飲食店を経営していると、どんなに真面目に運営していても「税務調査」が頭をよぎります。
実際、税務調査はランダムではなく、ある程度“入りやすい店の特徴”があります。
売上や帳簿の付け方に問題がなくても、業態特性や数値のズレ、管理体制の甘さなどが積み重なると、調査対象として優先度が上がってしまいます。
ここでは、飲食店が税務署から“チェックされやすくなるポイント”を整理し、自店がどこに該当しやすいかを振り返るための視点をご紹介します。
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目次
■ 現金商売ゆえの“数字のズレ”が最も疑われやすい理由

● 飲食店は“現金比率の高さ”が最大のリスクです
飲食店は、他業種と比べて現金売上の比率が高くなりやすい業態です。
現金は入金記録のタイムラグが発生しやすく、レジの締め作業でも誤差が出やすいことから、税務署が最も注目するポイントになります。
とくに、手書き伝票を使用している店や、レジ閉めを複数のスタッフが交代で行う店は記録の揺れが起きやすく、売上除外の可能性が疑われやすくなります。
● 小さな誤差が積み重なると“大きな疑い”になります
たとえば、日々のレジ誤差が数百円であっても、それが毎月、毎年と続くと税務署は「売上計上が正しく管理されていない」と判断しやすくなります。
売上の合計、日次売上とレジ残高、決済手段ごとの入金タイミングなどが一致していないと、“数字の整合性”が取れていないと見られ、調査に入る理由の一つになります。
● POS導入の有無で“透明性の評価”が大きく変わります
POSレジを導入している店舗は、売上データが自動で記録されるため、税務署にとっても透明性が高く信頼性の高い管理と判断されます。
一方、レジスターや手書き伝票中心の店舗は、意図せずとも抜けや漏れが発生しやすい仕組みであり、「数字を操作できる余地がある」と認識されやすくなります。
● 数字のズレは“悪意がなくても”調査対象になりやすいです
ここが多くの経営者が誤解しやすいポイントですが、税務調査の対象になる理由は“脱税の疑い”とは限りません。
単純に「数字がズレていて説明が難しい」というだけで、調査優先度が高くなることは珍しくありません。
つまり、毎日のレジ締め・売上記録・現金管理をどれだけ精度高く運用しているかが、調査に入られにくい店づくりの第一歩になります。
現金管理は飲食店にとって避けられない課題です。
小さなズレを放置せず、日次で正しく整合性を取ることで、税務署からの信頼性を大きく高めることができます。
■ 原価率・人件費率が“業態平均とかけ離れている店”は狙われる

● 税務署は“業態ごとの平均値”を基準に判断します
税務署は、飲食店の売上・原価・人件費などの指標を「業態別の平均値」と比較してチェックします。
たとえば、焼肉店なら原価率30〜40%、居酒屋なら35%前後、カフェなら25〜30%など、業界標準はある程度把握されています。
この標準値から大きく外れていると、税務署は「売上計上や仕入の記録に不整合がある可能性がある」と疑う材料にします。
● 原価率が極端に低い店は“売上除外”を疑われます
原価率が業界平均よりも極端に低い場合、以下のように判断される可能性があります。
・実際はもっと売れているのに、売上計上がされていない
・高いメニュー構成で利益が出すぎている
・仕入と売上の数量が一致していない
つまり、「仕入量に対して、妥当な売上が上がっているか」は調査の大きな焦点になります。
● 原価率が高すぎる場合も“数字の整合性”が疑われます
反対に、原価率が高すぎる店も要注意です。
仕入量に対して売上が少なすぎると、
・ロス計上が適切でない
・賄い消費や持ち帰り(私的流用)が疑われる
・売価設定や入力ミスの可能性
といった観点から、税務署にとって“確認すべき項目”が多くなります。
● 人件費率の異常値は“勤怠と給与の不整合”を疑われます
人件費率が高すぎる、あるいは異様に低い店舗も調査対象になりやすいです。
特に疑われやすいのは以下のケースです。
・タイムカードと給与明細が合っていない
・手渡し給与や日払いが多く、記録が不完全
・社会保険加入が必要な勤務時間なのに未加入の従業員がいる
これらは“数字の不整合”として認識され、税務署のチェック対象になります。
● 数値のブレは“悪意ではなく管理不足”でも起こります
税務署が注目するのはあくまで「平均値からの乖離」です。
悪意がなくても、業態特性やメニュー構成の変化、オペレーションの乱れなどで数字は簡単に歪みます。
しかし、乖離の理由を説明できなければ“疑わしい店”として扱われてしまいます。
