「駅前で人通りも多い。家賃も相場内。料理の評判も悪くない。それなのに、なぜかずっと苦しい。」
飲食店の相談を受けていると、こうした声を非常によく聞きます。
売上は立っているのに、現場は常にバタバタしていて、スタッフは疲弊し、オーナーは厨房から離れられない。
そして最後は「立地が悪かったのかもしれない」という結論に寄っていきます。
しかし実際には、“売れない原因”が立地ではなく、厨房の構造そのものにあるケースは少なくありません。
本記事では、「いい立地なのに苦しくなる店」に共通する厨房の特徴を、物件選びと設計の視点から整理していきます。

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目次
■ 「忙しいのに回らない店」に共通する厨房の初期状態

「お客さんは入っているのに、なぜか現場がずっと苦しい。」
この感覚を持っている店は、実は少なくありません。
売上が立っているにもかかわらず、厨房では常に誰かが走り回り、ピークが終わっても疲労感だけが残る。
この状態は、努力や気合いの問題ではなく、厨房の初期設計によって作られているケースが非常に多いです。
● 売上と“現場の余裕”が連動していない
本来、売上が上がれば人を増やしたり、仕込みを厚くしたりして、現場は少しずつ楽になっていくはずです。
しかし「忙しいのに回らない店」では、売上が伸びても体感的な負担がほとんど減りません。
むしろ、注文が増えるほど現場が荒れていく感覚になります。
これは、厨房が“余裕を生めない構造”で組まれているサインです。
● 常にピーク状態から抜けられない厨房
このタイプの店では、ランチ前後やディナー後半など、本来は呼吸できるはずの時間帯でも緊張が解けません。
理由は単純で、ピーク専用の動線や配置になっておらず、通常営業の時点ですでに“ほぼ満杯”の状態で厨房が回っているからです。
そのため、少し客数が増えただけで一気に破綻に近づきます。
● オーナーが現場から抜けられない
「自分が入らないと回らない」という状態も、典型的な初期症状です。
これは人材の問題ではなく、厨房が“属人前提”で設計されているケースがほとんどです。
特定のポジションだけが極端に重く、全体を見渡して調整する人間が常に必要になる構造では、オーナーはいつまでも現場拘束から解放されません。
● スタッフが常に急かされている感覚で働いている
忙しい店でも、回っている厨房には一定の落ち着きがあります。
一方、回らない厨房では、常に「遅れている」「追われている」「怒られそう」という空気が漂います。
この感覚は、オペレーションではなく、厨房の配置そのものが生み出す心理圧であることが多く、放置すると疲弊と離職の温床になります。
■ 忙しいのに回らない厨房の正体は「作業密度」にあります

厨房が回らない原因を「狭いから」「人が足りないから」で片付けてしまう店は多いです。
しかし実際には、問題の本質は広さではなく、一人あたりに集中している作業の“密度”にあります。
同じ坪数でも、回る厨房と回らない厨房の差は、ここでほぼ決まります。
● 一人に詰め込まれすぎている同時作業
回らない厨房では、特定のポジションに役割が集中しています。
・加熱しながら
・盛り付けをしながら
・次の仕込みを気にしながら
・洗い場の詰まりを見ながら
というように、一人が常に複数の工程を“同時並行”で抱えています。
この状態では、注文が少なくても常に忙しく、注文が増えると一気に破綻に近づきます。
● 作業が重なる場所に機器が集まりすぎている
フライヤー前が焼き場であり、盛り付け場であり、配膳動線の通り道にもなっている。
こうした厨房は非常に多く見られます。
この場合、作業は増えていないのに、干渉だけが増え続けます。
ぶつかる、待つ、よける、譲る。これらはすべて“見えない作業”として作業密度を押し上げます。
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● 立ち位置が奪い合いになる厨房
ピーク時に、
「そこ使ってます!」
「後ろ通ります」
「一瞬いいですか」
が飛び交う厨房は、典型的な高密度構造です。
作業工程ではなく、場所の奪い合いが発生している厨房では、人を増やすほど混乱が増えます。
