「パスタ専門店は原価が安いから儲かりそう」
開業相談の現場で、非常によく聞く言葉です。
確かに乾麺は保存性が高く、ソースも仕込みやすく、設備も比較的シンプルに見えます。
しかし実際には、パスタ専門店は“儲かりやすそうで、構造を間違えると一気に苦しくなる業態”でもあります。
この記事では、「パスタ専門店って儲かるのか?」という問いに対して、味や流行ではなく、経営構造・厨房構造の視点から解説していきます。

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目次
■原価率が低くても“儲かる”とは限りません

― パスタ業態で一番多い勘違い ―
パスタ専門店を検討している方から最も多く聞くのが、「原価が安いから儲かりそうですよね」という言葉です。
確かに、乾麺は保存性が高く、仕入れ価格も安定しており、数字だけを見ると魅力的な業態に見えます。
しかし結論から言えば、原価率が低いことと、店が儲かることはイコールではありません。
● 原価が安いのは「麺」だけです
パスタの原価が安いと言われる理由の多くは「麺」です。
ところが実際の原価構成を見ると、利益を左右しているのはソースや具材です。
ベーコン、魚介、チーズ、生クリーム、オリーブオイル、野菜類。
これらは価格変動が大きく、種類を増やすほど原価は簡単に跳ね上がります。
「パスタ=原価が安い」という認識のままメニューを増やしていくと、気付かないうちに原価率は簡単に崩れます。
● 本当に怖いのは「原価」より「作業原価」です
もう一つ見落とされやすいのが、作業にかかるコストです。
パスタは一皿ずつ仕上げる調理が基本になりやすく、メニューが増えるほど段取り・盛り付け・確認作業が増えていきます。
結果として、
・ピーク時に人を増やさないと回らない
・一人あたりの生産数が上がらない
・忙しいのに利益が残らない
という状態に陥りやすくなります。
原価率が多少低くても、人件費とオペレーション負荷が上がれば、利益は簡単に消えます。
● 「数字がきれい」な業態と「儲かる」業態は違います
パスタ専門店は、食材構成がシンプルな分、原価計算はしやすい業態です。
しかしそれは、「儲かる」という意味ではなく、「管理しやすい」という意味に近いです。
儲かるかどうかを決めるのは、
・その原価構成で何食出せるのか
・誰が立っても同じ効率で作れるか
・忙しい時間帯でも崩れないか
という“現場構造”です。
原価率の数字だけを見て業態を判断すると、開業後に「思ったより残らない店」になりやすいのが、パスタ専門店の典型例です。
■儲かるかどうかは「茹で場」でほぼ決まります

― パスタ専門店の心臓部 ―
パスタ専門店の厨房で、最も売上と利益に直結する場所はどこかと聞かれれば、間違いなく「茹で場」です。
なぜなら、すべてのパスタが必ず通過し、ここが詰まった瞬間に店全体が止まるからです。
どれだけ味が良くても、どれだけ客席が埋まっても、茹で場が処理できる数以上のパスタは出ません。
パスタ専門店の売上上限は、茹で場で決まります。
● 茹で場は「調理場所」ではなく「生産ライン」です
茹で場は、単なる調理スペースではありません。
一時間に何食仕上げられるかを決める、生産ラインの起点です。
・鍋はいくつあるのか
・同時に何玉入れられるのか
・平均茹で時間は何分か
・一人で何工程まで持てるのか
これらの条件で、ピーク時の最大売上はほぼ決まります。
ここを感覚で作ってしまうと、「忙しいのに回らない店」になります。
● 職人依存になるほど、利益は不安定になります
失敗しやすいパスタ店の多くは、茹で場が「その人専用」になっています。
・湯加減は勘
・時間は感覚
・仕上がりは目視
この状態では、店主が立たなければ品質もスピードも維持できません。
結果として、ピークは常に修羅場になり、増員しないと売上が取れず、人件費が利益を削ります。
儲かっている店ほど、茹で場は
「誰が立っても、同じリズムで、同じ量が出る」
構造になっています。
● 茹で能力を超えたメニューは、すべて赤字要因になります
茹で場の処理能力を超えると、何が起こるか。
・提供が遅れる
・オーダーが滞留する
・客席が荒れる
・厨房がパニックになる
結果として、回転が落ち、クレームが増え、現場疲労が蓄積します。
これは売上低下だけでなく、離職・追加人件費・判断ミスという形で、確実に利益を削ります。