原価率・人件費率は、店の運営状況を映し出す重要指標です。
日々の数値管理を徹底することで、税務署からの信頼性が高まり、安定した経営にも直結します。
■ 帳簿・領収書の管理が甘い店は“調査すれば何か出る”と判断される

● 帳簿の欠損や抜けは“信頼性の欠如”として扱われます
税務署が最も警戒するのは、「数字の裏付けが取れない状態」です。
飲食店では、日報の付け忘れ、レシートの紛失、納品書の管理漏れなど、帳簿周りのトラブルが起きやすい傾向があります。
こうした欠損が続くと、「この店は記録が曖昧で、調べれば何かしら見つかるかもしれない」と判断され、調査対象に選ばれやすくなります。
意図的でなくても、証憑の不足は税務署から見ると“不自然な点”として映ります。
● 経費の根拠を示せない店は“説明不足”として疑われます
飲食店では、雑費・交際費・消耗品費など、用途が幅広く曖昧になりがちな経費があります。
もしこれらの領収書が揃っていない、メモがない、使用用途が説明できないという状態だと、
・本当に業務で使われたのか
・私的利用が含まれていないか
といった疑念が生じます。
交際費が急に増えている、仕入以外の現金支出が多いといった傾向も、調査を引き寄せやすい要素になります。
● 家事按分が曖昧なケースも調査対象になりやすいです
自宅兼店舗、社宅兼事務所といった環境では、水道光熱費や通信費を“どの割合で経費にしているか”が重要なポイントです。
按分の根拠が曖昧な店は、税務署から「適切に区分されていない可能性がある」と見られやすく、調査対象として優先度が上がります。
とくに明細や根拠資料が残されていないケースは、説明が難しく、余計に疑われる傾向があります。
● 帳票類が整理されている店は“調査する必要が薄い店”として扱われます
税務署は、限られたリソースで調査を行います。
そのため、帳簿が整っていない店は「効率的に成果が出る可能性が高い」、逆に整理が行き届いた店は「調査しても大きな問題は出なさそう」と判断されます。
つまり、帳簿整理は税務対策以前に“調査を遠ざける最大の防御策”でもあります。
帳簿や証憑の欠落は、意図がなくても“疑わしいサイン”として扱われます。
日報・領収書・納品書・勤怠記録などを日常的に整理しておくことが、税務調査を避けるためのもっとも確実な方法です。
■ “従業員の扱い”が不自然な店は調査対象になりやすい
● 勤怠と給与が一致しない店は“数字の整合性”を疑われます
税務署が飲食店を見る際に注目するのが、従業員の勤怠管理と給与支払いの一致です。
タイムカードの記録と給与明細の勤務時間に差がある、シフト表と実働時間が食い違うといった状況は、税務署から「給与計上が正しく行われていない可能性がある」と見られます。
また、日払い・手渡し給与の割合が多い店も、記録の不備や漏れが発生しやすく、調査の対象になりやすくなります。
● 社会保険の加入状況が“実態と合っていない”と疑われます
従業員が週30時間以上働いているのに社会保険に加入していない、あるいは疑わしい形で時間調整をしている店は、税務署だけでなく関連機関からもチェックされやすくなります。
とくに飲食店では長時間勤務のアルバイトやキッチンスタッフが多く、実労働時間と契約内容が一致しないパターンが発生しがちです。
こうした不一致は「人件費の過少計上」や「雇用管理の不備」と判断され、調査優先度が高まります。
● “名義借り”“架空従業員”などは最も疑われるポイントです
飲食店には稀に、家族名義だけを使った給与計上や、実際には働いていない人物への給与支払いを装うケースが見られます。
税務署はこうした“架空人件費”に非常に敏感で、
・給与振込先の一致
・勤務記録の整合性
・役割や業務内容の説明
といった項目を細かくチェックします。名義借りの疑いがある店は必ず調査対象になります。
● 従業員の入れ替えが異常に激しい店も注意されます
年間で従業員が頻繁に入れ替わる店、離職率が極端に高い店も税務署が警戒するタイプです。
理由として、
・勤怠管理が乱れやすい
・給与引継ぎが曖昧になりやすい
・給与台帳に不備が発生しやすい
といった管理の脆弱性が背景にあるためです。
数字の不整合が生まれやすい環境は、“調査すれば何か見つかる可能性がある店”と判断されてしまいます。
● 従業員管理は“調査対策”であると同時に店舗運営の基盤です
勤怠・給与・社会保険・契約形態などの従業員管理は、税務署が最も重視する項目です。
管理が乱れていると、税務調査だけでなく、雇用トラブルや人件費の増減管理にも悪影響を及ぼします。
逆に、記録が整い、給与計算に一貫性がある店は調査対象になりにくく、経営の安定にもつながります。
