小規模飲食店の厨房づくりでは、機器の選定や動線づくりに気を取られ、つい「立って使うこと」を前提に配置を決めがちです。
しかし実際の現場では、立つ・座る・かがむ・振り向く・背面に手を伸ばすなど、複数の姿勢が混在します。
この“姿勢の変化”を無視したレイアウトは、ムダ動作・疲労・事故・仕込み遅延につながり、最終的には人件費にも売上にも影響します。
この記事では、プロ厨房が採用している「体勢別レイアウト」の考え方と、テンポスの低価格什器を使った改善ポイントを、実例を交えてわかりやすく解説します。
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目次
■ 厨房レイアウトの“盲点”

● 立って使うことだけを前提にすると起こる問題
厨房レイアウトを考える際、多くの方が「立って調理する姿勢」を基準に配置を決めます。
しかし実際の調理・仕込み・盛り付けでは、座る・かがむ・振り向く・背面に手を伸ばすなど、複数の体勢が混在します。
立ち作業だけを想定してレイアウトを組むと、こうした姿勢変化に対応できず、ムダ動作や疲労、事故につながりやすくなります。
とくに狭い厨房では、わずかな姿勢のズレが大きなロスとなり、開店準備やピーク時のスピードに悪影響を与えます。
● 小型店舗ほど“姿勢の変化”が効率に直結する理由
狭小厨房では、わずか30cmの棚位置や10cmの高さ差が、作業性を大きく左右します。
たとえば、上棚が低くて頻繁に頭をぶつける、背面冷蔵庫との距離が遠くて体を大きくひねる、しゃがまないと取り出せないストッカーが多いなど、毎日の動作に潜む“微ストレス”が積み重なると、疲労と時間ロスとして現れます。
これらは一日にすると数分、月間では数時間のロスにつながり、生産性や人件費にまで影響します。
● 実際に起こりがちなレイアウトの失敗例
典型的な失敗例として、仕込み作業を想定せず、作業台を高くしすぎて座れるスペースが確保できないケースがあります。
また、上棚が顔の高さにあり、調理中に無意識に避けながら作業することで姿勢が不自然になり、肩こりや疲労の原因になることもあります。
さらに、背面機器の距離や角度を考えずに配置すると、振り向くたびに体をねじる必要が生じ、ピーク時の動きが鈍くなる場合があります。
● “姿勢を基準にする”という視点がレイアウト改善の起点
これらの問題は、レイアウト設計の初期段階で“姿勢”を基準に考えることで、大きく改善できます。
立つ・座る・かがむ・振り向くといった動作を想定すると、適切な棚の高さ、作業台の位置、冷蔵庫の距離などが自然と導き出されます。
結果として、疲労が減り、事故リスクも低くなり、オペレーションスピードが安定します。
姿勢に目を向けるだけで、厨房は驚くほど使いやすくなるのです。
■ 体勢別に考える最適レイアウトの基本原則

● 厨房動作を“5つの体勢”に分解して考える
効率のよい厨房づくりの基本は、作業姿勢を「立つ・座る・かがむ・振り向く・背面に手を伸ばす」の5つに分解して考えることです。
これらの体勢は調理内容によって頻度が異なり、レイアウトに求められる条件も変わります。
たとえば、火を使う工程は立ち作業が中心ですが、仕込みや細かい盛り付けなどは座るほうが早くて正確です。
体勢ごとの役割を整理することで、無理のない動線が明確になります。
● ゾーニングで姿勢に合った作業環境をつくる
体勢を分解したら、次はゾーニングです。厨房を「座り作業ゾーン」「立ち作業ゾーン」「振り向き動作が多い背面アクセスゾーン」に分割することで、作業ごとの最適な高さ・距離・動線が決まります。
例えば、座り作業が多い店では低めの作業台と椅子スペースを確保し、逆に火力系が多い店では立ち姿勢に最適な高さの台を中心に据えます。
単に機器を詰めるのではなく、“体勢に合わせて置く”ことで効率は大幅に向上します。
● 1日の作業フローを“姿勢”で棚卸しする
現場改善に非常に有効なのが、実際のオペレーションを姿勢ごとに棚卸しする方法です。
たとえば、1日の仕込みから営業終了までの作業を動画で撮影し、「座り」「立ち」「かがみ」「振り向き」のどの動作が多いかを数えてみます。
すると、しゃがむ回数が異常に多い、振り向き距離が長い、座る場面がないのに細かい作業が多いなど、問題の“根っこ”が浮かび上がります。
この工程分析を行うだけで、改善すべきポイントが一目でわかります。
● 厨房は“体勢の流れ”で設計すると効率が上がる
レイアウト改善の最終的なポイントは、「作業の流れを体勢でつなぐ」ことです。
たとえば、座って仕込んだ食材を立ち作業のコンロ付近に運び、その後背面冷蔵庫に戻すという一連の動作がスムーズにつながるように設計します。
