売上はそれなりにある。
赤字でもない。
それなのに、なぜか毎月の数字に安心できない――。
こうした悩みを抱える飲食店は少なくありません。
その原因は、売上や原価率ではなく、固定費の「中身」にあるケースが非常に多いです。
「家賃は売上の○%以内」
「人件費はこのくらい」
よくある指標は参考になりますが、それだけでは経営の安定性までは見えてきません。
この記事では、固定費を金額ではなく“構造”で捉える視点から、売上が安定しない店に共通する落とし穴を整理していきます。

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目次
■ 固定費は「金額」ではなく「硬さ」で分けて考えます

飲食店経営において「固定費」という言葉はよく使われますが、その多くが「毎月いくらかかっているか」という金額面だけで語られがちです。
しかし、売上が不安定になりやすい店ほど、この見方に偏っています。
実際に経営を左右するのは、固定費の金額よりも、その費用がどれだけ動かせないかという“硬さ”です。
● 固定費の本当のリスクは「下げられないこと」
固定費の怖さは、高いか安いかではありません。
売上が落ちたときに、下げられない、止められない、逃げられないことにあります。
たとえば、同じ10万円でも、すぐ解約できるサービス費用と、数年縛りの契約では、経営への影響はまったく違います。
固定費のリスクは、金額ではなく「身動きの取れなさ」として表れます。
● 「硬い固定費」が多いほど、経営は重くなります
固定費が硬くなるほど、経営判断は遅れがちになります。
売上が落ちても「もう少し様子を見よう」と考えてしまい、値上げやメニュー整理、営業時間の見直しといった決断が後手に回ります。
これは経営者の意志の問題ではなく、固定費構造そのものが判断を鈍らせている状態です。
● 固定費は「動かせるかどうか」で分類します
固定費を見るときは、「毎月いくらか」ではなく、「どこまで動かせるか」で分けて考えるべきです。
・減額や見直しが可能なもの
・条件次第で停止できるもの
・契約上、まったく動かせないもの
この分類をするだけでも、自店の危険度が見えてきます。
● 金額が小さくても油断できない固定費
注意したいのは、金額の小さな固定費です。
システム利用料や保守契約、リース代などは一つひとつが軽く見えますが、硬いまま積み重なると経営をじわじわと圧迫します。
気づかないうちに、下げられない固定費だらけになっているケースも少なくありません。
固定費は、単なる支出項目ではありません。
店の身動きや、経営判断の速さを決める「構造」です。
だからこそ、金額ではなく“硬さ”で見直すことが、売上を安定させる第一歩になります。
■ 同じ家賃20万円でも「危険度」がまったく違う理由

飲食店の固定費の中でも、家賃は特に注目されやすい項目です。
「家賃は売上の〇%以内に抑えるべき」といった考え方はよく知られていますが、それだけで家賃の安全性を判断するのは危険です。
実は、同じ家賃20万円でも、経営に与える危険度はまったく異なります。
● 家賃の危険度は「金額」では決まりません
家賃が高いから危険、安いから安全、という単純な話ではありません。
重要なのは、その家賃がどれだけ経営を縛るかです。
売上が落ちたときに見直せるのか、撤退や移転ができるのか。
こうした「動かしやすさ」が、家賃の本当の危険度を決めます。
● 契約条件が家賃を“重く”します
危険度の高い家賃には、共通する契約条件があります。
・解約予告期間が長い
・中途解約がほぼ不可能
・原状回復費が高額
・保証金や違約金の負担が重い
これらは毎月の家賃額には表れませんが、経営判断を大きく制限します。
同じ20万円でも、こうした条件が重なるほど、家賃は一気に「硬い固定費」になります。
● 業態変更できない物件はリスクが高い
飲食店経営では、業態やメニューの変更が生き残りの鍵になることがあります。
しかし、物件によっては業態変更が難しい場合もあります。
