金融機関は、地域経済を支える役割も担っているため、飲食店への支援実績も豊富です。
設備投資にも利用できる
信用保証協会付き融資は、運転資金だけでなく設備資金にも利用できます。
例えば、
▶業務用冷蔵庫の買い替え
▶製氷機の更新
▶食器洗浄機の導入
▶空調設備の交換
▶店舗改装
など、長期間使用する設備への投資にも向いています。
特に厨房機器は突然故障することも少なくありません。
営業を止めないためにも、計画的な設備更新を考える際の選択肢として覚えておくと安心です。
日頃の信頼関係が重要
金融機関との付き合いは、「困ったときだけ相談する」のではなく、普段から関係を築いておくことが大切です。
定期的に店舗の状況を伝えたり、新メニューや設備投資について相談したりすることで、いざという時にも協力を得やすくなります。
金融機関は、お金を貸すだけでなく、経営の相談相手にもなってくれる存在です。
●その3. ファクタリング
「売上はあるのに現金が手元にない」という飲食店にとって、有効な選択肢となるのがファクタリングです。
ファクタリングとは、まだ入金されていない売掛金を買い取ってもらい、予定より早く現金化するサービスです。
融資とは異なり、新たな借り入れではないため、状況によっては資金繰りを改善する手段となります。
こんな店舗に向いている
例えば、
▶企業向けの弁当配達を行っている
▶法人宴会の請求書払いが多い
▶ケータリング事業を展開している
▶学校や施設への給食提供を行っている
このように、売掛金が発生する取引をしている飲食店であれば利用できる可能性があります。
通常であれば翌月や翌々月に入金される売掛金を、早めに現金化できるため、一時的な資金不足を解消しやすくなります。
手数料を確認することが重要
便利なサービスですが、売掛金の全額を受け取れるわけではありません。
ファクタリングには手数料が発生するため、受け取れる金額は売掛金より少なくなります。
手数料は会社によって異なるため、複数社を比較することが重要です。
「早く現金が欲しい」という理由だけで契約すると、予想以上の手数料がかかることもあります。
契約内容は必ず確認しましょう。
飲食店では利用できないケースもある
現金商売が中心の飲食店では、売掛金自体が少ないこともあります。
例えば、店内飲食のみで現金やキャッシュレス決済が中心の店舗では、ファクタリングを利用する機会はそれほど多くありません。
一方で、法人取引や定期契約の多い店舗では、有効な資金調達方法となる場合があります。
自店の売上構成を確認した上で検討するとよいでしょう。
●資金調達は「早さ」だけで選ばないことが大切
資金不足になると、どうしても「一番早く現金が手に入る方法」を探してしまいがちです。
しかし、資金調達方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
低金利でも時間がかかるもの、すぐに利用できても手数料や金利が高いものなど、その特徴はさまざまです。
重要なのは、「今必要なお金なのか」「今後の返済計画に無理はないか」を考えながら選ぶことです。
目先の資金不足を解消するだけでなく、その後も安定した経営を続けられる方法を選ぶことが、結果的に店舗を守ることにつながります。
■飲食店の駆け込み寺になる資金調達方法6選【後編】

前編では、日本政策金融公庫、信用保証協会付き融資、ファクタリングについてご紹介しました。
どの方法にも特徴があり、資金不足の原因や必要な金額、調達までのスピードによって最適な選択肢は異なります。
今回は残りの3つ、
「ビジネスローン」
「補助金・助成金」
「リース会社・厨房機器販売店への相談」
について詳しく解説します。
資金調達は単にお金を借りることではなく、店舗を安定して運営するための手段の一つです。
それぞれの特徴を理解し、自店に合った方法を選びましょう。
●その4. ビジネスローン
「数日以内に資金が必要」「すぐに支払いを済ませなければならない」という緊急時に選択肢となるのがビジネスローンです。
ビジネスローンは、事業者向けに提供されている融資サービスで、比較的短期間で審査が行われることが多く、急な資金需要に対応しやすい点が特徴です。
