「売上は前年より伸びている」
「客数も悪くない」
「赤字ではない」
それなのに、なぜか通帳を見ると不安になる。
そんな違和感を抱えながら経営している飲食店は、実は少なくありません。
原価率も人件費率も大きく崩れていない。
それでも資金が残らないのは、“数字の見方そのもの”を間違えている可能性があります。
今回は、売上が出ているのに苦しくなる店に共通する「数字の見落とし」を、具体例と数字を交えて解説します。

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目次
■ 売上も客数も伸びているのに、現金が減る理由

「先月より売上は伸びている」「客数も増えている」。
数字上は順調に見えるのに、なぜか口座残高が減っていく。
この違和感を抱えている飲食店は、決して少なくありません。
その原因の多くは、売上と現金を同じものとして見てしまっていることにあります。
● 利益が出ていても、現金は減ることがあります
例えば、月商300万円の店が、月商360万円に伸びたとします。
営業利益率が5%であれば、利益は15万円から18万円に増えます。
数字だけ見れば、確かに「良くなっている」状態です。
しかし現場では、売上増に伴って次のような支出が同時に発生します。
◎仕入れ量が増え、支払い額が大きくなる
◎忙しさ対応でアルバイトを追加する
◎消耗品や外注費が増える
これらの支出は、利益が確定する前に現金として先に出ていくため、口座残高は一時的に減少します。
● 支払いタイミングのズレが苦しさを生みます
飲食店では、
・仕入れは月末締め翌月払い
・人件費は当月払い
というケースが一般的です。
売上が伸びた月は、「増えた売上分の仕入れ代」が翌月にまとめて請求されます。
一方で、人件費や外注費はその月に即支払いが発生します。
この入金と出金のタイミングのズレが、「黒字なのに苦しい」という感覚を生み出します。
● 売上増=安心、が一番危険です
売上が伸びていると、「今月は大丈夫だろう」と支出への意識が緩みがちになります。
その結果、
◎発注量が増えすぎる
◎忙しさを理由に外注に頼る
◎無意識にコスト判断が甘くなる
こうした小さな判断の積み重ねが、現金を確実に減らしていきます。
売上が伸びている時ほど、現金の動きを冷静に見る視点が必要になります。
● まず見るべきは「残ったかどうか」です
売上や利益より先に確認すべきなのは、「月末にいくら現金が残ったか」です。
数字上の黒字より、通帳の残高が減っていないか。
ここに早く気づけるかどうかが、その後の経営を大きく左右します。
売上と現金は、似ているようでまったく別物です。
この違いを理解することが、経営改善の第一歩になります。
■ 原価率・人件費率だけを見て安心してしまう危険性

飲食店経営では、「原価率」と「人件費率」が重要な指標としてよく語られます。
原価率30%前後、人件費率25%前後に収まっていれば「問題なし」と判断してしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、この2つの数字だけを見て安心してしまうことが、苦しい経営につながるケースは少なくありません。
● 数字が“きれい”でも苦しい店は存在します
例えば、次のような数字の店を想像してください。
原価率
29%
人件費率
26%
一見すると、非常に優秀な数字です。
ところが実際には、「なぜかお金が残らない」という状態に陥っています。
理由は単純で、この2つの数字だけでは、全体の支出構造が見えていないからです。
● 「率」で見ると見落とされる絶対額の増加
原価率や人件費率は、売上に対する割合です。
売上が増えれば、率が同じでも支出の金額は確実に増えます。
例えば、
売上300万円 × 原価率30% = 原価90万円
売上400万円 × 原価率30% = 原価120万円
率は同じでも、支出は30万円増加しています。
この増加分に対して、
◎ロス管理
◎発注精度
◎人員配置
が追いついていないと、利益以上に現金が流出します。
● 原価率・人件費率以外の支出が盲点になります
多くの店で見落とされがちなのが、次のような費用です。
◎消耗品費
◎外注費
◎修繕費
◎水道光熱費
これらは原価率や人件費率には含まれませんが、売上増とともに膨らみやすい支出です。
特に忙しい店ほど、「とりあえず回すための出費」が増え、気づかないうちに利益を圧迫します。
● 「合計」で見ないと経営は判断できません
