岩手県で古くから親しまれてきた郷土料理「小豆ぼうとう」は、小豆の上品な甘みと豊かな風味を存分に味わえる、冬にぴったりの温かい一椀です。
一般的なほうとうといえば、山梨の味噌仕立てが有名ですが、岩手の「小豆ぼうとう」は小豆を主役にした珍しい甘じょっぱい味わいが特徴的です。
ゆでた小豆に、太くてもちもちの麺を合わせ、ほんのり塩気を効かせることで、小豆の甘みが一層引き立ちます。
今回は、小豆の風味と甘みが特徴的！岩手発祥「小豆ぼうとう」について紹介していきます。
レシピについて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
「小豆ぼうとう」とは？
「小豆ぼうとう」とは、岩手県を中心に受け継がれてきた郷土料理で、小豆の優しい甘みと、幅広でもちもちとした、ぼうとう麺が組み合わさった温かい汁物料理です。
一般的に、ほうとうと聞くと、山梨県の味噌仕立てで野菜を煮込む料理を思い浮かべますが、岩手の「小豆ぼうとう」は全く異なる方向性を持つのが特徴です。
小豆を甘く煮たもの、もしくは甘さ控えめの塩味寄りの小豆汁に、幅広の生麺を加えて煮込むことで、甘じょっぱい調和の取れた味わいが生まれます。
起源としては、かつて岩手県で小豆が貴重な栄養源として扱われていた時代に、行事食や保存食として家庭で作られてきたと言われています。
特に農村部では、冬の寒さをしのぐために温かく腹持ちのよい料理が求められ、小豆と粉ものを組み合わせた「小豆ぼうとう」は理にかなった食事でした。
また、祝い事や季節行事の際に振る舞われる文化もあり、小豆を使うことから邪気払いや、縁起物の意味も込められていたと考えられています。
味の魅力は、小豆の自然な甘さと麺のもっちりした食感の相乗効果にあります。小豆だけを甘く煮るとデザート寄りの印象になりますが、少量の塩で甘さを引き締めることで食事として成立し、素朴ながら奥深い味わいが広がります。
麺がスープを吸い、小豆の風味がしっかり馴染むため、食べ進めるほどに風味が濃くなるのも特徴です。
現代でも郷土食として親しまれ、家庭の味として受け継がれていますが、県外ではまだ知られていない、隠れた岩手の名物です。
冷え込む季節に食べることで、身体の芯から温まる優しい一杯です。
「小豆ぼうとう」魅力
小豆ぼうとうの魅力とは、いったいなにがあげられるのでしょうか。
ここでは、小豆ぼうとうの魅力について紹介していきます。
主に以下のことがあげられます。
小豆の“甘みと塩気”が織りなす唯一無二の味わい
「小豆ぼうとう」の最大の魅力は、小豆の自然な甘さと、ほんのり効かせた塩気が生む絶妙な味のバランスです。
単なる甘い小豆汁ではなく、食事として成立するように調整された、甘じょっぱさが特徴で、スープを吸った幅広麺のもちもち感と相まって、どこか懐かしい優しい味わいを楽しめます。
甘さに頼りすぎず、小豆本来の風味や香りがしっかり感じられるため、甘いものが苦手な方にも食べやすい仕上がりになります。
寒い地域だからこそ生まれた“身体が温まる”郷土食
岩手の厳しい冬を乗り越えるために育まれた「小豆ぼうとう」は、身体を芯から温めてくれる料理として親しまれてきました。
とろみを帯びた小豆汁は、保温性が高く、麺と一緒に煮込むことで熱が長く持続します。
そのため、冷え込む季節に食べると格別の温かさを感じられます。また、小豆は栄養価が高く、疲労回復やエネルギー補給にも優れているため、昔の農村では冬の労働を支える“力飯（ちからめし）”としても重宝されました。
素朴でありながら機能的な一椀である点が、長く愛されてきた理由のひとつです。
行事食としての“縁起の良さ”と家庭で受け継がれる温かい文化
小豆は、古来より“邪気払い”や“祝い事”に用いられてきた食材で、「小豆ぼうとう」もまた、地域の行事や節目の日に食べられてきました。
ハレの日に作られる家庭もあり、世代を超えて受け継がれる家庭の味としての側面も大きな魅力です。
特別な調味料を使わず、身近な材料だけで作れるため、家庭ごとに味が異なり、それぞれの家族の思い出が詰まった料理でもあります。
郷土料理としての歴史と、家庭料理としての温かさを併せ持つ点こそ、「小豆ぼうとう」が今もなお多くの人に愛される理由なのです。
「小豆ぼうとう」作り方
「小豆ぼうとう」は、小豆をじっくり煮て風味を引き出し、幅広の“ぼうとう麺”を合わせて仕上げる、シンプルながら手間を惜しまない一品です。
ここでは、小豆ぼうとうの作り方について紹介していきます。
主に以下の材料や作り方があげられます。
材料（4人分）
・小豆：200g
・水：1.2〜1.5L
・砂糖：大さじ1〜3（甘さ控えめの場合は少なめに）
・塩：小さじ1前後
・醤油：小さじ1（風味づけ・省略可）
・ぼうとう麺（幅広の生麺 or 打ちたての手打ち麺）：300〜400g
・※お好みで：かぼちゃやじゃがいもを少量入れる家庭も
作り方
小豆の下準備をする
小豆は洗ってザルに上げ、鍋に入れてたっぷりの水を注ぎます。まず中火で加熱し、沸騰したら1〜2分煮て“ゆでこぼし”を行いましょう。
これにより、渋みがほどよく抜け、小豆の風味が引き立ちます。
小豆をやわらかく煮る
鍋を弱めの中火〜弱火にし、コトコトと40〜60分ほど煮ます。時々アクを取りながら、小豆の皮が割れる程度までやわらかく煮るのがポイントです。
水分が減りすぎた場合は適宜足し、焦げ付かないよう注意しましょう。
味を調える
小豆が十分煮えたら、砂糖と塩、必要に応じて醤油を加えます。甘さは控えめにし、塩で味を締めると食事としての小豆に仕上がります。
軽くとろみのある小豆汁になるよう、数分煮て味を馴染ませましょう。
ぼうとう麺を加える
幅広の麺をそのまま鍋に入れ、軽くほぐしながら煮込む。生麺なら5〜8分、手打ち麺ならやや長めに煮ます。
麺がスープを吸うことで、小豆の甘みと香りがさらに一体化し、食べるほどに味わいが深まるでしょう。
仕上げと盛り付け
麺が好みのかたさになったら火を止めます。味をみて、甘さが足りなければ砂糖を少し、塩気が弱ければ塩をひとつまみ足して調整します。
どんぶりにたっぷりとよそい、温かいうちにいただくとおいしいです。
小豆そのものの甘みと麺のもっちりした食感が調和した「小豆ぼうとう」は、寒い季節にぴったりのほっこり温まる味わいです。
素材は少なくても、丁寧に煮込むことで家庭ならではの深い風味が楽しめます。
「小豆ぼうとう」に使う調理器具や食器
テンポスで扱っている、小豆ぼうとうを作る際に使う調理器具や、おすすめの食器をご紹介！
六角先四角 黒 22.5cm 100膳
汁椀
まとめ
今回は、小豆の風味と甘みが特徴的！岩手発祥「小豆ぼうとう」について紹介してきました。
小豆ぼうとうとは、岩手県を中心に受け継がれてきた郷土料理です。小豆をじっくり煮て風味を引き出し、ぼうとう麺のみで仕上げる小豆ぼうとうをぜひ、家庭で楽しんでみてください。
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