例えば、
▶給料日の資金が不足している
▶家賃の支払いが迫っている
▶急な設備故障で修理費が必要になった
▶仕入れ資金をすぐに確保したい
といったケースでは、迅速な資金調達が期待できます。
利便性が高い一方で注意点もある
ビジネスローンはスピード感が魅力ですが、その分、日本政策金融公庫などの公的融資と比べると金利が高く設定されている場合があります。
そのため、「とりあえず借りる」という考えではなく、返済計画をしっかり立てた上で利用することが重要です。
返済額が毎月の利益を圧迫してしまうようでは、本来の目的である資金繰り改善とは逆効果になってしまいます。
借入額は必要最小限に抑え、できるだけ短期間で返済できる計画を立てましょう。
緊急時の選択肢として考える
ビジネスローンは、長期的な設備投資よりも、一時的な資金不足を補うための利用に向いています。
「あと数日あれば売上が入金される」「一時的な支払いだけ乗り切りたい」という場合には、有効な手段となることがあります。
ただし、何度も繰り返し利用する状態になっている場合は、経営そのものを見直すサインと考えた方がよいでしょう。
●その5. 補助金・助成金
「借りる」のではなく、「受け取る」ことができる制度として活用したいのが補助金や助成金です。
国や自治体では、中小企業や飲食店を対象としたさまざまな支援制度を実施しています。
例えば、
▶店舗改装
▶省エネ設備の導入
▶デジタル化への取り組み
▶キャッシュレス決済の導入
▶販路拡大
などを対象とした制度が用意されることがあります。
返済不要という大きなメリット
補助金や助成金の最大の魅力は、返済の必要がないことです。
融資とは異なり、採択されれば返済義務がないため、資金負担を抑えながら設備投資や事業改善を進めることができます。
特に開業後間もない店舗や、小規模事業者にとっては心強い制度です。
すぐに現金が入るわけではない
一方で、補助金や助成金には注意点もあります。
申請から採択、実際の支給まで数カ月以上かかることも珍しくありません。
そのため、「明日までに支払いが必要」というような緊急時の資金調達には向いていません。
また、多くの制度では、一度自己資金で支払いを済ませた後に補助金が支給される仕組みになっています。
制度の内容をよく確認し、計画的に活用することが大切です。
最新情報を定期的に確認する
補助金や助成金は募集期間が決まっており、毎年内容が変わることもあります。
商工会議所や商工会、自治体、中小企業支援機関などでは最新情報を案内しているため、定期的に確認する習慣をつけるとよいでしょう。
●その6. リース会社・厨房機器販売店への相談
飲食店ならではの資金調達方法として知っておきたいのが、リース会社や厨房機器販売店への相談です。
飲食店では、冷蔵庫や製氷機、フライヤー、食器洗浄機など、高額な厨房機器が欠かせません。
しかし、これらの設備は突然故障することもあり、一度に数十万円から数百万円の出費になる場合があります。
そのような時に役立つのが、リース契約や分割払いです。
初期費用を抑えられる
新品の厨房機器を一括購入すると、大きな資金が必要になります。
一方、リースや分割払いを利用すれば、毎月一定額を支払うことで設備を導入できるため、手元資金を残しながら営業を続けることができます。
開業時はもちろん、営業中の設備更新にも活用されている方法です。
中古厨房機器という選択肢もある
設備費を抑えたい場合は、中古厨房機器を検討するのも一つの方法です。
近年では、状態の良い中古機器を取り扱う専門店も多く、保証付きの商品を選べるケースもあります。
新品にこだわらず、用途や予算に応じて選択することで、設備投資の負担を軽減できます。
支払い方法について相談してみる
厨房機器販売店では、リースや分割払いだけでなく、支払い方法について相談に応じてくれる場合があります。
設備の故障で営業停止になると、売上そのものが失われてしまいます。
そのため、「資金が足りないから諦める」のではなく、まずは販売店へ相談してみることも大切です。