結果として、「忙しいのに処理量が上がらない」状態になります。
● 立地が良いほど欠陥が拡大する
作業密度の問題は、暇な店では表に出ません。
しかし立地が良く、注文が安定して入る店ほど、この欠陥は急激に表面化します。
客数が増えるほど、作業は増え、干渉は倍増し、判断ミスが増え、現場が荒れていきます。
「いい立地なのに苦しい店」の多くは、この作業密度設計に失敗しています。
厨房が回らない原因は、人の能力ではありません。
設計段階で、一人に背負わせすぎている。
その結果として、「忙しいのに回らない厨房」が生まれているのです。
■ 売上より先に決まる「疲弊構造」― 熱源配置の問題

厨房の回りにくさは、オペレーションだけでなく体力の削られ方でも決まります。
そしてその中心にあるのが、コンロ・フライヤー・オーブンなどの熱源配置です。
売上が立つかどうかより先に、実は「どれだけ消耗する店になるか」は、ここでほぼ決まっています。
● 強い熱源が一か所に集まりすぎている厨房
回らない厨房で非常によく見られるのが、火口・フライヤー・スチコンが一直線、もしくは一点に固まっている配置です。
設計上は「効率的」に見えますが、現場では輻射熱と蒸気が集中し、そこに立つ人間だけが極端に消耗します。
結果として、
・ピーク後半で急激に動きが鈍る
・判断ミスが増える
・不機嫌な空気が広がる
という状態が起こりやすくなります。
● 逃げ場のない火口ポジションが生まれている
熱源の前に立ったまま、長時間移動できない厨房も要注意です。
「焼き場から離れられない」「フライヤー担当が固定されている」構造では、そのポジションに入る人だけが常に高温・高湿・高緊張にさらされます。
こうした厨房では、自然と
「そこはベテランしか無理」
「新人はすぐバテる」
という属人化が進み、シフトが組めなくなっていきます。
● 熱の影響が厨房全体に広がっている
本来、熱は局所管理すべきものです。
しかし排気計画が甘い厨房では、盛り付け場、ドリンク場、洗い場にまで熱気が流れ込みます。
こうなると、火口担当だけでなく、全員が慢性的に疲れやすい厨房になります。
水を飲む回数が増え、集中力が切れ、ちょっとしたことで苛立ちやすくなります。
これは気合では解決できません。
● 「夏になると辞める店」には理由があります
毎年、夏前後にスタッフが入れ替わる店は、ほぼ確実に熱源設計に問題を抱えています。
暑さは、体力だけでなく感情も削ります。
離職、ミス、クレーム、現場の空気悪化。
これらはすべて、熱源配置が作り出す疲弊構造の連鎖反応です。
厨房は料理を作る場所である前に、人が長時間立つ職場です。
売上より先に、「どんな消耗をする店になるか」は、熱源配置で決まっているのです。
■ スタッフが辞めやすい厨房レイアウトの見抜き方
「なぜか人が続かない」「募集しても定着しない」
こうした悩みを抱える店の多くは、教育や待遇以前に、辞めやすい構造の厨房を持っています。
人は仕事内容だけでなく、「その空間に立ち続けられるか」で離職を決めています。
● ぶつかる・跨ぐ・避けるが日常になっている
回らない厨房では、
・人と人が頻繁にぶつかる
・配管や配線を跨いで歩く
・持ち替えのたびに誰かを避ける
といった行動が当たり前になります。
これらは一つ一つは小さな動作ですが、積み重なると強いストレスになります。
特に新人ほど、この負担を強く感じます。
● 常に背後を気にして作業している
背中側が通路になっている盛り付け台、振り返るとすぐ人がいる洗い場前。
こうした配置では、常に「来るかもしれない」を意識しながら作業することになります。
この無意識の緊張状態は、体力以上に精神を消耗させます。
「仕事は覚えられたのに、なぜかしんどい」という感覚の正体は、ここにあります。
● 声を張らないと連携できない厨房
辞めやすい厨房では、自然な声量でのやり取りができません。
機器音と距離と死角のせいで、常に叫ぶような連絡になります。
声が荒れると、言葉も荒れます。
言葉が荒れると、感情も荒れます。
人間関係が悪い店の多くは、性格ではなくレイアウトが空気を悪くしているケースです。
● 「小さなミス」が人間関係トラブルに変わる