排気や給排水の制約、間取りの特殊性、立地特性などにより、他の使い方ができない物件は、家賃の危険度が高くなります。
● 安全な家賃は「逃げ道」があります
一方で、安全度の高い家賃には共通点があります。
・解約条件が比較的軽い
・原状回復の範囲が明確で限定的
・他業態や他テナントへの転用がしやすい
こうした物件は、たとえ家賃が同じでも、経営の自由度が高くなります。
家賃とは、金額ではなく逃げ道の有無で評価すべき固定費です。
● 家賃は「コスト」ではなく「縛り」です
家賃を単なるコストとして見ていると、後で身動きが取れなくなります。
家賃とは、毎月払うお金以上に、将来の選択肢を縛る契約です。
だからこそ、家賃を見るときは金額ではなく、その裏にある契約条件や構造まで含めて判断することが重要です。
同じ20万円でも、その家賃が「耐えられる固定費」か「経営を縛る固定費」かで、店の将来は大きく変わります。
■ 削れない固定費が多い店ほど、判断が遅れていきます

売上が落ち始めたとき、すぐに手を打てる店と、様子見を続けてしまう店があります。
その差を生む大きな要因が、削れない固定費の多さです。
固定費が重く、かつ動かせないほど、経営判断は確実に遅れていきます。
● 固定費が判断を縛る仕組み
削れない固定費が多い店では、「今ここで決断しても、状況は大きく変わらない」という感覚が生まれやすくなります。
家賃や長期契約のリース、解約できないサービス費用などが積み重なると、売上が下がっても支出はほとんど減りません。
その結果、値上げや営業時間変更といった判断を先送りしがちになります。
● 「もう少し様子を見る」が増える理由
固定費が硬いと、経営者は無意識のうちに時間稼ぎを選びます。
「来月は回復するかもしれない」「季節が変われば良くなる」と考え、判断を先延ばしにします。
しかし、この“様子見”が続くほど、取れる選択肢は減っていきます。これは意思の弱さではなく、固定費構造がそうさせている状態です。
● 黒字でも苦しくなる固定費構造
削れない固定費が多い店は、数字上は黒字でも資金繰りが苦しくなりやすいです。
売上が伸びた分だけ余裕が生まれるわけではなく、固定費に吸収されてしまうためです。
その結果、設備更新や人材投資といった前向きな判断ができなくなります。
● 判断が遅れると、次の一手が打てなくなります
判断が遅れる最大の問題は、状況がさらに悪化してからしか動けなくなることです。
値上げをするにも、営業時間を変えるにも、余力が残っていなければ実行できません。
固定費が重いほど、「決断できるタイミング」は短くなります。
削れない固定費が多い店ほど、経営者は慎重になります。
しかし、その慎重さが命取りになることもあります。
固定費を見直すことは、コスト削減ではなく、判断の自由度を取り戻すための準備なのです。
■ 開業前にやるべき「固定費の分解表」
飲食店の開業準備では、物件選びやメニュー開発に意識が向きがちですが、同じくらい重要なのが固定費の中身を分解して把握することです。
ここを曖昧にしたまま開業すると、後から身動きが取れなくなります。
そのために役立つのが「固定費の分解表」です。
● 固定費は合計額より「構造」を見る
多くの人は、家賃・人件費・リース代などを合計し、「毎月いくらかかるか」で判断します。
しかし本当に見るべきなのは、固定費の構造です。
どれが長期契約で、どれが見直せて、どれが止められないのか。
この違いを整理しないまま開業するのは、地図を持たずに出発するようなものです。
● 分解表で整理すべき5つの視点
固定費の分解表では、金額以外に次の視点で整理します。
・契約期間はどれくらいか
・減額や条件変更が可能か
・一時停止できるか
・解約時の負担はどれほどか
・代替手段が存在するか
これを書き出すことで、固定費の「硬さ」が一目で見えてきます。
● 見落とされがちな固定費に注意します
開業前に特に注意したいのが、家賃以外の固定費です。
厨房機器のリース代、保守契約、POSや予約システムの利用料などは、一つひとつは小さく見えますが、長期契約になることが多く、実質的には家賃と同じくらい硬い固定費になります。