従業員管理の不自然さは、税務署にとって“赤信号”のサインになります。
日々の記録を正確に残し、運用ルールを明確にすることが、調査を遠ざける最も確実な手段です。
■ 過去に指摘があった、または周辺エリアで調査が続くケース
● 過去に是正指導を受けた店は“フォロー調査”の対象になります
税務調査は一度入ったら終わりではありません。
過去に申告漏れや帳簿不備などの指摘を受けた店舗は、税務署が「改善状況を確認したい」と判断し、一定期間後に再調査が入るケースが多くあります。
特に、
・現金売上の計上漏れ
・人件費の計上ミス
・領収書管理の不備
といった“構造的に再発しやすい問題”を指摘された店は、重点的にフォロー対象に入れられます。
税務署は「改善が不十分な可能性のある店ほど再調査の優先度が高い」と見ているためです。
● 同エリア・同業態で調査が続いていると“波及調査”が起きます
飲食店の税務調査は、エリアごとや業態ごとに“まとまり”で行われることがよくあります。
ある地域の複数店舗で不正や記録不備が見つかると、税務署は「同様の問題が他の店にもある可能性が高い」と判断し、周辺の飲食店に調査を広げていきます。
このような波及型の調査は、店の状況よりも“地域の環境”によって対象が決まることがあり、真面目に運営している店でも突然調査が入るケースがあります。
● 特定ジャンルや急成長業態は“重点調査リスト”に入ることがあります
焼肉店、寿司店、居酒屋などは現金比率が高い業態として知られています。
また、急激に店舗数が増えたチェーン、SNSで話題になるなど売上が急上昇した店は、税務署が“特別な動きがある業態”として注視することがあります。
こうした場合、エリア横断で調査が行われることも珍しくなく、自店に問題がなくても調査対象になる可能性があります。
● 過去の改善状況が“調査する価値があるか”を左右します
税務署は限られた人員の中で調査を実施するため、「調査することで適正申告に近づけられるかどうか」を重視します。
過去に指摘を受けたにもかかわらず、帳簿・領収書管理が改善されていなかったり、同じ種類のミスを繰り返したりしている店は、「再度調査すれば成果が出る可能性が高い」と判断され、優先順位が上がります。
逆に、改善が徹底されていることが確認できれば、調査対象から外れることもあります。
● 地域事情や過去履歴は店側ではコントロールが難しい分、日常管理が重要になります
過去の指摘やエリア特性は店舗側ではどうにもできない要素ですが、だからこそ、
・帳簿の整備
・領収書管理の徹底
・従業員管理の正確性
といった“足元の整備”が、調査を遠ざける唯一の方法になります。
調査が入りやすい外的条件が重なっていても、記録が整っている店は深追いされにくいのも事実です。
過去履歴や地域の流れによる税務調査は避けづらい要因ですが、日々の運営を透明化しておくことで、調査が入っても大きな問題にならず、結果的にリスクを最小化できます。
■ まとめ:税務調査は“運ではなく必然”で入りやすくなります
● 税務調査は“気まぐれ”ではありません
飲食店に税務調査が入る背景には、明確な傾向があります。
現金比率の高さ、帳簿の揺れやすさ、原価率・人件費率の異常、従業員管理の不備など、調査対象になりやすい“サイン”は複数存在します。
これらが複合的に重なるほど、税務署から見た「優先すべき店舗」になっていきます。
● 最大の予防策は“説明できる数字と書類”を持つことです
正しく申告していても、帳簿や証憑が揃っていなければ、信頼性が低いと判断されます。
・日報
・レジ締め記録
・納品書・領収書
・勤怠記録
・経費の根拠
これらが一貫して管理されていれば、調査への不安は大幅に軽減されます。
● 経営管理を整えることが“最強の調査対策”です
税務調査は、結果として店舗の管理体制そのものを映し出します。
原価・人件費・売上の数字が整っている店は、オペレーションも安定し、利益が見えやすく、スタッフ育成にも良い循環が生まれます。
つまり、税務調査対策とは“黒字化のための土台づくり”そのものと言えます。
税務調査は恐れるものではなく、普段の管理を見直すきっかけとして捉えるとプラスに変わります。
日々の帳簿管理と現場オペレーションを整え、安心して経営できる体制をつくっていくことが、長く続く飲食店の共通点です。
「また来たい」と思ってもらうために、ぜひ小物選びにもこだわってみてください。
明日のランチからすぐ使える工夫ばかりですので、ぜひお店に合うものから取り入れてみてください。
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