メニュー構成、セット内容、客席数は、すべて茹で能力から逆算しなければなりません。
● 「味の中心」ではなく「経営の中心」として設計する
多くの方は、茹で場を「料理の中心」として考えます。
しかし経営上は、「数字の中心」として設計すべき場所です。
・ピーク1時間に何食出したいのか
・そのために鍋はいくつ必要か
・何人で回す設計か
ここを決めずに開業すると、儲かるかどうかは運任せになります。
パスタ専門店では、茹で場を制する店が、利益構造を制します。
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■メニュー数が増えた瞬間から、儲かりにくくなります

― パスタ専門店が“専門店でなくなる”瞬間 ―
パスタ専門店はアレンジが効きやすく、「少しずつ増やしていける業態」に見えます。
しかし実際には、メニューを増やした瞬間から、構造的に儲かりにくくなる業態でもあります。
売上を伸ばしたい時ほどメニューを増やしたくなりますが、パスタ業態では、その判断が利益を削る方向に働くケースが非常に多いです。
● ソースが増えるほど、厨房は分断されます
ソースが増えるということは、鍋が増え、仕込みが増え、管理が増えるということです。
・温度帯の違う仕込み
・火口の奪い合い
・盛り付け手順の増加
これらが積み重なると、同時調理の効率が一気に落ちます。
結果として、一人あたりが処理できる皿数が減り、忙しいのに売上が伸びない状態になります。
● 具材が増えるほど、原価より先に「ロス」が増えます
具材の種類が増えるほど、在庫は細分化されます。
・少量多品目になる
・回転にムラが出る
・使い切れず廃棄が出る
帳簿上の原価率は良く見えても、実際の利益はロスで削られていきます。
特にパスタは「少しずつ使う食材」が多く、管理の甘さがそのまま利益に直結します。
● オーダーが散ると、「茹で場」が止まります
メニューが多くなると、オーダーは分散します。
これは一見、偏りが減って良さそうに見えますが、パスタ専門店では逆です。
同時に同じものが出なくなると、茹で・和え・盛り付けのリズムが崩れ、茹で場の処理能力が下がります。
その結果、ピークが伸び、回転が落ち、クレームと疲労が増えていきます。
● 「選べる楽しさ」と「儲かる構造」は別物です
実際に利益が出ているパスタ専門店ほど、メニュー数は意外と多くありません。
その代わり、
・工程が似ている
・具材が共通している
・ピークに寄せて組まれている
という特徴があります。
専門店とは、本来「何でもある店」ではなく、「構造が研ぎ澄まされた店」です。
メニューを増やす前に、その一品が厨房の流れと利益構造を壊さないかを検証することが不可欠です。
■客単価は上げやすいが、回転は下がりやすい
この章では客単価について落とし穴や単価UPの方法についてご紹介します。
― パスタ専門店の売上設計の落とし穴 ―
パスタ専門店は、トッピングやセット展開によって客単価を上げやすい業態です。
一方で同時に、回転が下がりやすい業態でもあります。この二面性を理解せずに設計すると、「単価は悪くないのに、なぜか利益が残らない店」になりやすくなります。
● セット強化は、厨房負荷の強化でもあります
サラダ・前菜・ドリンク・デザート。
客単価を上げるためにセットを組むと、客席の満足度は上がります。しかし厨房側では、
・仕込み項目が増える
・盛り付け工程が増える
・提供順管理が増える
という負荷が同時に発生します。
特に小規模店では、パスタ以外の一品が茹で場のリズムを崩す原因になりやすく、結果として提供が遅れ、ピークが長引き、回転が落ちていきます。
● パスタは「食後の時間」が長くなりやすい
パスタは食事としての満足度が高く、会話が生まれやすい商品です。
そのため、
・食後に長居されやすい
・追加注文が出にくい
・ランチが押すと夜まで影響する
といった特徴があります。
これは悪いことではありませんが、客席数や価格設定を間違えると、「席は埋まっているのに売上が伸びない」状態を作ります。
● 忙しさと売上が比例しない店の典型構造
回転が下がると、どうなるか。
・スタッフは忙しい
・提供は遅れる
・クレーム対応が増える
・しかし売上は頭打ち
この状態になると、多くの店が値上げか人員追加に走ります。