● 分解表は「未来の選択肢」を確認するためのものです
固定費の分解表を作る目的は、節約ではありません。
将来、売上が伸び悩んだときに、どこから手を付けられるかを把握するためです。
開業前にこの作業をしておくことで、撤退や業態変更といった判断も冷静に行えるようになります。
固定費の分解表は、開業前にしか作れない重要な資料です。
数字だけでなく構造を見ることで、無理のないスタートと、長く続く経営につながります。
■ 黒字でも詰む店に共通する固定費パターン
飲食店の相談でよくあるのが、「数字上は黒字なのに、なぜか苦しい」という状態です。
赤字ではないにもかかわらず、資金に余裕がなく、次の一手が打てない。
こうした店に共通しているのが、固定費の組み方そのものに問題があるという点です。
● 黒字=安全とは限りません
黒字であれば経営は順調、と思われがちですが、固定費の構造次第では安心できません。
売上が一定以上なければ成立しない固定費を抱えている場合、少しの売上減でも一気に余裕がなくなります。
数字は黒字でも、経営は常に綱渡りの状態です。
● 固定費が「同時に硬い」ことが危険です
問題なのは、固定費が高いことよりも、複数の固定費が同時に硬いことです。
家賃、長期リース、解約できないサービス契約などが重なると、どこからも手を付けられなくなります。
一つひとつは許容範囲でも、重なることで経営の逃げ道を塞いでしまいます。
● 攻めの判断ができなくなります
固定費が硬い店では、利益が出ていても余裕が生まれません。
その結果、設備更新や人材育成、広告といった前向きな投資を避けるようになります。
守りに入った経営が続き、気づいたときには競争力が落ちている、というケースも少なくありません。
● 撤退や転換の判断が遅れます
固定費に縛られていると、「辞める」「変える」という判断が極端に遅れます。
黒字であるがゆえに決断できず、環境がさらに悪化してから慌てて動くことになります。
このタイミングでは、選択肢はすでに限られています。
黒字でも詰む店は、利益の出し方ではなく、固定費の組み方に共通点があります。
固定費は経費ではなく、経営の自由度を決める設計です。
身軽さを残した固定費構造こそが、長く続く店を支えます。
■ まとめ:固定費は「利益」より先に設計すべきものです
飲食店経営では、どうしても売上や利益に目が向きがちです。
しかし、実際に店の将来を左右するのは、数字そのものよりも固定費の設計です。
固定費は、利益を生むための前提条件であり、後から調整しづらい土台でもあります。
● 利益が出ていても安心できない理由
一時的に利益が出ていても、固定費が硬いままでは安心できません。
売上が落ちた瞬間に身動きが取れなくなるからです。
利益は変動しますが、固定費は簡単には変わりません。
この差が、経営を不安定にします。
● 固定費は「支出」ではなく「制約」です
固定費を単なる毎月の支出として捉えると、本質を見誤ります。
固定費とは、将来の選択肢をどれだけ縛るかという「制約」です。
下げられるか、止められるか、逃げられるか。
この視点を持つことで、固定費の見え方が大きく変わります。
● 利益を追う前に、身軽さを確保します
利益は後からでも取り戻せますが、身軽さは後から作るのが難しいものです。
開業時や投資判断の段階で、固定費に余白を残しておくことで、値上げや業態転換といった判断がしやすくなります。
● 固定費設計が、経営の寿命を決めます
どれだけ良い商品やサービスがあっても、固定費に縛られすぎると長く続けることはできません。
逆に、固定費を柔らかく設計している店は、環境の変化にも対応しやすくなります。
固定費は、利益を出すための結果ではなく、利益を出し続けるための前提です。
だからこそ、売上や原価を考える前に、固定費をどう設計するかを真剣に考える必要があります。
これが、安定した飲食店経営への第一歩です。
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