店舗の状況によっては、最適な導入方法を提案してもらえる可能性があります。
厨房機器を一括購入せず、リースやローンを活用して運転資金を確保したい方は、テンポスのこちらのページも参考になります。
●資金調達は「組み合わせて考える」ことも重要
資金調達は、一つの方法だけに頼る必要はありません。
例えば、
◎設備資金は日本政策金融公庫を利用する
◎急な修理費はリースを活用する
◎将来の設備更新には補助金を申請する
というように、目的に応じて複数の方法を組み合わせることで、無理のない資金計画を立てることができます。
また、資金繰りが悪化してから動き出すのではなく、
「将来設備が古くなったらどうするか」
「売上が落ちた時にどこへ相談するか」
を普段から考えておくことも、安定した店舗経営には欠かせません。
飲食店経営では、急な出費を完全になくすことは難しいものです。
だからこそ、頼れる相談先や利用できる制度を知っておくことが、いざという時の大きな安心につながります。
■借りる前に絶対やってはいけないこと
資金繰りが苦しくなると、「何とかして今日を乗り切らなければ」という気持ちが先行してしまいます。
しかし、焦って行動した結果、さらに経営状況を悪化させてしまう飲食店は少なくありません。
資金調達は店舗を立て直すための大切な手段ですが、借り方を間違えると返済が重荷となり、経営を圧迫する原因になります。
ここでは、飲食店経営者が資金調達をする際に避けたい代表的な失敗例をご紹介します。
●その1. とにかく借りられるところから借りる
資金が底をつきそうになると、「審査が早い」「すぐに振り込まれる」といった言葉だけを見て、十分に比較せず借りてしまうケースがあります。
確かに、急な支払いが迫っている状況ではスピードも重要です。
しかし、借入先によって金利や返済条件、手数料は大きく異なります。
例えば、数十万円の借り入れでも、返済期間や金利によって総返済額は大きく変わります。
「早く借りられるから」という理由だけで決めるのではなく、
▶返済期間
▶毎月の返済額
▶金利
▶繰り上げ返済の可否
などを確認した上で判断しましょう。
一度契約すると簡単には変更できないため、冷静な判断が必要です。
●その2. 返済計画を立てないまま借りる
資金調達で最も避けたいのが、「借りること」が目的になってしまうことです。
本来は、借りた後にどのように返済していくのかを考えなければなりません。
例えば、
「来月の売上で返せるだろう」
「繁忙期になれば何とかなる」
という根拠のない見込みだけで借り入れをすると、返済時期になって再び資金不足に陥る可能性があります。
返済計画を立てる際は、
☐毎月の売上予測
☐固定費
☐仕入れ費用
☐人件費
☐税金
などを含めた資金計画を作成することが大切です。
毎月の返済額が無理なく支払える範囲なのか、一度シミュレーションしてみましょう。
●その3. 売上予測を楽観的に考え過ぎる
飲食店では、
「新メニューを始めれば売上が伸びる」
「夏になれば忙しくなる」
「テレビで紹介されればお客様が増える」
といった期待を持つことがあります。
もちろん、売上が伸びる可能性はあります。
しかし、資金計画は「期待」ではなく、「現実的な数字」を基に立てることが重要です。
例えば、昨年の売上実績や季節ごとの来店客数など、実際のデータを参考にすると、より現実的な資金計画を作成できます。
経営が苦しい時ほど、慎重な見積もりを心掛けましょう。
●その4. 複数の金融機関へ同時に申し込む
「どこか一社くらいは通るだろう」と考え、複数の金融機関へ同時に融資を申し込む人もいます。
しかし、短期間に何件も申し込みを行うと、「資金繰りがかなり厳しい状況なのではないか」と判断される場合があります。
結果として、審査に影響する可能性もあるため注意が必要です。
まずは、
◎日本政策金融公庫
◎取引のある銀行や信用金庫
◎商工会議所などの相談窓口
といった信頼できる相談先に状況を説明し、自店に適した制度を紹介してもらう方が安心です。
焦って行動するよりも、順序立てて相談を進めることが成功への近道になります。
●その5. 高金利の借り入れを繰り返す