体勢の転換点(座る→立つ、立つ→振り向くなど)でムダな動きが生まれないようにすることで、疲労が減り、スピードも安定します。体勢を軸にしたレイアウトは、作業効率だけでなく安全性の向上にも直結する考え方です。
このように、姿勢を可視化し、ゾーニングとフロー設計を組み合わせることで、厨房は“動きやすい空間”に生まれ変わります。
■ 高さ調整でオペ効率は劇的に変わる

● 作業台の“適正高さ”は人によって異なります
一般的に作業台の高さは「身長×0.6〜0.65」が基準と言われますが、実際の厨房ではスタッフの体格や作業内容によって最適値が異なります。
火を扱う作業はやや低め、細かい仕込みはやや高めなど、工程によっても求められる高さは変わります。
立ち姿勢だけで高さを決めてしまうと、座り作業時に合わない、包丁作業で肩に力が入りすぎるといった問題が発生します。
誰にでも“ちょうど良い”高さは存在しないため、柔軟に調整できる環境が理想です。
● 棚の高さ10cmの違いが作業スピードを左右します
厨房で最も見落とされがちな要素が、棚の高さ調整です。
上棚が低すぎると頭をぶつけ、逆に高すぎると物を取るたびに背伸びが必要になります。
たった10cmの差でも、作業姿勢が大きく変わり、肩こり・腰痛・疲労の原因になります。
頻度の高いものは“胸から目線の高さ”に置くのが原則で、逆に軽いものや使用頻度が低いものは上段へ。
棚板を1〜2段再配置するだけでも、取り出し時間や動作が確実に短縮されます。
● 高さ違いの什器を組み合わせると作業効率が上がります
テンポスでは、80cm・85cm・90cmなど、作業台の高さ違いが豊富に揃っています。
これを組み合わせることで、例えば「座り仕込みゾーン」と「立ち調理ゾーン」を自然に切り分けることができます。
座り作業用の低めの台を1台入れるだけで、長時間の仕込みが驚くほど楽になります。
また、コンロ周りは高めの台にすることで前かがみを防ぎ、火元の視認性も向上します。
機器の高さ差を意図的につくることで、作業の“体勢の流れ”が改善されます。
● 下棚や足元スペースの調整で“しゃがむ回数”を半減
高さの調整は台の表面だけではありません。
下棚位置を高くすることで、しゃがむ回数を大幅に減らせます。
また、足元スペースを5〜10cm深くするだけで、作業時の前かがみが軽減され、長時間作業でも疲れにくくなります。
とくに狭小店舗では、下棚の再配置や浅型ラックへの変更といった“低コスト改善”の効果が非常に大きいです。
わずかな高さ調整が、日々の作業負荷を確実に減らしてくれます。
高さはもっとも手軽に変えられる要素でありながら、効果の大きい改善ポイントです。
適切な高さづくりは、店舗の生産性とスタッフの負担軽減に直結します。
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■ 振り向き・背面作業の“デッドモーション”をゼロにする
● 背面機器までの“振り向き幅”がオペ全体の速度を決めます
厨房では、振り向いて背面の冷蔵庫・棚・作業台へアクセスする動作が頻繁に発生します。
この“振り向き幅”が大きすぎると、ピーク時に動きが停滞し、作業スピードが落ちてしまいます。
理想は、体を90度以内で回転すれば目的の機器に手が届くレイアウトです。
これ以上の回転幅が必要だと、毎回体のひねりが発生し、疲労や時間ロスにつながります。
調理作業の連続性を保つためには、振り向き動作そのものを短縮することが非常に重要です。
● “ねじれ姿勢”は疲労の最大要因になります
振り向き動作が発生するたびに、腰・肩・首に負荷がかかります。
とくに背面冷蔵庫やストッカーの位置が遠すぎたり、横移動の距離が長かったりすると、調理中に何度もねじれ姿勢を繰り返すことになり、疲労が蓄積しやすくなります。
これが続くと、姿勢の崩れや作業ミスにもつながります。
振り向き動作が多い店舗ほど、機器の距離・角度・高さを調整して“体をひねらず届く位置”をつくることが効果的です。
● “半歩で届く”距離感を基準にする
デッドモーションを減らすための基本は、背面機器までを「半歩〜1歩」で届く距離に設定することです。
例えば、冷蔵庫までの距離を70〜90cmにしておくと、調理台から振り向いて手を伸ばすだけで食材を取り出すことができます。
また、背面棚は“浅型”にすることで、体を前に大きく倒さずに調味料や備品を取れるため、無駄な屈伸や回転を防げます。
動線は広ければよいわけではなく、“最短距離で届く”設計が重要です。
● フライヤー・シンク・作業台は“最短三角形”で配置
