なぜ多くの人が?ラーメン屋開業でやってはいけないこと5選

出店・開業

ラーメン屋は、飲食店の中でも「夢を持って始めやすい業態」です。

一杯のラーメンに惚れ込み、「これならいける」と思った経験がある方も多いでしょう。
しかし現実には、味に自信があった店ほど、静かに消えていくケースも少なくありません。

ラーメン屋の失敗は、努力不足やセンスの問題ではなく、最初の考え方・設計のズレによって起きることがほとんどです。

ここでは、開業前に知っておかないと危険な「ラーメン屋開業でやってはいけないこと」を、少しネガティブな視点から解説します。

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目次

■その1「ラーメンが美味しければ何とかなる」と思ってしまう

ラーメン屋を開業する方の多くが、最初にここでつまずきます。

「この味ならお客さんは来てくれる」
「味さえ良ければ、多少大変でも回るはず」

この考え方は一見正しく見えますが、実はかなり危険です。

●ラーメン屋は“味の店”であり“作業の店”です

ラーメン屋は、料理としての完成度だけで成り立つ商売ではありません。
一杯のラーメンを、同じ品質で・短時間で・何杯も出し続けることで、初めて売上になります。

どれだけ美味しくても、

・提供が遅い
・ピーク時に回らない
・作り手によって味がブレる

こうした状態では、評価は安定しません。

●「美味しい=忙しい」が地獄になることもあります

味に自信がある店ほど、口コミで一気にお客さんが増えます。
しかし、仕込みや工程が重いラーメンの場合、忙しさに耐えられません。

結果として、

・待ち時間が長くなる
・オペレーションが崩れる
・クレームが増える

という悪循環に入ります。

美味しすぎるラーメンが、店を壊すことも珍しくありません。

●味に全振りすると、構造が後回しになります

スープの深さや香りを追求するあまり、仕込み時間、炊き時間、人の拘束時間が膨らんでいきます。

すると、
・人件費が上がる
・休みが取れない
・体力が持たない
といった問題が、じわじわ表面化します。

これは努力不足ではなく、設計ミスです。

●必要なのは「美味しさ」ではなく「回る美味しさ」です

ラーメン屋に必要なのは、「最高の一杯」よりも「回し続けられる一杯」です。
再現できるか、スピードは保てるか、自分以外でも作れるか。

これを考えずに開業すると、味が武器ではなく足かせになります。

■その2 原価率だけを見て「儲かりそう」と判断する

ラーメン屋開業を考える際、必ず話題に出るのが原価率です。

「ラーメンは原価が安い」
「原価率30%以下でいけそう」

こうした話を聞き、儲かるイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし、原価率だけで判断するのは非常に危険です。

●ラーメンは“原価が低く見えやすい”業態です

麺・スープ・タレ・具材を足し算すると、一杯あたりの材料原価は確かに低く見えます。
数字だけを見れば、利益が出そうに感じるのも無理はありません。

ただし、この数字には作るためにかかるコストがほとんど含まれていません。

●スープは「数字に出にくい原価」の塊です

ラーメン屋の要であるスープは、長時間炊くことで価値が生まれます。
その裏側では、

・ガス・電気などの光熱費
・仕込み中の人件費
・炊き過ぎ、作り過ぎによる廃棄

といったコストが常に発生しています。
これらは一杯ごとに見えにくく、気づいた時には経営を圧迫していることが少なくありません。

●トッピング追加が厨房を複雑にします

原価率を下げようとして、トッピングで単価アップを狙う店も多いです。
しかしトッピングが増えるほど、

・仕込みが増える
・動線が増える
・ミスが起きやすくなる

という別のコストが生まれます。
原価率は下がっても、現場の負担は確実に上がります。

●見るべきは原価率ではなく「回った後の利益」です

大切なのは、「一杯あたりいくら残るか」ではなく、「忙しい日にどれだけ回して、いくら残るか」です。
提供スピードが落ちれば売上は伸びませんし、人が増えれば人件費も上がります。

