正直、焼き鳥屋の一日売上ってどうなの?

出店・開業

焼き鳥屋と聞くと、「安定して儲かりそう」「個人でも成功しやすい」というイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。

実際、開業相談でも「焼き鳥なら一日◯万円は売れますよね?」という質問をよく聞きます。
しかし、小規模な個人経営の焼き鳥屋における“一日の売上”は、想像よりずっと現実的で、ときに厳しい数字です。

今回はあえてポジティブな成功談ではなく、「普通の日」の売上に目を向けながら、焼き鳥屋経営のリアルをお伝えします。

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目次

■ 「焼き鳥屋は儲かる」は本当?よくある誤解から始めます

焼き鳥屋は「原価が低い」「回転が良い」「個人でも成功しやすい」といった理由から、開業候補として非常に人気のある業態です。

実際、飲食店の中では初期投資を抑えやすく、小さく始められる点も魅力でしょう。

しかし、「焼き鳥屋=儲かる」というイメージだけで開業を考えると、営業を始めてから強い違和感を覚えることになります。

● よく語られる“理想の焼き鳥屋像”

開業前に多くの方が思い描くのは、

・毎晩満席
・仕事帰りの常連客でにぎわう
・串がどんどん出て、ドリンクもよく動く

といった光景です。

確かに、条件がそろえばそのような店も存在します。
ただし、それは「うまく回っている日の姿」であって、「毎日の姿」ではありません。

● 現実は「満席でない日」が前提になる

小規模な個人経営の焼き鳥屋では、

・平日はポツポツ来店
・雨の日はさらに客足が落ちる
・予約ゼロで営業する日も珍しくない

という状況が普通です。

それでも炭は起こし、仕込みは済ませ、店を開けます。
売上が少ない日でも、やることは変わりません。

● 原価が低い=安心、ではありません

焼き鳥は一本あたりの原価が低く見えますが、

・串打ちの手間
・仕込み時間
・焼き場に張り付く拘束時間

といった「作業原価」が非常に高い料理です。
売上が伸びない日は、「時間と体力を使った割に、数字が残らない」という感覚に陥りやすくなります。

● 「儲かる前提」で考えると判断を誤ります

焼き鳥屋は、儲かるかどうかよりも「売上が伸びない日をどう耐えるか」が先に問われる業態です。
最初から「焼き鳥屋は儲かるはず」と考えてしまうと、

・仕込み量を増やしすぎる
・席数を欲張る
・人を入れすぎる

といった判断ミスにつながります。
焼き鳥屋は決して夢のない業態ではありません。

ただし、「儲かる前提」で始めるのではなく、「売れない日がある前提」で設計すること。
これが、長く続く焼き鳥屋経営の出発点になります。

■ 平日のリアル:小規模焼き鳥屋の「普通の日」の売上

焼き鳥屋の売上を考えるうえで、最も現実を表しているのが平日の営業です。
特別に悪い日でも、特別に良い日でもない、いわば「普通の日」。

この一日の売上をどう捉えるかで、経営の安定度は大きく変わります。

● 平日の客数は想像より少ない

小規模な個人経営の焼き鳥屋では、平日の客数は決して多くありません。
カウンター中心で10〜15席ほどの店の場合、

・来店客数は10〜20人前後
・1時間以上、誰も来ない時間帯が出る

といった状況も珍しくありません。
それでも店は開け続け、炭を維持しながら客を待つことになります。

● 一日の売上は「安心できる数字」ではない

客単価が3,000〜4,000円だとしても、平日の一日売上は3〜6万円程度に収まるケースが多いです。
この数字は赤字ではないものの、「余裕がある」と言える金額でもありません。