一度資金不足をビジネスローンなどで乗り切ったとしても、その返済のために再び借り入れをするような状況になると、経営はさらに苦しくなります。
このような状態は、いわゆる「借りて返す」の繰り返しです。
毎月の返済負担が増えれば、その分だけ店舗に残る利益も減少します。
結果として、
×必要な設備更新ができない
×広告宣伝費を削減する
×食材の品質を落とす
×スタッフの採用を見送る
など、本来必要な投資ができなくなり、店舗全体の競争力が低下してしまいます。
資金調達は一時的な支援策であり、経営改善の代わりにはなりません。
借り入れを繰り返さなくても済むよう、利益体質の店舗づくりを目指すことが重要です。
●その6. 一人で悩み続ける
資金繰りに困ると、「恥ずかしい」「相談しづらい」と感じ、一人で抱え込んでしまう経営者も少なくありません。
しかし、相談が遅くなるほど選択肢は少なくなります。
例えば、
▶金融機関
▶商工会議所
▶商工会
▶顧問税理士
▶中小企業診断士
▶認定経営革新等支援機関
などには、多くの飲食店を支援してきた経験があります。
早い段階で相談することで、融資制度だけでなく、補助金や経営改善のアドバイスを受けられることもあります。
経営者にとって最も危険なのは、「相談できる状況なのに、何もしないこと」です。
●資金調達は「借りること」より「返せること」が大切
資金調達は、経営を立て直すための重要な手段です。
しかし、借り入れをした時点で問題が解決するわけではありません。
本当に大切なのは、その資金をどのように活用し、店舗の利益を生み出していくかです。
焦って判断すると、高金利の借り入れや返済不能といった新たな問題を招く恐れがあります。
だからこそ、必要な金額を見極め、返済計画を立て、信頼できる相談先を活用することが欠かせません。
飲食店経営では、資金繰りが苦しくなる場面は決して珍しいことではありません。
重要なのは、慌てず冷静に状況を分析し、自店にとって最適な方法を選択することです。
■資金繰り悪化を防ぐための4つの習慣
ここまで、資金調達の方法や、借り入れをする際の注意点について解説してきました。
しかし、本当に理想なのは、「資金調達が必要な状況をできるだけ作らないこと」です。
飲食店経営では、売上だけを見ていると、「利益は出ているのに手元に現金がない」という状態に陥ることがあります。
これは決して珍しいことではなく、多くの飲食店が経験する経営課題の一つです。
日頃から資金管理を習慣化しておくことで、急な資金不足を防ぎ、余裕を持った店舗運営ができるようになります。
ここでは、今日から実践できる4つの習慣をご紹介します。
●習慣1. 毎月の資金繰り表を作成する
資金繰りを改善する第一歩は、「お金の流れを見える化すること」です。
売上だけを確認して安心していると、支払いが集中した月に資金不足になることがあります。
そこで役立つのが資金繰り表です。
資金繰り表には、
☐売上の入金予定
↓
☐食材などの仕入れ代金
↓
☐家賃
↓
☐人件費
↓
☐水道光熱費
↓
☐リース料
↓
☐税金
↓
☐借入金の返済
など、お金の出入りを時系列で記録します。
これにより、「今月は余裕がある」「来月は支払いが集中する」といった状況が事前に分かるようになります。
資金繰り表は複雑なものを作る必要はありません。
最初は表計算ソフトやノートでも十分です。
毎月更新することが何より重要です。
●習慣2. 厨房機器は壊れてからではなく、計画的に更新する
飲食店では、厨房機器の故障が資金繰り悪化の原因になることが少なくありません。
例えば、
◎業務用冷蔵庫
◎製氷機
◎フライヤー
◎ガスレンジ
◎食器洗浄機
などは、毎日長時間使用するため、年数が経過すると故障するリスクが高まります。
突然故障すると、
「営業できない」
「修理代が予想以上に高かった」
「急いで新品を購入するしかなかった」
という状況になり、大きな出費につながります。
そのため、設備には耐用年数を意識した更新計画を立てることが重要です。
「まだ使えるから大丈夫」と考えるのではなく、「あと数年で交換が必要かもしれない」と想定し、少しずつ設備更新資金を積み立てておくと安心です。
