開業準備やメニュー開発というと、多くの方がまず考えるのは「何を売るか」「何がウケそうか」「原価率は合うか」といった“足し算”の発想です。
しかし実際の現場では、「何を入れるか」よりも「何が消せないか」によって店の未来が決まっていくケースが少なくありません。
▶売れているのに苦しい店。
▶忙しいのに利益が残らない店。
▶人が辞めるたびにメニューが崩れる店。
こうした店の多くは、“残すべき料理”ではなく“捨てられない料理”に経営を支配されています。
今回は、原価率よりも前に考えておくべき「捨てメニュー」という逆転の発想について、厨房と経営の両面から解説します。

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目次
■なぜ“儲かるメニュー作り”から考えるほど失敗しやすいのか

開業準備でまず考えるのが、「何が売れるか」「原価率は合うか」「看板になる料理は何か」という“儲かるメニュー作り”です。
これは自然な発想ですが、実はこの順番こそ、多くの店を後から苦しめる原因になります。
● 儲かるかどうかだけで作ると「消せない料理」が増えていく
売上が立つ、評判がいい、SNSで反応がある。
こうした要素を基準にメニューを作っていくと、店には“成果を出した料理”が残っていきます。
一見正しいように見えますが、この時点でメニューはすでに「経営判断」ではなく「感情」で守られる存在になり始めています。
「この料理でお客さんが増えた」
「これがうちの看板だ」
という成功体験は、撤去判断を極端に難しくします。
結果として、作業が重い、属人性が高い、ロスが多いと分かっていても外せない料理が増えていきます。
● 売れている料理ほど、店の自由度を奪っていく
本当に怖いのは「売れない料理」ではなく、「売れてしまう料理」です。
売上を作ってくれる料理ほど、厨房はその一皿を中心に組み替えられ、人の配置も導線も教育も、その料理ありきになります。
すると、
・人を増やしても回らない
・メニューを減らせない
・業態を変えられない
・値上げや簡略化ができない
といった状態が生まれます。
売れているはずなのに、なぜか楽にならない店。
その多くは、メニューが成長したのではなく、メニューに縛られた構造に変わっています。
● メニューは「儲かるか」より「外せるか」で見る
経営の時間軸で見ると、原価は上がり、人件費は上がり、店主の体力は落ちていきます。
そのときに必要なのは、「この料理は将来も続けられるか」よりも、「この料理は状況が変わったときに外せるか」という視点です。
儲かるかどうかは、後から調整できます。しかし“外せない構造”だけは、後から直すのが極端に難しくなります。
だからこそ、メニュー作りは売上設計より先に、「撤去できる設計」から始める必要があるのです。
■開業時点で“置いてはいけない料理”の特徴

開業時、多くの方は「ウケそうか」「差別化できるか」「看板になりそうか」という視点で料理を選びます。
しかし“置いてはいけない料理”とは、売れない料理ではありません。
むしろ本当に警戒すべきなのは、「売れてしまいそうな料理」です。
● 味は良いが、工程が重い料理
仕込みに時間がかかる、加熱工程が長い、火口を占有する、盛り付けが複雑。
こうした料理は、少量なら問題になりませんが、売れ始めた瞬間に厨房のボトルネックになります。
繁盛するほど提供が遅れ、人を増やしても楽にならない構造を生み出します。
● 特定の人に依存してしまう料理
「これはあの人じゃないと作れない」という料理は、開業時点で大きなリスクです。
属人化したメニューは、教育コストを引き上げ、シフトの自由度を奪い、退職・病欠・独立と同時に売上を失います。
メニューが人を選ぶ状態は、経営の不安定化を早めます。
● ロスが構造的に出続ける料理
仕込み量が読めない、使用食材が限定的、他メニューに転用できない。
この条件が重なると、売れても廃棄が出続けます。ロスは原価率の問題だけでなく、発注・在庫・精神的負担を増やし、厨房管理を難しくします。
● 他メニューと「つながらない」料理
食材も工程も独立している料理は、メニュー数が増えるほど厨房を分断します。