振り向き作業が多いエリアとして、フライヤーとシンク、そして主作業台があります。
これらを一直線に並べるのではなく、三角形になるように配置することで、動作が最小限になります。
たとえば、揚げ物を「揚げる→油を切る→盛り付ける」という工程をストレスなくつなぐには、体の回転を小さくできる“最短三角形”の配置が有効です。
これにより、振り向きと前後移動の距離が最小化され、無駄な動作をゼロに近づけることができます。
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● 小型店舗こそ“背面アクセス”の設計が生産性を左右します
狭い厨房では、振り向きや背面動作のムダが売上に直結します。
デッドモーションをなくすために、浅型棚の導入、背面冷蔵庫の角度調整、取りやすい高さへの変更など、低コストでできる改善が数多くあります。
背面作業を最適化すれば、たとえ小規模店でもオペレーションのスピードと安全性を大きく向上できます。
振り向き・背面作業を“ゼロベースで見直す”ことは、厨房効率を劇的に改善する強力な手段です。
■ 低コストでできる現場改善:テンポス什器での最適解実例
● 高さ違い作業台の組み合わせで“体勢分離”を実現します
テンポスでは、80cm・85cm・90cmと高さの異なる作業台が豊富に揃っており、これらを組み合わせることで座り作業と立ち作業を自然に分けるレイアウトがつくれます。
例えば、仕込み専用として80cm台を1台導入するだけでも、長時間の座り作業がしやすくなり、前かがみの負担が大きく減ります。
一方、炒め物や揚げ物など立ち作業中心の工程では、やや高めの90cm台が有効で、体勢の切り替えが滑らかになり、オペレーションの流れが改善されます。
● 浅型棚への交換で振り向き動作を最小化
背面棚を深いタイプから“浅型棚”へ変更するだけで、前かがみと腕を伸ばす距離が大幅に短縮されます。
テンポスの浅型棚は設置しやすく、既存棚の交換も容易です。
調味料や小物類を浅型棚に移すと、振り向き時の体のひねりが軽減され、デッドモーションが確実に減ります。
特に背面作業が多い小規模店舗では、浅型棚への変更が最も効果的な低コスト改善の一つです。
● 可動式作業台で“ピーク時だけ動線変更”が可能になります
テンポスの可動式作業台は、キャスター付きで自由にレイアウト変更ができるため、ピーク時とアイドルタイムで動線を切り替える運用が可能です。
仕込み時は広い作業スペースを確保し、ピーク時には動線を短くするよう配置調整することで、限られた厨房スペースを最大限に活用できます。
固定機器を増やさずにオペレーションを変えられるため、開業後の改善にも適しています。
● 下棚の再配置で“しゃがむ回数”を半減
作業台の下棚を1段上げる、浅型にするなどの調整だけでも、しゃがむ回数を減らせます。
テンポスの下棚は高さ調整しやすいため、スタッフの身長や作業内容に合わせた最適な位置に簡単に変更できます。
取り出し頻度の高いものを下棚の“腰位置”へ上げるだけで、1日の動作数が大きく削減され、疲労軽減につながります。
● 低予算でも“体勢改善”は十分に可能です
大規模な厨房改修をしなくても、テンポスの高さ違い什器・浅型棚・可動式台などを組み合わせるだけで、オペレーションは大幅に改善できます。
体勢別に最適化されたレイアウトを構築することで、作業スピード、安全性、スタッフの負担軽減を同時に実現できます。
以上のように、低コストで導入できる什器を活用するだけでも、厨房の生産性は驚くほど向上します。
■ まとめ:姿勢を起点にレイアウトを見直すだけで厨房は劇的に変わります
厨房改善というと、大きな機器導入やレイアウト変更をイメージしがちですが、実際には“姿勢に合った高さと距離”を整えるだけで、オペレーションは大きく改善します。
・座る・かがむ・振り向く
・背面に手を伸ばす
・半歩動く
これらの動作を最小化することが、生産性と安全性を同時に高める最短ルートです。
テンポスの高さ違い什器や中古機材を活用すれば、低コストで実現できる改善も多くあります。
ぜひ、あなたの厨房の“姿勢動線”を見直し、働きやすく利益の出るレイアウトに最適化してみてください。
「また来たい」と思ってもらうために、ぜひ小物選びにもこだわってみてください。
明日のランチからすぐ使える工夫ばかりですので、ぜひお店に合うものから取り入れてみてください。
テンポスでは、これから開業を目指す方、飲食店の経営についてお悩みの方に向けてさまざまな情報を発信しています。
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