「原価も上がっているし、本当は値上げしたい。でも常連さんの顔が浮かんで言い出せない」
こうした悩みを持つ飲食店は少なくありません。
しかし実際には、値上げできない原因は“価格設定”そのものではないケースがほとんどです。
問題なのは、「なぜその価格なのか」を日頃から伝えてきたかどうか。
つまり、説明できる“資産”を店が持っているかどうかです。
この記事では、マーケティング論やブランディング論ではなく、飲食店の現場と経営の視点から「値上げできる・できない」を分ける構造を解説します。

※記事制作20年以上の担当者が、あなたのお店の良さをインタビューで聞き出して記事を作成します!あなたのお店を記事にして毎月6桁のユーザーが訪問する、全国の飲食店を応援するフードメディア「テンポスフードメディア」に掲載しませんか?上記ボタンをクリックし、詳細をぜひご覧ください。
また、不明点などお気軽に下記ボタンからお問合せください!
目次
■ 常連がいても値上げできない店に共通する「説明の空白」

● 常連がいるのに値上げできない理由
「常連さんが多いから、値上げは理解してもらえるはず」
そう考えている店ほど、実際には値上げに踏み切れないケースが多くあります。
それは、常連がいることと、値上げに納得してもらえることが、必ずしも一致しないからです。
常連客ほど、その店に「変わらない安心感」を求めています。
そのため、理由が見えない価格変更は、たとえ小幅であっても違和感として残りやすくなります。
● 値上げできない店に共通する状態
値上げに失敗しやすい店には、ある共通点があります。
それは、価格について一度も「説明」してきていないことです。
・なぜこの価格なのか
・何を大切にして料理を作っているのか
・どこにコストや手間がかかっているのか
こうした前提が共有されていないまま、価格だけが変わると、お客様の中では「急に高くなった」という印象だけが残ってしまいます。
● 問題は価格ではなく「空白」です
ここで重要なのは、価格が高いか安いかではありません。
問題なのは、価格の理由が語られていない“空白”が存在することです。
説明がない状態では、お客様は自分の基準で判断するしかありません。
結果として、他店との単純比較や、過去の記憶と比べられてしまいます。
● 常連ほど説明が必要になる
意外に思われるかもしれませんが、初めてのお客様よりも、常連のお客様のほうが、価格変更には慎重な説明が必要です。
なぜなら、常連客は「これまでの価格」を基準として強く記憶しているからです。
その記憶を上書きするには、日頃からの説明の積み重ねが欠かせません。
● 値上げできない店は、価格が宙に浮いています
説明がない店では、価格は常に不安定な状態にあります。
美味しさや人柄に支えられている間は問題がなくても、いざ価格を動かそうとした瞬間に、その弱さが表に出てきます。
値上げできない原因は、勇気や判断力の不足ではありません。
価格を支える説明が、これまで積み上がっていなかっただけなのです。
■ メニュー・空間・発信はすべて「説明装置」です

● 説明は「言葉」だけではありません
価格の説明というと、張り紙や告知文を思い浮かべがちですが、実際にはお客様はもっと多くの情報から判断しています。
メニュー、店内の雰囲気、スタッフや店主の発信。
これらすべてが、「この店はどういう考えで値段をつけているのか」を伝える装置になっています。
説明資産とは、特別な文章ではなく、日常の設計そのものです。
● メニューは最も強い説明装置です
お客様が最初に価格と向き合うのは、メニュー表です。
そこに並んでいるのが、値段と料理名だけの無機質な情報なのか、背景や考え方がにじむ構成なのかで、受け取り方は大きく変わります。
料理数が多すぎるメニューや、安さを強調した表現は、「価格で選ばせる店」という印象を強めてしまいます。
その状態での値上げは、違和感を生みやすくなります。
● 空間は「無言の価格説明」になります
店内の空間も、強力な説明装置です。
整理された厨房や落ち着いた内装は、「丁寧に運営されている店」という印象を与えます。
一方で、雑多な掲示物や安売り感の強い演出は、無意識のうちに価格への期待値を下げてしまいます。
