【飲食業界誌スマイラー】Cover Girls Outtake119「クッチーナ・イル・テット」

店主の声

新しい街の隣で、暮らしの息遣いが残る街、川崎市鹿島田。 20年にわたって地元の人々に愛されて、食材の味を活かした化学調味料を使わない料理を提供する「クッチーナ・イル・テット」。 店と同じ年月を重ねて成長し、大学で管理栄養士を目指して学びながら、父が営むイタリアンレストランに立つ菜々さん。大学で学んだ栄養の知識と、現場で肌で感じる手応え。そのふたつを行き来しながら、料理の彩りや伝え方に、少しずつ自分らしい工夫を重ねています。

「家の手伝い」から、「仕事」としての一歩へ

大学生になり、実家の店でアルバイトとして働くことを選んだ菜々さん。将来につながる経験を積みたいという思いに加え、料理人である父から、「仕事としての基本」を一から学び直したいと考えたからでした。幼い頃の「お手伝い」とは違い、代金をいただく「商品」として料理を出す責任は、自然と気持ちを引き締めるものだったといいます。

衛生面への配慮や、見た目の整え方、ホールでの立ち振る舞いまで、気を抜ける場面はありません。お客様と向き合う際には、笑顔を忘れず、落ち着いた態度で接することを心がけてきました。そうした一つひとつの経験が、少しずつ「仕事」としての意識を育てています。

おいしさの背景に、安心を添えて

お店のInstagramの運用も、菜々さんの大切な役割のひとつです。料理の写真を投稿する際には、大学で学んでいる栄養の知識を、さりげなく言葉に添えています。「このキノコには、こんな栄養があるんですよ」。そんな一言があるだけで、料理がより身近に、そして安心して楽しめるものになると感じているそうです。

難しい言葉は使わず、日々の食事と体のつながりを、できるだけわかりやすく伝えたい。SNSは、将来管理栄養士として働くことを見据えた、今の自分にできる表現の場でもあります。

お父さんの味とともに育った、仕事の原点

料理は、菜々さんにとって幼い頃からとても身近な存在でした。オーナーシェフのお父様の地元にあるお店で、「これは味の勉強だから」と言われながら、さまざまな料理を食べて育った日々。そうした時間のなかで、素材の生かし方や、味のバランスへの感覚が、自然と身についていったといいます。

化学調味料を使わず、素材本来の味を組み合わせて味を整えるお父様の料理。かつては食べる側として親しんできたその味を、今は調理し、盛り付ける側として、ていねいにお客様へと届けています。現場で多くの食材に触れる毎日は、将来管理栄養士として歩んでいくための、大切な土台です。

一つの屋根の下で、続いていく家族の時間

「クッチーナ・イル・テット」という店名には、“台所”と“屋根”を重ね、大切な友人や家族と一つの屋根の下で、すてきな時間を楽しんでいただきたいという願いが込められています。父、母、兄、そして菜々さん。互いに支え合いながら、家族それぞれの役割で、この場所を守り続けてきました。菜々さんが添える彩りと栄養の知識は、家族が紡いできた味にやさしく寄り添い、今日も訪れる人の心と体を満たしています。

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Photographer:林 りりす
name:橋本 菜々
shop:「クッチーナ・イル・テット」
神奈川県川崎市幸区鹿島田1丁目9−1
044-511-8686

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