また、修理費と買い替え費用を比較し、長期的な視点で判断することも大切です。
厨房機器をお探しの際はこちらから
●習慣3. 利益ではなく「現金残高」を毎日確認する
飲食店では、「利益が出ているから安心」と考えてしまうことがあります。
しかし、利益と現金は同じではありません。
例えば、
▶売上は計上されているが、まだ入金されていない
▶設備投資で現金が減っている
▶税金の支払いが近づいている
このような場合、利益は出ていても手元の現金は少なくなっていることがあります
経営者が毎日確認したいのは、
「今、自由に使える現金はいくらあるのか」
という点です。
銀行口座の残高だけを見るのではなく、
☐今後の支払い予定
☐入金予定
も合わせて把握することで、本当の資金状況が見えてきます。
毎朝数分でも確認する習慣をつけるだけで、資金繰りへの意識は大きく変わります。
●習慣4. 運転資金は最低でも2〜3カ月分を目標に確保する
飲食店では、
×天候不良
×近隣工事
×物価高騰
×感染症の流行
×設備故障
など、売上が急減する要因が数多くあります。
こうした予期せぬ出来事が起きても営業を続けられるよう、運転資金には余裕を持っておくことが大切です。
一般的には、毎月必要な固定費の2〜3カ月分程度を目安に確保できると安心です。
例えば、
毎月の固定費が150万円であれば、300万〜450万円程度の運転資金があれば、急な売上減少にも対応しやすくなります。
もちろん、開業したばかりの店舗では難しい場合もあります。
その場合は、「毎月少しずつ積み立てる」という意識を持つだけでも将来の安心につながります。
■ 飲食店が困った時に相談できる窓口
資金繰りが苦しくなった時、「どこへ相談すればいいのか分からない」という方も多いでしょう。
しかし、一人で悩み続ける必要はありません。
飲食店を支援してくれる相談先は数多くあります。
早めに相談することで、資金調達だけでなく、経営改善のアドバイスを受けられる場合もあります。
●商工会・商工会議所
地域の事業者を支援する代表的な相談窓口です。
融資制度の紹介だけでなく、
▶補助金
▶助成金
▶経営相談
▶創業支援
など幅広いサポートを受けられます。
特に開業予定の方や、小規模事業者にとって心強い存在です。
●金融機関
普段から取引している銀行や信用金庫は、資金調達の相談先として最も身近な存在です。
「まだ大丈夫」と思っていても、少しでも不安を感じたら担当者へ相談してみましょう。
早めに状況を共有することで、利用できる制度や融資商品を提案してもらえる可能性があります。
●税理士
税理士は税金だけでなく、経営数字を把握している専門家でもあります。
資金繰り表の作成や利益改善のアドバイス、金融機関へ提出する資料の作成なども相談できます。
顧問契約をしている場合は、困った時こそ積極的に相談しましょう。
●認定経営革新等支援機関
経営改善や資金調達に関する専門的な支援を行う機関です。
事業計画書の作成支援や補助金申請のサポートなどを受けられる場合があります。
融資を受ける際にも、専門家のアドバイスが役立つことがあります。
●厨房機器販売店
意外に思われるかもしれませんが、厨房機器販売店も頼れる相談先です。
厨房機器の故障や買い替えが原因で資金不足になった場合、
◎リース
◎分割払い
◎中古機器の提案
など、予算に合わせた選択肢を案内してもらえることがあります。
設備導入を諦める前に、一度相談してみることをおすすめします。
飲食店経営者が陥りやすい失敗例と対策:開業初期に知っておきたいこと
●日頃の備えが、店舗を守る最大の武器になる
資金繰りは、問題が起きてから考えるものではありません。
毎日の小さな積み重ねが、大きなトラブルを防ぎます。
現金の流れを把握し、設備更新を計画し、相談できる相手を普段から作っておくこと。
これらを実践するだけでも、突然の資金不足に慌てる可能性は大きく減らせます。
飲食店経営では、予想外の出来事が起こることは避けられません。
だからこそ、「備え」が何より重要なのです。
■ よくある質問|(Q&A)
Q: 資金繰りが苦しくなったら、最初に何をすればよいですか?