原価率と人件費率が適正でも、家賃、諸経費を含めたコスト合計が売上の何%になっているかを把握していないと、正確な判断はできません。
経営を見るときに重要なのは、何%使っているかではなく、最終的にいくら残っているかという視点です。
● 安心材料ほど疑う習慣を持ちます
「原価率も人件費率も大丈夫」という状態は、改善の手を止めてしまう一番危険なサインでもあります。
数字が整っている時ほど、他の支出や構造を疑ってみる。
それが、苦しくならない経営につながります。
原価率・人件費率はあくまで入口です。
それだけで経営判断をしないことが、長く続く店の共通点です。
■ 見落とされがちな「固定費の変動化」

売上が伸びているのに利益が残らない店に共通する特徴の一つが、本来は固定費だった支出が、知らないうちに変動費化していることです。
固定費と聞くと、家賃やリース料を思い浮かべがちですが、実際の現場ではもっと身近な費用が変質しています。
● 固定費は「一定」と思い込んでしまう危険性
固定費は毎月同じ金額が出ていくため、「変わらないもの」「考えなくていいもの」として扱われがちです。
しかし、忙しさが増すと、次のような変化が起きます。
◎清掃回数を増やす
◎仕込み作業を一部外注する
◎洗い場や補助人員をスポットで入れる
これらは一つひとつが小額でも、売上と連動して増えるため、実質的には変動費と同じ動きをします。
● 売上が伸びるほど固定費が膨らむ構造
例えば、通常月に5万円で収まっていた清掃・外注費が、繁忙月には10万円に増えるケースです。
売上は50万円増えていても、
・外注費+5万円
・人件費+8万円
・消耗品費+4万円
と支出が積み重なり、利益増以上にコストが増えている状態になります。
固定費として認識している限り、この異変に気づきにくくなります。
● 「忙しいから仕方ない」が危険な合言葉です
現場では、「忙しいから仕方ない」という判断が増えがちです。
確かに短期的には正しい選択でも、それが常態化すると、売上が増えても楽にならない店が出来上がります。
特に、
・毎月売上に合わせて増減する外注
・繁忙日だけ増える人件費
これらは固定費として扱わず、変動費として管理する視点が必要です。
● 固定費が変動化すると何が起きるか
固定費は売上が下がっても発生します。
そこに変動化した支出が重なると、売上が落ちた瞬間に一気に苦しくなります。
「忙しい月も苦しい、暇な月はもっと苦しい」という状態は、固定費の変動化が進んでいる典型例です。
● 対策は「費用の性質」を見直すことです
重要なのは、その費用が
・毎月一定か
・売上や忙しさに連動しているか
を改めて分類することです。
固定費だと思い込んでいた支出を見直すだけで、経営の見え方は大きく変わります。
「固定費は固定」という思い込みを外すことが、売上が伸びても苦しくならない店への第一歩になります。
■ 「忙しい月ほど苦しい店」が陥る数字のズレ
「今月はかなり忙しかったのに、思ったほどお金が残っていない」。
この感覚を覚えたことがある経営者は少なくありません。
実はそれこそが、数字のズレが起きているサインです。
● 繁忙月は売上と支出が同時に膨らみます
例えば、通常月の売上が300万円の店が、繁忙月に380万円まで伸びたとします。
一見すると+80万円の売上増ですが、現場では同時に次の支出が発生します。
追加人員による人件費
+30万円
仕入れ増加分
+25万円
消耗品・外注費
+15万円
支出合計
+70万円です。
結果、利益増はわずか+10万円程度に留まります。
「忙しさ」と「儲け」は比例しないことが、数字で見えてきます。
● 支出は即時、売上は後追いになります
繁忙月ほど、人件費や外注費はその月にすぐ支払われます。
一方で、売上に伴う仕入れ代や税金は、翌月以降に請求されるケースが多くあります。
そのため、
今月:現金が一気に出ていく
来月:繁忙月分の支払いが重なる
という二段階の苦しさが生まれます。
これが、「忙しかった月のあとに一番苦しくなる」理由です。
● 忙しさが判断を鈍らせます
繁忙期は、「とにかく回す」ことが最優先になります。
その結果、
◎発注量が安全側に振れすぎる
◎外注や応援を安易に増やす
◎ロス管理が甘くなる
といった判断が重なります。
一つひとつは正しい選択でも、合計すると利益を圧迫する構造になります。
● 売上増より支出増が早い店の特徴
忙しい月ほど苦しくなる店には、共通点があります。
・繁忙日と通常日の人員差が大きい