原価率だけでは、店が回るかどうかは判断できません。

●原価率は“結果”であって“判断基準”ではありません

原価率は、オペレーションや設計の結果として出てくる数字です。
先に原価率だけを見て判断すると、後から必ず無理が出ます。

ラーメン屋では、原価率より先に「構造」を見ることが欠かせません。

■その3 席数・家賃を「満席前提」で決めてしまう

ラーメン屋を開業する際、物件選びやレイアウトを考える中で、

「これくらい席があれば回せる」
「満席になれば家賃も払える」

と考えてしまう方は少なくありません。
しかし、満席前提の設計は非常に危険です。

●ラーメン屋は“空席耐性”が低い業態です

ラーメン屋は回転が速い業態と思われがちですが、実際には回転が止まった瞬間のダメージが大きい店です。
滞在時間が短い分、

・客数が少し減る
・ピークがずれる

これだけで、売上は目に見えて落ちます。

●満席を基準にすると、すべてが楽観設計になります

席数も家賃も、満席を基準に考えると、「忙しい日」の数字で判断してしまいます。
しかし現実には、

・雨の日
・平日の中日
・季節の変わり目

など、満席にならない日の方が圧倒的に多いです。

●家賃は「耐えられるか」で決めるものです

家賃は、売上が少なくても必ず発生します。
そのため基準にすべきなのは、「一番暇な日に払えるかどうか」です。

満席の日に払える家賃は、暇な日には重荷になります。
このズレが、資金繰りをじわじわ圧迫します。

●席数が増えると、厨房も一段階重くなります

席数を増やすと、

・仕込み量
・提供スピード
・人手

すべての要求水準が一段階上がります。
特にラーメン屋は、席数が数席増えるだけで、オペレーションが崩れやすくなります。

●「少なめで回す」設計の方が長く続きます

最初から余裕のある席数と家賃でスタートし、確実に回せる範囲で営業する方が、結果的に長く安定します。
ラーメン屋では、広さよりも耐久力を優先することが重要です。

■その4「ワンオペでもいける」と軽く考える

ラーメン屋の開業相談でよく聞くのが、

「最初は一人で回します」
「慣れればワンオペでも大丈夫だと思います」

という言葉です。

確かに小規模なラーメン屋では、ワンオペ営業そのものは不可能ではありません。
しかし、軽く考えると必ず無理が出ます。

●ラーメン屋のワンオペは“同時多発”が前提です

ラーメン屋のピークタイムでは、

・麺上げ
・盛り付け
・配膳
・洗い物

が一気に重なります。
一つひとつは単純でも、同時に起きることがワンオペを難しくします。

●10分の遅れが、店全体を壊します

ワンオペで手が詰まると、提供が少しずつ遅れ始めます。
その遅れは、

・待ち時間の不満
・客席の回転低下
・次の注文の詰まり

と連鎖し、短時間で店全体を重くします。
ラーメン屋では、数分の遅れが致命傷になることも珍しくありません。

●ワンオペ前提なら「削る設計」が必須です

本気でワンオペをするなら、

・メニュー数を減らす
・トッピングを絞る
・仕込み工程を単純化する

といった割り切りが欠かせません。
すべてを残したまま一人で回すのは、体力と気合に頼った危険な運営です。

●「自分なら何とかなる」は長く続きません

開業当初は気力で乗り切れても、疲労は確実に蓄積します。
休めない、考える余裕がない、ミスが増える。

これは能力の問題ではなく、構造の問題です。

●ワンオペは手段であって、目的ではありません

ワンオペは、人件費を抑えるための一つの選択肢です。
無理を前提に続けるものではありません。

ラーメン屋では、「一人で回せる設計かどうか」を先に考えることが重要です。

■その5「とりあえず始めて、後で直せばいい」と考える

ラーメン屋の開業では、「まずは始めてみて、問題が出たら直せばいい」という考え方をしてしまいがちです。

スピード感を重視する姿勢自体は悪くありませんが、ラーメン屋においては非常に危険な発想でもあります。

●ラーメン屋は「後から直しにくい店」です

ラーメン屋の中核は、スープ・火力・排気・動線といった設備と構造にあります。
寸胴のサイズや配置、炊き時間に耐えられる排気や電気容量は、開業後に簡単に変えられるものではありません。

一度決めた設計が、そのまま店の限界になります。

●スープ設計は店の一生を決めます

スープは「味」だけでなく、

・炊き時間
・仕込み量
・保存性
・廃棄リスク

まで含めた設計が必要です。

とりあえずのレシピで始めてしまうと、後から改善しようとした時に、設備やオペレーションが追いつかないことがあります。

●後回しにした判断が、毎日の負担になります

「今は我慢すればいい」
「忙しくなったら考えよう」

こうした判断は、毎日の仕込み負担や長時間労働として返ってきます。
これは努力不足ではなく、最初の判断の積み重ねによるものです。

●ラーメン屋は改善より初期設計が重要です

他の業態と比べて、ラーメン屋は改善余地が少ない店です。

後から直すより、最初に決め切ることの方が重要になります。

●始める前に「直せないもの」を洗い出す

開業前に考えるべきなのは、「後で直せること」ではなく、「後で直せないこと」です。

そこを見落とさなければ、ラーメン屋は無理なく続けられる店になります。

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■まとめ:ラーメン屋の失敗は「頑張り不足」ではありません

ラーメン屋でうまくいかなかった店の多くは、決して手を抜いていたわけではありません。

むしろ、真面目で努力家な店主ほど、無理を重ねてしまうケースが目立ちます。

●多くの失敗は「考え方」と「設計」のズレです

今回紹介した失敗例を振り返ると、共通しているのは、やる気や根性の問題ではなく、最初の判断や設計のズレです。

・味に全振りしてしまう
・原価率だけで儲けを判断する
・満席前提で席数や家賃を決める
・ワンオペを軽く考える
・後で直せると思って始める

これらはすべて、開業前によくある“普通の考え方”でもあります。

●ラーメン屋は「頑張る店」より「壊れにくい店」が強い

ラーメン屋は体力勝負の印象が強い業態です。
しかし、長く続く店ほど、無理をしなくても回る構造を持っています。

毎日限界まで頑張らないと成り立たない店は、どこかに無理が潜んでいます。

●開業前に「やらないこと」を決めてください

成功しているラーメン屋は、やることよりもやらないことを先に決めている場合が多いです。

・やりすぎない
・広げすぎない
・背負い込みすぎない

この判断が、後々の余裕を生みます。

●ラーメン屋は「技術」より「構造」の商売です

味や技術は確かに重要です。
しかし、それ以上に重要なのが、続けられる構造になっているかどうかです。

構造が整っていれば、努力は前向きな成長に使えます。
構造がズレていると、努力は消耗に変わります。

●失敗を避けることが、最大の近道です

ラーメン屋開業で大切なのは、成功例を真似ることよりも、失敗パターンを避けることです。

今回の内容が、これからラーメン屋を始める方にとって、一度立ち止まって考える材料になれば幸いです。

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