空間は、言葉を使わずに価格の前提を伝えています。
● 発信は売り込みではなく判断材料です
SNSや店主の一言も、説明装置の一部です。
値引き情報やキャンペーンばかり発信していると、お客様は「安い時に行く店」と認識します。
逆に、仕入れや判断の基準、日々の工夫を淡々と伝えている店は、価格に対しても納得されやすくなります。
発信は集客よりも、理解を積み上げる役割を持っています。
● 説明装置がないと、価格は孤立します
メニュー、空間、発信がバラバラだと、価格だけが単独で評価されてしまいます。
説明装置が整っている店では、価格は自然な流れの一部として受け取られます。
値上げの可否は、告知文の上手さではなく、日頃の説明装置が機能しているかどうかで決まります。
■ 値上げに成功する店は「値上げ前」から準備しています

● 値上げは「発表」ではなく「結果」です
値上げに成功している店を見ると、告知文が上手だったり、理由説明が丁寧だったりするように見えます。
しかし実際には、値上げは突然の判断ではありません。
成功している店ほど、値上げをする前から、値上げが受け入れられる状態を作っています。
値上げはイベントではなく、日々の積み重ねの結果です。
● 日常の中で「変化の前提」を作っている
値上げに成功する店は、原材料や手間について、日頃から少しずつ触れています。
・仕入れ先や素材への考え方
・工程の工夫や手作業の理由
・安易にコストを下げない判断
これらを特別な説明としてではなく、日常会話や発信の中で自然に伝えています。
そのため、お客様の中に「変わる可能性がある」という前提が生まれます。
● 「安さ」を売りにしすぎない
値上げに成功する店は、日頃から「安い店」という立ち位置を取りすぎません。
安さを強調すると、価格が店の価値そのものになってしまいます。
そうなると、少しの値上げでも強い反発が起きやすくなります。
価格以外の判断材料を積み上げている店ほど、価格変更が受け入れられやすくなります。
● 店主の考えが見える店は、理解されやすい
値上げに成功する店の多くは、店主の考えや判断基準が見える状態になっています。
「なぜそうしているのか」
「何を大事にしているのか」
これが普段から伝わっていると、値上げの際も「この人が決めたなら仕方ない」と理解されやすくなります。
● 値上げの告知は「説明」ではなく「確認」になる
準備ができている店では、値上げの告知は長い説明になりません。
お客様にとっては、「やっぱりそうなりますよね」という確認に近い感覚です。
ここまで整っていれば、値上げは大きな摩擦を生みません。
値上げに成功するかどうかは、価格を変える瞬間ではなく、それ以前の経営姿勢で決まっているのです。
■ 価格ではなく「納得回路」を作るという考え方
● 人は価格にではなく「理由」にお金を払っています
値上げというと、どうしても「高いか安いか」という話になりがちです。
しかし実際には、お客様は数字そのものにお金を払っているわけではありません。
・なぜこの価格なのか
・この店は何を大切にしているのか
・誰が、どんな判断でやっている店なのか
こうした背景に納得したとき、人は価格を受け入れます。
● 納得回路とは何か
ここでいう「納得回路」とは、お客様の中に自然と形成される理解の流れのことです。
一度の説明や告知で作られるものではなく、メニュー、空間、会話、発信といった日常の接点を通じて、少しずつ積み重なっていきます。
この回路ができていれば、価格は突然の情報ではなく、流れの中の結果として受け取られます。
● 納得回路がない店の価格は、常に比較されます
納得回路ができていない店では、価格は単独で評価されてしまいます。
・前はいくらだったか
・近くの店はいくらか
・もっと安い店はないか
こうした比較にさらされると、どれだけ理由を並べても、納得にはつながりにくくなります。
● 納得回路がある店は、価格が孤立しません
一方で、納得回路がある店では、価格は店の考え方や姿勢とセットで理解されます。
「手間をかけているから」
「無理をしない運営をしているから」
「このやり方を続けるために必要だから」
こうした文脈が共有されていれば、値上げは否定ではなく、受容されやすくなります。