・発注量を月平均でしか見ていない
・忙しさに応じた原価・人件費の上限が決まっていない
これらの店は、売上増よりも支出増のスピードが速くなりがちです。
● 忙しい月こそ「数字で冷静になる」ことが重要です
繁忙期は感覚で経営すると失敗しやすい時期です。
だからこそ、
・その月にいくら残ったのか
・繁忙月の追加支出はいくらだったのか
を数字で振り返ることが重要になります。
「忙しかったのに苦しい」という違和感は、経営改善のヒントです。
そのズレに気づけた店から、数字は整い始めます。
■ 黒字倒産予備軍セルフチェックリスト
「赤字ではないのに、なぜか不安が消えない」。
その感覚は、気のせいではありません。
数字の構造が崩れ始めている店ほど、漠然とした不安を抱えています。
ここでは、自分の店が“黒字倒産予備軍”に近づいていないかを確認するためのチェックリストを紹介します。
● 売上と利益に関するチェック
以下の項目を確認してみてください。
・月商は答えられるが、月末の現金残高は即答できない
・売上が伸びると安心し、支出管理が緩くなる
・黒字なのに、通帳の残高は減っている
これらに当てはまる場合、利益と現金を混同している可能性があります。
● 支払い構造に関するチェック
次に、支払いのタイミングを確認します。
・仕入れや外注の支払いが翌月以降に集中している
・税金・社会保険の支払い額を把握していない
・繁忙月のあとに資金繰りが苦しくなる
これは、入金と出金のズレが大きくなっているサインです。
● 忙しさと支出の関係チェック
忙しい月ほど当てはまる項目です。
◎忙しいときの支出を「仕方ない」で済ませている
◎外注や追加人員の基準が決まっていない
◎忙しさに比例してコストが増えている実感がある
これらは、売上より支出の伸びが速くなっている状態です。
● 数字の見方に関するチェック
経営判断の視点を確認します。
・原価率・人件費率だけで経営判断をしている
・月単位でしか数字を見ていない
・繁忙月と通常月を分けて分析していない
数字を「平均」で見る癖があると、ズレに気づきにくくなります。
● 2つ以上当てはまったら要注意です
チェックが2つ以上当てはまった場合、すでに黒字倒産予備軍に近づいている可能性があります。
ただし、これは「危険宣告」ではありません。
気づいた時点で、改善は十分に可能です。
まずは、
・売上ではなく「残った現金」
・忙しさではなく「支出の増え方」
に目を向けてみてください。
数字の違和感に気づける店ほど、経営は確実に安定していきます。
■ まとめ:苦しさの正体は「売上」ではありません
ここまで見てきたように、売上が出ているのに苦しい店の問題は、「売れていないこと」ではありません。
多くの場合、原因は数字の見方と構造のズレにあります。
● 売上がある=安心、ではありません
売上や客数が伸びていると、「経営は順調だ」と感じやすくなります。
しかし実際には、
◎売上と一緒に何が増えているのか
◎利益より先に現金が出ていっていないか
を見ていなければ、本当の安心にはつながりません。
売上は結果であって、経営の健康状態そのものではないのです。
● 見るべきは「率」より「構造」です
原価率や人件費率が適正でも、
・固定費が変動化していないか
・忙しさに比例して支出が膨らんでいないか
といった構造の変化に気づかなければ、数字は静かに崩れていきます。
大切なのは、「何%使っているか」ではなく、なぜその支出が増えているのかを考えることです。
● 苦しさは経営改善のサインです
「忙しいのに楽にならない」
「黒字なのに不安が消えない」
こうした感覚は、経営が悪化している証拠ではありません。
改善ポイントが見え始めているサインです。
違和感を無視せず、数字と向き合えた店から、経営は整い始めます。
● 現金が残る構造に変えることがゴールです
最終的なゴールは、売上を追い続けることではなく、現金が残る構造をつくることです。
◎忙しさと支出の関係を整理する
◎固定費と変動費を正しく分ける
◎残高で経営を判断する
この視点を持つだけで、同じ売上でも経営の楽さは大きく変わります。
● 気づいた今が、一番早いタイミングです
経営は、気づいたときから変えられます。
売上がある今だからこそ、数字の見方を整える意味があります。
「苦しさの正体は売上ではない」。
この視点を持つことが、長く続く飲食店経営への第一歩になります。
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