しかしその前に見直すべきは、「その客単価と回転は、厨房能力と合っているか」という設計です。
● 売上は「価格」ではなく「流れ」で作ります
儲かっているパスタ専門店は、単価よりも提供の流れを設計しています。
・ピークで同時に何組入れるか
・同時提供できる構成か
・食後に自然に席が空く導線か
こうした設計ができて初めて、客単価アップは利益につながります。
パスタ専門店では、客単価は戦術、回転は戦略です。
ここを外すと、売上設計は必ず歪みます。
■パスタ専門店は「設計次第の業態」です
パスタ専門店に向いている人や開業前に確認すべきことをご紹介。
― 向いている人・向いていない人 ―
ここまで見てきた通り、パスタ専門店は「原価が安いから儲かる」「人気があるから安心」という業態ではありません。
儲かるかどうかを決めているのは、味や流行よりも開業前の設計です。
● 儲かっている店に共通するのは「構造」です
利益が出ているパスタ専門店には、はっきりした共通点があります。
・工程が少なく、流れが読める
・ピークでも提供リズムが崩れない
・誰が立っても同じ品質と速度で出せる
・メニューが増えにくい設計になっている
これらはすべて、センスではなく設計の結果です。
パスタ専門店は、料理ジャンルでありながら、極めて構造依存度の高い業態です。
● 向いているのは「再現性」を作れる人です
パスタ専門店に向いているのは、「自分がうまく作れる人」ではありません。
「誰でも同じように作れる形に落とせる人」です。
・分量が決まっている
・動線が決まっている
・ピークの動きが決まっている
こうした再現性を作れる人ほど、店は安定し、数字も読みやすくなります。
逆に、勘・経験・気合いに頼るほど、店は属人化し、儲かりにくくなります。
● 向いていないのは「味で何とかしよう」とする開業です
「美味しければお客さんは来る」「来れば何とかなる」。
この発想で始めると、パスタ専門店は高確率で苦しくなります。
パスタは一皿ずつ仕上げる料理であり、忙しくなるほど負荷が跳ねます。
構造が未完成のまま集客に成功すると、現場は崩れ、利益は残らず、店主は抜けられなくなります。
● 開業前に確認すべき、たった一つの基準
パスタ専門店を検討するなら、最後に一つだけ自問してください。
「この店は、自分が立たなくても、同じリズムで回りますか?」
この問いに具体的に答えられない場合、味以前に、設計を見直す余地があります。
パスタ専門店は、才能よりも構造で決まる業態です。
■まとめ:パスタ専門店は“簡単そうな顔をした設計型ビジネス”です
パスタ専門店は、原価が安く、設備も比較的シンプルで、開業しやすそうな業態に見えます。
しかし本記事で見てきた通り、実際のパスタ専門店は、味や努力よりも構造と設計で結果が決まる業態です。
● 「作れる」と「回る」はまったく別物です
美味しいパスタを作れることと、店が回ることは別問題です。
・ピークで何食出せるのか
・誰が立っても同じ速度で出せるか
・メニューが増えても崩れないか
これらが決まっていなければ、どれだけ味に自信があっても、忙しいだけの店になります。
パスタ専門店は特に、「作れる人」がそのまま「経営できる人」になるとは限らない業態です。
● 数字は「客数」より先に「工程」で決まります
売上は、席数や広告で作られる前に、厨房で上限が決まります。
・茹で場の処理能力
・同時調理効率
・提供リズム
・仕込み量の限界
これらを無視した売上目標は、現場を壊すだけで終わります。
数字を作りたいなら、先に工程を作る。これがパスタ専門店の鉄則です。
● パスタ専門店は「料理店」ではなく「設計型ビジネス」です
パスタ専門店は料理ジャンルですが、経営視点で見ると、かなり工学的な業態です。
・工程を削り
・選択肢を絞り
・誰でも同じ動きができる形にする
この積み重ねが、そのまま利益率と持続性になります。
逆にここを曖昧にしたまま開業すると、集客に成功するほど苦しくなる店になります。
● 最後に:開業前に考えるべき問い
もし今、パスタ専門店を検討しているなら、ぜひこの問いを自分に向けてみてください。
「この店は、構造だけで回りますか?」
この問いに具体的に答えられる状態になったとき、パスタ専門店は「やりたい店」から「経営できる店」に変わります。
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