A:まずは慌てて借り入れ先を探すのではなく、現在のお金の流れを整理しましょう。
支払い予定と入金予定を一覧にし、本当に資金調達が必要なのかを確認することが大切です。
一時的な資金不足であれば、支払い時期の調整や入金予定の確認だけで解決する場合もあります。焦って判断すると、不要な借り入れにつながる可能性があるため、まずは現状を正確に把握しましょう。
Q: 飲食店が融資を受けるなら、どこへ相談するのがおすすめですか?
A:初めて融資を検討する場合は、日本政策金融公庫や、普段から取引のある銀行・信用金庫への相談がおすすめです。
また、商工会や商工会議所では融資制度の紹介だけでなく、事業計画書の作成や経営相談にも対応しています。
自店の状況に合った制度を紹介してもらえることも多いため、一人で悩まず早めに相談することが重要です。
Q: 開業して間もない飲食店でも資金調達はできますか?
A:はい、可能です。開業間もない事業者を対象とした融資制度も用意されています。
ただし、売上実績が少ない場合は、事業計画書や資金計画の内容が重要になります。
なぜ資金が必要なのか、その資金をどのように活用し、どのように返済していくのかを具体的に説明できるよう準備しておきましょう。
Q: 厨房機器が突然故障した場合はどうすればよいですか?
A:営業に必要な厨房機器が故障した場合は、修理だけでなく、買い替えやリース、中古厨房機器の活用も選択肢になります。
厨房機器販売店では分割払いなどの提案を受けられる場合もあるため、すぐに購入を諦める必要はありません。
営業停止による売上減少を防ぐためにも、できるだけ早く販売店へ相談することをおすすめします。
Q: 資金繰りを悪化させないために、一番大切なことは何ですか?
A:最も重要なのは、毎月の資金繰りを把握する習慣を持つことです。
利益だけを見るのではなく、「今使える現金がいくらあるのか」「来月はいくら支払いがあるのか」を常に確認しましょう。
また、設備更新の積立や運転資金の確保など、普段から備えておくことで、急な資金不足にも落ち着いて対応できるようになります。
■まとめ|資金調達は「最後の手段」ではなく「経営を守る選択肢」の一つ
飲食店経営では、どれだけ順調に営業していても、突然資金繰りが苦しくなることがあります。
売上の入金が遅れることもあれば、厨房機器の故障や原材料費の高騰、予想外の設備修理など、大きな出費が重なることも珍しくありません。
しかし、資金不足になったからといって、必要以上に悲観する必要はありません。
現在では、日本政策金融公庫をはじめ、信用保証協会付き融資やビジネスローン、補助金・助成金、リースなど、飲食店を支援するさまざまな制度が用意されています。
大切なのは、「今すぐ借りられるところ」を探すことではなく、自店の状況に合った資金調達方法を選ぶことです。
また、資金調達はあくまでも経営を支えるための手段であり、目的ではありません。
借り入れをする際は、返済計画を立て、利益を生み出せる店舗運営を続けていくことが重要です。
さらに、日頃から資金繰り表を作成し、現金の流れを把握することや、厨房機器の更新計画を立てることも、資金不足を防ぐ大切な取り組みです。
「まだ大丈夫」と思っていても、早めに準備を始めることで、いざという時の選択肢は大きく広がります。
資金繰りに悩んだ時は、一人で抱え込まず、金融機関や商工会・商工会議所、税理士などの専門家へ相談することも忘れないでください。
適切なアドバイスを受けながら対応することで、店舗を守り、経営を立て直せる可能性は高まります。
飲食店経営では、「現金はお店の血液」とも言われます。
売上だけに目を向けるのではなく、資金の流れをしっかり管理することが、長く愛されるお店づくりへの第一歩です。
今回ご紹介した内容を参考に、自店に合った資金管理と資金調達の方法を取り入れ、安定した店舗経営を目指していきましょう。
テンポスでは、これから開業を目指す方、飲食店の経営についてお悩みの方に向けてさまざまな情報を発信しています。
是非ご活用ください。
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