ぶつかりやすい、待ちが多い、暑い、うるさい。
この条件がそろうと、ミスの原因が構造にあっても、人の責任に見えます。
「なんでそこに置いたの」
「今それやる?」
といった言葉が増え始めたら、要注意です。
厨房が人を辞めさせている状態です。
スタッフが続かない店は、人を見る前に、厨房を見直す必要があります。
辞めやすさは、ほぼ例外なくレイアウトに組み込まれています。
■ 物件選びの段階でほぼ決まる「売れるのに苦しい店」
「開業してから考えればいい」「内装で何とかなる」
そう思われがちですが、実際には物件を選んだ時点で、店の“苦しさ”はかなりの部分が決まっています。
厨房の問題の多くは、工事ではなく、物件の骨格に起因しているからです。
● 家賃や広さより先に見るべき「厨房の形」
物件を見るとき、多くの人は家賃、駅距離、視認性から入ります。
しかし本来、最初に見るべきなのは「厨房区画がどんな形で取れるか」です。
・奥行きは取れるか
・柱や段差で分断されないか
・人がすれ違える幅が確保できるか
・作業を分けられる余白があるか
ここで無理がある物件は、後からほぼ確実に現場を苦しめます。
● 図面でほぼ見抜ける“疲弊物件”の特徴
現地を見なくても、図面段階で分かることは多くあります。
・厨房が極端に細長い
・排気経路が遠く、ダクトが長い
・熱源を逃がす方向がない
・バックヤードが極端に小さい
これらはすべて、作業密度と熱だまりを生みやすい構造です。
内装でごまかせても、消耗は必ず残ります。
● 「人が増えた時」を想定して選んでいるか
開業時は1~2人で回せても、売れれば人は増えます。
そのときに、ポジションを分けられるか、熱源を逃がせるか、動線を分離できるか。
これができない物件は、売れるほど苦しくなります。
「今できる」ではなく、「増えても崩れない」が基準です。
● 立地評価と同時にやるべき厨房チェック
立地を見るなら、同時に次の視点を入れる必要があります。
・ピーク時に何人立てるか
・その人数が干渉せずに動けるか
・一番きついポジションはどこか
・そこから逃がす設計が可能か
これを見ずに決めると、「売れるのに苦しい店」になります。
物件は、単なる箱ではありません。
経営の重さを内蔵した装置です。
家賃より先に、集客より先に、「この箱は、自分とスタッフを何年耐えさせられるか」その視点で選んだ物件だけが、長く続く店になります。
■ まとめ:立地より先に決まっているものがあります
「いい立地なのに、なぜか苦しい。」
この言葉が出てくる店は、決して少なくありません。
そして多くの場合、その原因は市場でも集客でもなく、厨房という“経営装置”の構造にあります。
● 売上より先に決まるのは「働き方」です
売上は、努力や工夫で後から動かせます。
メニューも価格も販促も、経営しながら修正が可能です。
しかし厨房の構造だけは、開業後に変えることが極めて難しい。
作業密度、熱の溜まり方、動線の交差、視線ストレス。
これらはすべて、「どんな働き方を強いられる店になるか」を最初に決めてしまいます。
● 厨房は料理設備ではなく「人間環境」です
厨房は、料理を作る場所であると同時に、
・人の体力を削る場所
・判断力を左右する場所
・人間関係の空気を作る場所
・オーナーの時間を縛る場所
でもあります。
どんなに立地が良くても、この環境が破綻していれば、店は「売れるのに苦しい」状態から抜け出せません。
● 「いい立地」の前に「続けられる箱」かを見る
物件を見るとき、多くの人は「集客できるか」を最優先にします。
しかし本来は、その前に「続けられるか」を見る必要があります。
・人が増えても回るか
・暑さと混雑が拡大しないか
・オーナーが抜けられる余地があるか
これらはすべて、厨房の骨格でほぼ決まります。
● 立地選びは、経営寿命を選ぶ行為です
物件選びは、単なる場所選びではありません。
それは、「何年続く働き方を選ぶか」という経営判断です。
立地より先に、内装より先に、その厨房で、自分とスタッフが何年立ち続けられるか。
そこに目を向けたとき、“売れる店”ではなく、“壊れない店”が見えてきます。
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