共有できない料理が多い店ほど、冷蔵庫は細分化し、仕込みは増え、オペレーションは複雑になります。
結果として、一品増えるごとに店全体が重くなっていきます。
● 忙しいほど、店を苦しくする料理
本来、売れる料理は店を楽にするはずです。
しかし、売れるほど提供が遅れ、クレームが増え、スタッフが疲弊する料理は、構造的に“置いてはいけない料理”です。
繁盛が負荷になる時点で、その料理は将来の足かせになります。
開業時に選ぶべきなのは、「売れそうな料理」ではなく、「売れても壊れない料理」です。
この視点を持たずにメニューを組むと、成功と同時に、撤去できない問題を抱えることになります。
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■“今は役に立つが、将来足を引っ張る商品”という地雷

開業初期や立ち上げ期には、「とにかくお客さんを呼ぶこと」「売上を作ること」が最優先になります。
その時期に店を救ってくれる商品は、間違いなく存在します。
しかしその中には、将来の経営を静かに縛り続ける“地雷”になる商品も混じっています。
● 集客目的で入れたが、利益も再現性もない商品
目新しさや話題性で人を集める商品は、立ち上げ期には強力です。
ただし、仕込みが重い、原価が高い、オペレーションが特殊といった条件が重なると、売れるほど現場は疲弊します。
利益が薄く、他スタッフが再現できない商品は、看板になった瞬間に経営リスクへと変わります。
● 仕込み量が読めず、廃棄と欠品を繰り返す商品
需要の振れ幅が大きく、仕込みに時間がかかり、他メニューに転用できない商品は、在庫管理を常に不安定にします。
売れ残れば廃棄、少なければ欠品。どちらに転んでも、利益だけでなく現場のリズムを崩し続けます。
● 客層を固定しすぎてしまう商品
特定の嗜好・年代・シーンに強く刺さる商品は、短期的には集客力があります。
しかしそれが店のイメージを固定しすぎると、価格改定や業態調整、新メニュー導入の自由度が下がります。
「この店はこれを食べる場所」という認識は、変化を拒む壁にもなります。
● 値上げ・簡略化・外注ができない商品
将来必ず必要になるのが、価格調整と構造の軽量化です。
しかし、工程が複雑すぎる料理、素材依存度が高すぎる料理、クオリティ定義が曖昧な料理は、値上げも簡略化もできません。
その結果、利益を削りながら“続けるしかない商品”になります。
開業初期に助けてくれた商品ほど、「この料理のおかげで今がある」という感情が生まれます。
その感情こそが、撤去判断を最も遅らせます。
“今の売上”ではなく、“未来の経営自由度”で商品を見る視点がなければ、地雷は必ず看板に育っていきます。
■メニューは“育てる表”と“捨てる表”の2枚で管理する
多くの店では、メニュー管理というと「売上」「原価」「注文数」といった“育てる視点”の数字しか持っていません。
しかし捨てメニューという考え方を取り入れるなら、もう一枚、「撤去のための管理表」を持つ必要があります。
● 売上表とは別に「撤去リスク表」を作る
育てる表は、「何が儲かっているか」を見る表です。
一方、捨てる表は、「何が将来の足かせになりそうか」を見る表です。
例えば、以下のような項目を数字や記号で管理します。
・仕込み、提供にかかる実作業時間
・特定スタッフへの依存度
・廃棄・余りの発生頻度
・ピークタイム耐性
・他メニューへの転用可能性
これらは売上が良くても悪化していくことがあります。
その変化を可視化するのが、捨てる表の役割です。
● 「いつ消すか」を文章で決めておく
捨てメニュー管理で最も重要なのは、「この料理は、どうなったら消すか」を事前に言語化することです。
例としては、
「提供に10分以上かかるようになったら撤去検討」
「この人が抜けたら一度メニューから外す」
「原材料が○%上がったら再設計」
といった形です。
数字と条件を文章で決めておくことで、感情ではなく基準で話ができるようになります。
● 会議では「残す理由」より「消せない理由」を疑う
新商品会議やメニュー会議では、どうしても「なぜ残すか」「どう育てるか」が中心になります。
しかし捨てメニュー設計では逆です。
「なぜこの料理は消せないのか」