家賃や光熱費、人件費を考えると、売上が立っているのに不安が残る一日になります。

● 暇でも仕込みとコストは止まりません

平日は暇な時間が多くなりがちですが、

・仕込み量は簡単には減らせない
・炭は一度起こすと止められない
・スタッフがいれば人件費は発生する

という構造は変わりません。
売上が少ない日は、その固定的な負担がより重く感じられます。

● 「忙しくないのに疲れる日」が積み重なる

平日の営業で特徴的なのは、「忙しくはないのに、なぜか疲れる」という感覚です。

客数が少ない分、売上の手応えがなく、それでも長時間店に立ち続けるため、精神的な消耗が大きくなります。

● 平日を基準に設計しないと続きません

小規模焼き鳥屋の経営は、週末ではなく平日を基準に考える必要があります。
平日の売上で

・仕込みが無理なく回るか
・体力的に耐えられるか
・赤字にならないか

この視点を持つことで、初めて長く続く店になります。

■ 週末があっても安心できない“売上の波”問題

焼き鳥屋経営では、「平日は弱くても、週末で取り戻せばいい」と考えがちです。
確かに金曜・土曜は来店客数が増え、店内もにぎわいます。

しかし、実際の現場では、週末があるから安心とはなりません。

● 満席でも回転しない現実

焼き鳥屋は、週末になるほど回転が落ちやすい業態です。
お酒を飲みながらゆっくり過ごすお客様が多く、

・滞在時間が長い
・追加注文が止まる時間がある

という状況が起こります。

満席であっても、想定していたほど客数が伸びず、「忙しさの割に売上が伸びない」という結果になりがちです。

● 忙しい=高売上ではありません

週末はオーダーが集中し、厨房はフル稼働になります。
しかし、

・串は一度に大量に出ない
・ドリンクもピークが限られる

といった理由から、売上の伸び方には限界があります。

体感的には非常に忙しいのに、売上を見返すと期待ほどではない。
このギャップが、経営判断を狂わせる原因になります。

● 平日の弱さは簡単に埋まりません

週末が好調でも、

・月〜木の売上が低い
・仕込みや人件費は毎日かかる

という状態では、全体の数字は安定しません。

特に小規模店では、「週末で平日分を取り戻す」ほどの振れ幅を出すのが難しく、売上の波がそのまま不安定さにつながります。

● 波の大きさが精神的負担になる

売上の波が大きいと、

・今日は良かった
・昨日はダメだった

と気持ちが数字に振り回されます。
この不安定さは、メニューや仕込み量を必要以上に増やすなど、次の判断ミスを生みやすくなります。

● 週末前提の経営は長続きしません

焼き鳥屋経営で大切なのは、「週末があるから大丈夫」ではなく、「週末がなくても耐えられる設計」です。
平日の売上を基準にし、週末はあくまで上振れとして捉える。

この考え方が、売上の波に振り回されない経営につながります。

週末のにぎわいは魅力的ですが、それだけに頼らない視点を持つことが、小規模焼き鳥屋を安定させる重要なポイントです。

■ 一日の売上を分解すると見えてくる危ないポイント

焼き鳥屋の売上は、「今日は何万円だったか」という結果だけを見ていると、危険な兆候を見落としがちです。

特に小規模な個人経営では、売上の中身を分解して考えることが欠かせません。

● 客数と客単価だけでは判断できません

売上は一般的に「客数 × 客単価」で説明されますが、焼き鳥屋ではこれだけでは不十分です。
同じ客単価でも、

・串を多く食べる日
・ドリンクがよく出る日
・最初だけ注文が多い日

では、店の体力消耗も利益の残り方も大きく異なります。

● 串の本数が伸びない日の怖さ

焼き鳥屋の売上を支えるのは、一本一本の串です。
来店客数が同じでも、

・一本少ない
・もう一品頼まれない

この差が積み重なると、一日の売上は簡単に下振れします。

特に平日は、「そこそこ人は来たのに、串が出ない」という日が発生しやすく、数字以上にダメージを感じます。

● ドリンクが出ないと一気に厳しくなります

焼き鳥屋では、ドリンクが売上と利益を大きく左右します。
料理中心で終わる日や、お酒をあまり飲まれない客層が続くと、同じ客数でも売上の伸びが止まります。

ドリンクが出ない日は、忙しさの割に売上が残らない典型例です。

● 仕込み量と売上は比例しません

「売れるかもしれない」と仕込みを増やすほど、ロスのリスクも同時に高まります。