● 納得回路は、経営の自由度を高めます
納得回路を持つ店は、価格だけでなく、メニュー整理や方針転換もしやすくなります。
逆に、納得回路がないままでは、常に「お客様の反応」に縛られた経営になってしまいます。
価格を動かす前に作るべきなのは、数字ではなく、理解の通り道です。
それが、長く続く店を支える土台になります。
■ 開業初期から仕込める「説明資産」の作り方
● 開業初期は「安くする時期」ではありません
開業直後は集客を意識するあまり、「まずは安く」「最初はお得に」と考えがちです。
しかしこの判断は、後々の経営を縛ることになります。
初期に「安い店」という印象が定着すると、価格を動かした瞬間に強い抵抗が生まれます。
開業初期こそ、説明資産を仕込む重要な期間です。
● メニュー数を増やしすぎない
説明資産を作るうえで、最も効果的なのがメニュー設計です。
開業時からメニュー数が多すぎると、一品ごとの背景や考え方が伝わりにくくなります。
・なぜこの料理を出しているのか
・どこに手間をかけているのか
これが自然に伝わる数に抑えることで、価格への理解も深まります。
● 判断基準を言葉にしておく
仕入れや調理、運営において、「なぜそうしているのか」を自分の中で整理しておくことが大切です。
・安い食材を使わない理由
・手作業を残している理由
・簡略化しない工程
これらを日常の会話や発信の中で少しずつ出すことで、説明資産は積み上がっていきます。
● 安さを売りにする言葉を使いすぎない
開業初期に「安い」「お得」「コスパ」を前面に出しすぎると、価格だけで評価される店になってしまいます。
それよりも、
「どういう店を続けたいのか」
「何を大切にしているのか」
を伝えるほうが、長期的には強い資産になります。
● 説明資産は後から効いてきます
説明資産は、すぐに売上を上げる魔法ではありません。
しかし、時間が経つほど効いてきます。
値上げ、メニュー整理、業態の微調整。
こうした場面で、「この店なら仕方ない」と思ってもらえるかどうかは、開業初期の積み重ねで決まります。
価格を守るために、まず守るべきなのは、説明できる経営の土台です。
食材の仕入れについてのアレコレは
■ まとめ:値上げできるかどうかは、日頃の経営で決まります
● 値上げは「技術」ではありません
値上げというと、タイミングや告知文の書き方など、何か特別な技術が必要だと思われがちです。
しかし本質はそこではありません。
値上げできるかどうかは、日頃の経営で、どれだけ説明を積み重ねてきたかで決まります。
● 価格は経営の「結果」です
価格は、原価や利益率だけで決まるものではありません。
店の考え方、運営姿勢、積み重ねてきた判断の集積が、最終的に価格として表に出てきます。
そのため、価格だけを後から調整しようとしても、うまくいかないことが多いのです。
● 説明資産がない店は、価格を動かせません
説明資産がない状態では、価格は常に単独で評価されます。
・高くなった
・前より高い
・他より高い
こうした反応を受けやすくなり、経営の選択肢が狭まっていきます。
● 説明資産がある店は、価格に縛られません
一方で、説明資産を持っている店では、価格は経営判断の一部として受け取られます。
値上げだけでなく、メニュー整理や方針転換の場面でも、理解を得やすくなります。
これは、売上以上に大きな経営の自由度です。
● 今日の運営が、未来の価格を決めています
値上げに悩んでいるときほど、「今、何を説明できているか」を見直すことが大切です。
メニュー、空間、言葉、発信。
その一つひとつが、将来、価格を動かせるかどうかを左右します。
値段を上げる前に、まずは説明できる経営を積み上げていきましょう。
それが、長く続く飲食店の土台になります。
テンポスでは、これから開業を目指す方、飲食店の経営についてお悩みの方に向けてさまざまな情報を発信しています。
是非ご活用ください。
業務用調理機器や小物、食器から家具に至るまで、多数取り揃えております。
是非テンポスへご注文からご相談まで、お気軽にお問い合わせください。
#飲食店 #値上げ #技術 #タイミング #経営 #説明資産 #経営の選択肢 #発信 #メニュー #空間 #言葉