「消したら何が本当に困るのか」
「困るのは売上か、感情か、構造か」
この問いを入れるだけで、メニューは“商品一覧”から“経営装置”に変わります。
● 捨てられる店ほど、変化に強くなる
環境は必ず変わります。原価も人件費も客層も、同じままの店はありません。
そのとき、捨てる表を持っている店は、料理を「壊さずに入れ替える」ことができます。
メニューを守るのではなく、店を守る。
そのための管理が、“育てる表”と“捨てる表”の二枚体制です。
■開業時に決めておくべき“撤去基準”の作り方
撤去基準は、忙しくなってから作っても機能しません。
売上が立ち、人が入り、常連がつくほど、料理は「商品」ではなく「思い出」や「象徴」に変わっていきます。
だからこそ、最も冷静な開業前・開業直後に決めておくことが重要です。
● 数字で切る基準を決めておく
まず必要なのは、感覚ではなく数値です。
・一皿あたりの作業時間
・ピーク中の提供可能数
・廃棄率・ロス頻度
・粗利額(原価率ではなく“残る額”)
「売れているから残す」ではなく、「この数字を超えたら再設計・撤去を検討する」というラインを作ります。
数字は、感情が入ったときに唯一ブレーキになります。
● 構造で切る基準を決めておく
数字以上に重要なのが、構造の基準です。
・特定の人がいないと成立しない
・厨房導線を詰まらせる
・他メニューと工程・食材を共有できない
・忙しいほどクレームが増える
これらに当てはまったら、一度必ず外す。
こうした“店を重くする兆候”を撤去条件に組み込みます。
● 戦略で切る基準を決めておく
撤去基準は、現状だけでなく未来とも結びつけます。
・次の業態でも使えるか
・価格帯を変えたときに残れるか
・人材レベルが下がっても成立するか
「今の店」ではなく「将来の店」に持っていけない料理は、更新対象に入れておく必要があります。
● 感情を排除する仕組みを作る
最終的な目的は、「好きだから」「思い入れがあるから」という理由で残さないことです。
そのために、撤去基準は紙に書き、共有し、定期的に見直します。
撤去とは、失敗ではありません。
店が環境に適応していくための“部品交換”です。
メニューを増やす前に、捨て方を決める。
この順番を守るだけで、店は驚くほど身軽になります。
■まとめ:捨てメニューは、店を長く生かすための経営装置です
メニュー開発というと、「何を売るか」「何を増やすか」に意識が向きがちです。
しかし本記事で見てきた通り、本当に店の将来を左右するのは、「何を捨てられるか」「どうやって外せるか」という設計です。
● 売れる料理より、「外せる料理」が店を守ります
売上を作る料理は、短期的には正解です。
しかし長期経営では、原価も人件費も環境も必ず変わります。
そのときに必要なのは、「続ける力」ではなく「変われる力」です。
外せない料理が多い店ほど、値上げも業態調整も人材入れ替えもできず、苦しさを抱え続けることになります。
● 捨てメニューとは、失敗作のことではありません
捨てメニューとは、「ダメだった料理」ではなく、「役目を終えた料理」です。
環境が変われば、正解も変わります。
捨てることは否定ではなく、更新です。
メニューを守るのではなく、店を守るための行為です。
● メニューは“商品一覧”ではなく“経営の構造体”です
メニューは、売上表ではなく、厨房設計であり、人材戦略であり、将来の選択肢です。
だからこそ、「育てる表」と同時に「捨てる表」を持ち、「撤去基準」という出口を用意しておく必要があります。
これがあるだけで、メニューは感情の領域から経営の領域に戻ってきます。
● 一番冷静なときに、捨て方を決めておく
忙しくなってからでは、判断は必ず遅れます。
だからこそ、開業前・開業初期という最も冷静な時期に、「どうなったら外すか」を決めておくことが、将来の店を助けます。
メニューを増やす前に、捨て方を決める。
原価率を見る前に、撤去基準を作る。
この順番を持つだけで、メニューは“縛る道具”から“店を守る装置”に変わります。
捨てられる店だけが、成長できます。
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