・売れ残った串
・翌日に回せない部位
・廃棄せざるを得ない食材

これらは売上に表れない損失ですが、確実に利益を削っていきます。

● 「売れた気がする日」が一番危険です

焼き場が止まらず、お客様もそれなりに入っていた。
それでも、数字を見ると期待ほどではない。

このような日は、売上構造のどこかに無理が生じているサインです。
忙しさに安心せず、中身を分解して確認する習慣が重要になります。

■ それでも続いている焼き鳥屋がやっている現実的な対策

売上が伸びにくく、波も大きい。
それでも長く続いている焼き鳥屋には、共通した考え方と設計があります。

派手な成功法則ではなく、現実に耐えられる仕組みを作っている点が特徴です。

● 一日の売上目標を高く設定しません

続いている店ほど、「今日は◯万円売らなければいけない」といった高い目標を置きません。
むしろ、

・平日でも無理なく届く数字
・下振れしても致命傷にならない金額

を基準にしています。
売上目標を下げることは、妥協ではなく生存戦略です。

● 平日でも動くメニュー構成にしています

週末向けの重たいメニューばかりでは、平日の売上は安定しません。
続いている焼き鳥屋は、

・少量でも頼みやすい串
・短時間滞在でも成立する組み合わせ

を用意しています。
「とりあえず一本」「一杯だけ」でも売上になる設計が、平日を支えます。

● 仕込み量を「期待」で決めません

売れそうだから仕込む、という考え方はしません。
過去の実績をもとに、

・最低限必要な量
・追加できる余地

を明確に分けています。
仕込みを抑えることで、ロスと精神的な不安を同時に減らしています。

● 店主の体力を売上と同じくらい重視します

焼き鳥屋は、体力勝負の仕事です。
続いている店ほど、

・営業時間を伸ばしすぎない
・無理な満席運営をしない
・一人で抱え込まない

といった判断をしています。
売上を守るために、まず体力を守っています。

● 「儲ける」より「壊れない」を優先します

短期的な売上アップより、

・赤字にならない
・疲弊しきらない
・判断を誤らない

状態を保つことを重視しています。
この積み重ねが、結果として長く続く店を作ります。

焼き鳥屋経営は、気合や根性で乗り切るものではありません。
現実を前提に設計すること。

それが、続いている焼き鳥屋に共通する、最も堅実な対策です。

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■ まとめ:一日の売上を知ることは、夢を壊すことではありません

焼き鳥屋の一日の売上は、決して華やかな数字ではありません。
むしろ、地味で、ブレがあり、ときには不安を感じさせるものです。

しかし、この現実を知ることは、夢を壊す行為ではありません。

● 現実を知らないほうが、後で大きく傷つきます

開業前は、どうしても成功している姿を想像しがちです。
しかし、

・売上が伸びない日
・客がほとんど来ない時間帯
・数字が残らない営業日

こうした現実を知らずに開業すると、想像以上に心が削られます。
一日の売上を具体的に知ることは、心の準備をすることでもあります。

● 「普通の日」を基準に考えることが大切です

焼き鳥屋経営を安定させるには、

・調子の良い日
・週末の満席

ではなく、平日の普通の日を基準に設計する必要があります。
その数字で、

・赤字にならないか
・体力的に無理がないか
・判断を誤らずに済むか

を考えることで、経営は現実的になります。

● 数字を直視すると、対策が見えてきます

売上を感覚で捉えているうちは、不安も大きくなります。
しかし、

・客数
・客単価
・串の本数
・ドリンクの出方

といった中身を分解して見ることで、改善点が見えてきます。
数字は敵ではなく、味方にするための材料です。

● 小さく続けるという選択も立派な経営です

大きく儲けることだけが成功ではありません。

・無理なく続けられる
・生活が成り立つ
・心と体が壊れない

こうした状態を保つことも、立派なゴールです。
一日の売上を正しく知ることは、そのための第一歩になります。

焼き鳥屋の夢は、現実を見据えた先にあります。
一日の売上を直視し、受け入れ、設計する。

それが、長く続く焼き鳥屋への最短ルートです。

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